投打ともに本領発揮し東大に大勝だ。2回に先頭打者の山本恵汰外野手(文3=愛工大名電)が放った本塁打を皮切りに4点を挙げると3回にも一挙に9得点を奪った。投げては先発の水野匡貴投手(農4=静岡)が5回を3安打無失点と好投。後を受けた4人の投手…

投打ともに本領発揮し東大に大勝だ。2回に先頭打者の山本恵汰外野手(文3=愛工大名電)が放った本塁打を皮切りに4点を挙げると3回にも一挙に9得点を奪った。投げては先発の水野匡貴投手(農4=静岡)が5回を3安打無失点と好投。後を受けた4人の投手が1回ずつを投げ、点を与えず東大打線を完全に封じ込めた。終わってみれば13-0と大差で勝利し、今季最初の勝ち点を獲得した。

会心の一撃で口火を切った。2回、先頭打者の山本は3球目の内角に入ってくる緩い変化球にタイミングを合わせてたたくと、打球は左翼席のポール際へ。ダイヤモンドを一周すると、応援席から校歌が鳴り響く中ゆっくりとホームイン。「狙って打ちにいった」という一振りは球場を沸かせる予想外の一発に。自身にとっての公式戦初安打をオープン戦も含めて大学生活初の本塁打で飾った。その後の打席でも二塁打を2本放ち、3安打8塁打5打点と大活躍。レギュラー定着への猛アピールとなった。山本のリーグ戦経験は昨季まででわずか2打席。選手層の厚いチームの中で「チャンスがつかめるように」と地道に鍛錬を積んだ。昨年の新人戦では4番も務めるなど、徐々に頭角を現していた。右打者と長距離砲の少ないチームの状況下で山本のブレークは今後のチームに大きな影響を与えそうだ。

3回にも再びビッグイニングが訪れた。先頭の越智達矢外野手(営3=丹原)が内野安打で出塁すると、山本、吉田有輝内野手(商3=履正社)の連打などで畳み掛け、その後相手のミスも絡めて打者14人、8安打の猛攻で9点を獲得。13点差と東大を完全に突き放し、一気に試合を決めた。

本来の実力を見せて試合をつくった。この日の先発は水野。課題の立ち上がりは先頭の宇佐美(東大)にいきなり四球を与えたが、その後3人を打ち取り初回を終える。2回にも楠田、三鍋と連打を浴び無死一、二塁とされるも140km前後の直球を軸にその後の3人に出塁を許さず。無失点で切り抜けた。味方の援護をもらった3回以降は「すごく楽に投げることができた」と直球、変化球ともに要所でコースに決める気迫の投球を見せ、打たれたのは内野安打1本のみ。先発として5回を投げ抜き、試合を後続に託した。

小刻みな継投で0点に抑えた。6回以降、髙橋裕也投手(総合3=向上)、石毛力斗投手(文1=高崎健康福祉大高崎)、三輪昴平投手(国際3=日大三)、庭田草志投手(商4=松戸国際)が1回ごとに登板。出塁を許したのは2人、終始無失点とそれぞれが奮闘し、零封リレーを完成させた。絶対的なエースがいない今季の明大。総力戦が増えることが予想される。左右ともに分厚い投手層を生かし、次戦以降も盤石の試合運びをしたい。

開幕カードを連勝で終え、チームの調子は良好。投打とも課題は残るが、上々の滑り出しだ。オープン戦で途切れがちだった打線にもつながりが見られた。空き週を挟んだ次戦の相手は、第1週の法大戦で明大と同じく勝ち点を収めた早大。大竹、小島など左投手が多く、左打者中心の明大にとって厄介な相手となる。「強い闘争心を出して頑張りたい」(中野速人主将・法4=桐光学園)。昨年唯一勝ち点を奪われた相手を破り、優勝へと駒を進めたい。

陰の功労者庭田 初登板で熱投

苦労人が表舞台で花を咲かせた。9回に登板した庭田は、4年生ながらこの試合がリーグ戦初登板となった。「自分の投球をしよう」と、決意して挑むと1回を無失点。4番・田口(東大)からの見逃し三振を含む2三振を奪い、力強い投球で試合を締めた。

庭田は千葉県の公立強豪校・松戸国際高から一浪の末、一般受験を経て明大野球部に入部。周りと比べると決してエリートと言える野球人生ではない。チームに貢献したいという一心で学生コーチを引き受けた。「負担は増えるけどやりがいを感じている」。現在は就職活動の合間を縫って練習や指導に勤しむ日々だ。庭田がマウンドに上がっている間、ベンチからの仲間の声援は一際大きくなるほどに人望も厚い。「全員の力をつないで勝てるように」。ときに自己犠牲を払ってチームのために尽力する存在もまた、明大を強くする大きな原動力となっていく。

[曽布川昌也=文]

 

試合後のコメント

主将としてチームを導く中野

「(今カードの総括)昨日宮台投手(東大)でプロのレベルの球から緩い球に変わって、前回のリーグ戦ではまってしまって全部引っ掛けて内野ゴロ、打ち損ないになったという反省があったので、今日は徹底して左打者なら逆方向、右打者ならセンター返しということを確実にこなすようにしてその結果が連打につながったので、すごく良い試合になったと思います。(全体的な雰囲気)最後まで締まった感じです。(投手陣)まだまだです。その分伸びしろがあるということです。1週間空いて時間もありますし、万全な状態で挑めたらいいかなと思います。(昨日の試合後)とにかくミスが多い、最低限のレベルをもっと上げようという話をしました。それには私生活や、態度などが出てくるので私生活から見直すということを話しました。(庭田について)本当に真面目で志が本当に高くて。ただ自分たちの代は人数が少ない中から学生コーチを決めなければならなくて、本当に悩みに悩んで自分がチームに貢献すると言って引き受けてくれました。選手兼任という立場ですが自分が練習する時間もチームのために使ってくれる人間なので。しかも就活の真っ最中ですし。このチームで誰よりも苦労して時間のない中努力していたのでみんな必死に声を出して応援したし、三振を2つも取って、あいつの普段の取り組みが出たかなと思います。プレーヤーとしては今日みたいに思いきってやってくれれば良いと思いますが、チームをまとめる上で学生コーチの存在はすごく大きくてキャプテンが1人でやってもまとまり切らないので、そういう意味ではいろんなことを指摘して声を出して準備してやっていきたいです」

初登板を果たした庭田

「(9回、抑えとして登板)初登板だったので、締めとかは関係なく自分の投球をしようと心掛けました。(学生コーチと選手を兼任)両方100パーセントでやるということを心掛けていて、その分負担は増えますがやりがいを感じています。こうして投げさせていただいたのですごくよかったなと思ってます。(選手として登板することによって学生コーチの方に生かせることはあるか)選手目線で考えられるのは選手兼ならではだと思うので、そういうところをこれからチームに反映させていければと思ってます。(学生コーチとしてチームをどうしていきたいか)昨年より力は劣ってしまうので、全員の力を継ないでみんなの力を一つにして勝てるように、チームづくりに携わっていきたいなと思ってます。(選手としてどう活躍していきたいか)もちろんメンバーに入って神宮のマウンドで投げるということを目指して、仲間に負けないように人一倍努力してやっていこうと思っています」

今季初先発を5回無失点の好投で終えた水野

「(振り返って)自分はあんまり良くなかったですが、チームが勝てたことが一番だと思います。(序盤に大量援護)すごく楽に投げることができたので、野手の皆さんには本当に感謝しています。(試合開始遅れた)気持ちは絶対切らさないように。どれだけ遅れても投げるんだという気持ちを持って準備していました。(ぬかるみ)結構べちゃべちゃだったんですけど、その中でもできること、やれることができたと思います。(ボール先行)それは課題として一週間空くのでしっかりとやって、もう少しムラを無くして早稲田戦に向けて頑張りたいです。(取り組むこと)低めにコントロールするということ。低めを意識してひたすら練習をするということですね。(フォームがハマっていないと言ってたが)だいぶ良くなりました。方向性は見えていますね。(ストレートは)球の強さ自体は出てきたので。高いですけど、大丈夫です。(久々神宮先発)気持ちが変わるんだろうなと思っていました。自分の気持ちが上がらないようにいろいろ考えてコントロールをしようと思ってできたのでよかったです」

3番で出場し、結果を残した平塚大賀内野手(政経3=春日部共栄)

「(いきなり3番での起用)朝、監督に言われたんですけど。自分は今まで出てなかったので、とりあえず失敗を恐れないで積極的にいこうと思いました。(2回の適時二塁打)山本のホームランで先制して押せ押せの流れで、カウントもノーストライク2ボールだったのでストレートを張って思いきりいきました。(初安打初打点、気分的には)自分が打ったのはもちろんうれしいですが、それよりもチームが追加点を取れたことがうれしかったです。(お父さんに何て報告しますか)いや、報告は特に(笑)。結果はもうわかってると思うので、こっちから報告したりするつもりはないです。(お父さん譲りと思うところは)OBの方とかが来て頂いた時に雰囲気が似てるなって言われました。田中(武弘)コーチとかにも親にバッティングが似てると言って頂いて。たまに現役時代に打った時の映像は見ますが、特別意識したりはしてないです。ボールに向かっていく姿勢とかを一応参考にはしてますね(笑)。そんな具体的にではないですけど姿勢を見てます」

初本塁打を含む3安打を放った山本

「チームが勝ち点を挙げれたことがうれしいです。(本塁打は)インコースのスライダーを打ちました。前のピッチャーの傾向を見てて、来るかなと思って相当狙って打ちにいきました。切れるかなと思いましたが、風に乗って入ってくれたと思います。(好調が)1、2週間続いていて、それで監督も自分のことを起用してくれたと思いますが、試合に出たいというアピールもたくさんしてきました。本当に先輩やコーチ、監督にバッティングのご指導をして頂いて、良いヒントをたくさん頂いて。それを自分なりにかみ砕いて練習を重ねてきたことが形になってきたと思います。バットが下から出ていたので、上からヘッドを走らせるようにと監督から素振りの時に教わっていました。(5打点)分からないです。覚えてなかったです(笑)。ホームランは高校では20本でした。大学ではこれが1本目で、練習試合でも打ったことがなかったのでこれが初めてです。(2年間はどういう思いでやってきたか)チームに勝ってほしいと思っていて。自分もチャンスがつかめるように、こつこつやってきました。やっぱり外野の層も厚いので、自分の長所であるバッティングで右バッターとして振れるところを監督に積極的にアピールしてきました」