広島カープの主砲・鈴木誠也を射止めるのはどのチームになるのか。 現地時間11月21日、MLBはポスティングシステムを通…

 広島カープの主砲・鈴木誠也を射止めるのはどのチームになるのか。

 現地時間11月21日、MLBはポスティングシステムを通じてメジャー行きを目指す鈴木誠也を「契約可能選手」として全球団に通達。今後、譲渡金を払う意思があるすべてのチームと30日間の交渉期間に入る。

「鈴木誠也? 彼の名前は知っているし、調査もしている。現時点で言えるのはそれだけだが、いいプレーヤーだということはわかっている。右打ちの強打者はファン・ソト(ナショナルズの主砲)とフィットするか? 常に補強を求めていくのは事実だが、右だろうが左だろうが、ソトには誰でもフィットするよ」

 11日までカルフォルニア州サンディエゴ近郊で行なわれたGM会議の際、ナショナルズのマイク・リゾGMはそう述べたが、鈴木への関心を隠さないGMは多かった。



MLBの複数の球団が鈴木誠也の得に興味を示している

 当時は鈴木本人がポスティング移籍を公言しておらず、具体的な話が許されなかったGM会議中ですらそうだったのだから、今ならより詳細な話が出てくるだろう。"争奪戦"という表現は日本メディアの"飛ばし"ではなく、鈴木が複数のチームから強い興味を持たれていることは間違いない。

「日本人野手の獲得はリスキー」という見方は、メジャーでは半ば定説になった感もあり、実際に日本での好成績は渡米後の活躍に必ずしも直結しない。ここ数年で秋山翔吾、筒香嘉智が適応に苦しんだことからも、あらためてそれが証明されたと言っていい。ただ、鈴木の場合、確実性とパワーに裏打ちされた日本での打撃成績はハイレベルで安定している上に、外野守備やスピードもプラス評価であることが、トータルでの高評価につながっているのだろう。

 年齢的にも今がピークの鈴木には、2年前に西武からシンシナティ・レッズに移籍した秋山の3年2100万ドル(約23億9400万円)よりも上の条件が提示される可能性が高そう。アメリカの王手移籍情報サイトである「MLBトレード・ルーマーズ」は、鈴木の新契約は5年5500万ドル(約62億8000万円)と極めて好意的な予想を展開していた。

 一方、GM会議の最中には、「5年契約で年俸700万ドルくらいが妥当では」という話も耳にした。今オフのマーケットに出ている外野手の中で、格としてはニック・カステリャノス、クリス・ブライアント、クリス・テイラーらよりも一段下であり、最終的には4年3000万ドル〜5年3500万ドル程度の条件に落ち着くのではないか。

 獲得を目指す候補チームは、GM会議中はマリナーズ、レンジャーズ、メッツ、ナショナルズ、ジャイアンツなどが有力とみられている印象だった。その後、前述の「MLBトレード・ルーマーズ」はマリナーズ、レンジャーズ、ジャイアンツ、レッドソックスの4球団を名指ししている。

 その中で、現時点で本命と目されるべきはマリナーズだろう。

 マリナーズの外野陣にはミッチ・ハニガー、ジェレッド・ケルニック、ジェイク・フレイリーが名を連ねており、頭数は足りている。カイル・ルイス、フリオ・ロドリゲス、テイラー・トランメルといったプロスペクト(若手の有望株)も揃っており、外野陣の補強は必ずしもプライオリティが高くはないのかもしれない。

 それでもジェリー・ディポトGMは、GM会議中にこんな気になる言葉を残して注目された。

「日本人選手なしで開幕を迎えるという選択はしないつもりだ。機会は常にある。これまで多くの偉大な日本人選手がプレーしてきたし、私たちにはファンとのすばらしい繋がりもある」

 外野陣の人数はいても、確固たる実績があるのはハニガーくらい。期待のケルニックも未知数で、ルイスは故障の影響で来春も出遅れが予想されている。そんな状況下で、昨季は2001年以来のプレーオフ進出の寸前まで迫ったチームが、評判のいい日本人外野手に投資しても驚くべきではない。

 また、1993年にマック鈴木が入団後、イチロー、城島健司、菊池雄星など常に日本人選手が属してきたマリナーズの「"伝統"を守りたい」という意識は、ディポトGMの言葉からも感じ取れる。そうした要素からも、マリナーズの動きには今後も注目だ。

 東海岸のチームの中では、メッツの方向性も気になるところだ。大富豪スティーブ・コーエンがオーナーになって1年目の昨季、シーズン途中まで地区首位を守りながら終盤に失速。今オフでの大型補強を目論んでいることは容易に想像できる。マイケル・カンフォート右翼手がFAになったため、穴埋めとして鈴木に触手を伸ばすことは十分に考えられる。

 これらのチームと鈴木側の交渉に関してひとつ留意すべきは、今オフの移籍情勢が労使交渉と大きく関連しそうなことだ。現在の労使は12月1日で失効し、新労使交渉は難航することが確実。一時的なロックアウトがすでに濃厚と見られている。

 実際にロックアウトになった場合、そこですべての移籍交渉がストップし、凍結期間に突入。鈴木の交渉期間は30日間が保証されるが、その期日は新労使締結後に繰り越しになる。

 そういった状況で、メジャー1年目に向けてじっくり準備したいだろう鈴木は、所属チームを今月いっぱいで決めてしまうのか。それとも決定が来年2月のキャンプ間近になることを覚悟してでも、時間をかけてチーム選びを進めるのか。数日後に一気に動くという事態も考えられるだけに、争奪戦の行方から目が離せない。