カザフスタン・アルマトイで行なわれたパシフィック・アジア選手権は、北海道銀行フォルティウスが決勝戦で韓国代表に競り勝って、チームとしては初、日本代表としては2015年のロコ・ソラーレ以来6年ぶりとなるアジア制覇を遂げた。パシフィック・アジ…

 カザフスタン・アルマトイで行なわれたパシフィック・アジア選手権は、北海道銀行フォルティウスが決勝戦で韓国代表に競り勝って、チームとしては初、日本代表としては2015年のロコ・ソラーレ以来6年ぶりとなるアジア制覇を遂げた。



パシフィック・アジア選手権を制した北海道銀行フォルティウス。左から吉村紗也香、小野寺佳歩、近江谷杏菜、船山弓枝

 スキップの吉村紗也香は大会後、日本カーリング協会を通して、以下のように総括コメントを出した。

「決勝戦では相手にいい流れを持っていかれていたんですけれども、チームで力を合わせながら、諦めずに一つひとつのショットを決めて、最後まで集中力をきらさずに試合ができた。それは(今後への)自信にもつながりました。12月にはまた(重要な)大会がありますので、それに向けてチームで頑張っていきたい」

 吉村が「相手に流れを持っていかれた」と振り返ったとおり、最大のライバルである韓国とは予選から計3戦を戦って、いずれも試合前半に複数得点を与えてしまい、常に我慢の展開を強いられた。

 それでも、キーエンドでショットをつなげ、点差を保ったまま勝機をうかがう粘り強い戦いを貫いた。

 特にセカンドの近江谷杏菜とサードの小野寺佳歩の局面では、たとえミスが出たとしても、その後に同じ失敗を繰り返さない修正能力の高さを見せた。劣勢のなかにあっても、前半で収集したアイスや石の情報をきちんと生かして、うまく後半勝負に持っていった。

 6エンド以降の後半戦に限って言えば、韓国との3試合で複数得点を許したのは1度だけ。翻(ひるがえ)って、先攻時に相手に1点を取らせる「フォース」を5度も記録するなど、勝負どころとなる後半での巧みなゲームメイクとハンマーコントロールが光った。

 スロースターターといった側面もあるかもしれないが、9月に稚内で行なわれたロコ・ソラーレとの五輪代表決定戦でも後半の粘りが目立っていた。こうした、ひとつの試合のなかで生かされる高い情報収集力とアジャスト能力は、彼女たちのチームカラーとなりつつある。今後はより強固な武器になっていくかもしれない。

 同時に、前半5エンドまでに大きな点差をつけられることがなければ、世界トップレベルのチームとも十分に打ち合えることが可能、とも言える。

 今回の結果によって、日本は来年3月にカナダ・プリンスジョージで開催される世界選手権の出場権を獲得した。

 その代表の座は、来月に北見市常呂町で行なわれる2022世界カーリング選手権日本代表選考会で決められる。吉村が口にした「12月の大会」というのは、このことだ。

 北海道銀行フォルティウスは今回のアジア・パシフィック選手権を最後に、冠スポンサーである北海道銀行との契約が終了。12月からはクラブチームのフォルティウスとして活動していくが、この代表選考会がその初陣となる。

 参加チームはフォルティウスと、今季好調な富士急、中部電力の3チーム。頂点に立ったチームが日本代表として世界選手権に挑む。

 北京五輪出場へ向けて、12月の世界最終予選に臨むロコ・ソラーレはもちろんのこと、世界選手権の出場切符を争うこの三つ巴の戦いにも注目したい。