スプリント・マイルGI5勝の名牝グランアレグリアのラストランとなる第37回マイルCS(GI、芝1600m)。今年はNHKマイルC覇者シュネルマイスター、2歳王者のグレナディアガーズ、ダノンザキッドと世代トップクラスが集結し、焦点は「女王 vs. 3歳馬」に絞られる。
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■春とは条件が異なる女王と3歳マイル王
グランアレグリアは2着に敗れた安田記念と同じ「中2週」が懸念されるが、当時は左前肢の蹄球部を痛め、中間に調教を休ませたことも影響した。天皇賞・秋のレース後、再び蹄を痛めたが、今回は休みなく調教をこなしており、安田記念の時より状態は上と捉えていい。
安田記念で半馬身差の3着に迫ったシュネルマイスターが相手となるが、当時は2キロ差。グランアレグリアが55キロ、シュネルマイスターが56キロと逆転する今回、女王にアドバンテージがある。
一方、シュネルマイスターは3歳春の時点で安田記念3着と健闘し、秋初戦の毎日王冠勝ちと、実績面から打倒・グランアレグリアの筆頭に挙がるのは当然の存在。しかし、ここで気になるのは同馬の脚質だ。
安田記念は前半3F34秒9とスローペースで流れたこともあり、道中は5番手に付けられたが、元来はエンジンの掛かりが遅いタイプ。前半3F33秒7のNHKマイルC、前半1000m58秒5の毎日王冠では置かれ気味の追走となった。
逃げ・先行勢が揃った今回、とくに8枠に入ったサウンドカナロアは芝1200mでハナを切られる快速馬であり、ペースが上がった時にシュネルマイスターは後方からの競馬になる可能性はある。
■外差しが決まっているのは内回りコース
問題は阪神芝の馬場コンディション。前週のエリザベス女王杯で早めの競馬を見せたレイパパレやアカイトリノムスメの人気2頭が失速し、10番人気のアカイイトが外から差し切ったあのレースからも、今の阪神芝は外差し馬場のイメージが強い。しかし、これはあくまで「内回り」だけの傾向だ。
事実、5回阪神の芝コースを内・外回り別に脚質傾向を見ると、内回りでは差しも届く傾向にあり、とくにエリザベス女王杯の内回り・阪神芝2200mは逃げ・先行【0-0-1-9】に対し、差し・追込【2-2-1-10】と圧倒的に“後ろ有利”と言える数字だった。一方、外回りの芝1600mでは逃げ・先行【3-3-3-16】で、差し・追込【2-2-2-31】。同じく外回りの芝1800mでも逃げ・先行【4-2-3-16】で、差し・追込【1-3-2-17】とやはり“前有利”のレースが続いている。
元来、直線の短い内回りは前有利だが、これは4コーナー地点の馬場コンディションの差だろう。内回りの4コーナーは相当痛みが進んでいるのが見て取れ、一方の外回りはまだ傷んでいない。馬場が傷んだ内回りの4コーナーを通った逃げ・先行は失速し、馬場が傷んでいない外回りの4コーナーでは逃げ・先行が残りやすいというわけだ。
グランアレグリアは強靭な末脚から差し・追込のイメージもあるが、昨年のマイルCSで好位差しの競馬を見せており、前を射程圏に置いた競馬ができるタイプ。一方、シュネルマイスターはスタートやペース次第では後方からの競馬も予想される。グランアレグリアは信頼できても、シュネルマイスターは△評価に留めたい。
むしろ同じ3歳馬でも、1400mで先行できるスピードがあるグレナディアガーズを上に評価したい。何より今回、阪神芝外回りの馬場コンディションを見れば、盲点は“前”に潜んでいると見た。「後編」では逃げ・先行馬から穴馬を取り上げる。
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著者プロフィール
山田剛(やまだつよし)●『SPREAD』編集長 元・競馬月刊誌の編集長で、現在はスポーツの未来を読みとくメディア『SPREAD』の編集長。1995年マイルCSの16番人気2着メイショウテゾロの激走に衝撃を受けて以来、穴馬予想を追求し続けている。会心の的中はキセキが制した2017年菊花賞の3連単55万9700円。



















