第一生命 D.LEAGUE 21-22 SEASONに臨むCyberAgent LegitのダンサーたちFISHBOY インタビュー① ダンスのプロリーグ「第一生命 D.LEAGUE(以下:Dリーグ)」の2シーズン目「21-22 SEASO…



第一生命 D.LEAGUE 21-22 SEASONに臨むCyberAgent Legitのダンサーたち

FISHBOY インタビュー①

 ダンスのプロリーグ「第一生命 D.LEAGUE(以下:Dリーグ)」の2シーズン目「21-22 SEASON」が11月14日(日)に開幕する。開幕シーズンだった「20-21 SEASON」は全9チームだったが、この21-22 SEASONからは2チームが増え、11チームでの戦いになる。

 新たに始まるシーズンでも、引き続き1チーム8人が出演し、約2分のダンスパフォーマンスを繰り広げる。1シーズンで12回開催するラウンドでは毎回順位付けを行ない、総合ポイントで上位4チームとワイルドカードで選ばれた2チームが、チャンピオンシップへ進出して頂点を競う。

 Dリーグは、さまざまなジャンルのダンスチームが混在する、非常にユニークなプロリーグだ。そのなかで、異彩を放っていたのが、CyberAgent Legit(サイバーエージェント レジット)。世界のダンスコンテストやバトルで活躍するメンバーが集結したチームで、ダンスジャンルの垣根を越えたパフォーマンスで観客を魅了している。

 このチームのディレクターを務めているのが、ダンス世界一に輝いた実績を持つ、FISHBOY だ。彼はオリエンタルラジオの中田敦彦を兄に持ち、RADIO FISHのメンバーとして活動していることでも知られている。

 FISHBOYは、そのほか多くのDリーグチームのディレクターが、振り付けを担ったり、時にはダンサーとして出場することもあるなかで、異なる形でチームに関わっている。

「チームのメンバー選びや、メンバーに対しての教育、あとはスポンサーに対しての営業、自治体との取り組みなどを進めたりとか、そんなことをやっています。振り付け自体はやらないんですが、作品コンセプトの相談や音楽の制作プロデューサーの紹介、立ち合い、曲のクオリティーコントロールとかは、僕がやってますね」

 FISHBOYはディレクターという肩書ではあるが、プロデューサー的な立ち位置に近いかもしれない。

 CyberAgent Legit の最も特徴的なところは、多彩なジャンルの一流ダンサーたちが集結した点だ。ほとんどのチームは、ヒップホップ、ブレイクダンス、クランプなどある特定のジャンルのダンサーでチームを結成するなか、CyberAgent Legitは、ヒップホップ、ロック、ブレイクダンス、ポップなど、さまざまなダンサーが集まっている。メンバー選考に関わったFISHBOYはその理由をこう語る。

「多ジャンルのダンサーを集めたというよりは、バトルやコンテストで戦ってきたダンサーを集めたということです。

 今のダンス界は、ショービズやエンターテイメント、振付師のほうが稼げていると思うんですね。逆にアスリート寄りのダンサーは、稼ぎどころがインストラクターくらいしかありませんでした。そういったダンサーたちをDリーグで活躍させることによって、『ダンサーが稼げる新しい舞台なんだよ』っていうのを表現したかったんですね。

 集まってきてくれたダンサーたちは、各ジャンルのエキスパートなので、その高い技術力を全員がシェアすることができたら、各分野のダンスを踊れるレベルの高いダンサーが、同時に誕生するんじゃないかなと思っています」

 しかし多彩な個性をまとめるためには、想定外の苦労があった。

「悩みはとってもありました。実はダンスのジャンルは問題ではなかったんですよ。問題は、ダンスを取り巻く環境がそれぞれ違った、育ち方が違ったということなんです。8人が同じジャンルだと、共通言語があるんです。『あのダンサーが』とか『あの大会で』とか言って話が合うし、考え方も統制が取れているんです。その考え方の傾向がダンスのジャンルによって違ったんですね。そうなってくるとコミュニケーションの部分で、話が合わなかったりして、それはとても困りました」

 とくに20-21 SEASONでは、約2週間で新しいショーケースを次々作って披露していたため、密度の高いコミュニケーションが要求された。そのため同じジャンルを歩んできたダンサーたちのほうが、コミュニケーションが円滑で、作品づくりはスムーズだった。CyberAgent Legitは、その部分で一つ乗り越えるべき壁が増えていた。

 さらにチームはよりチャレンジングなことをやっていた。それが、ダンサー自らが振り付けを担当することだった。しかも「ほぼ全員に作ってもらった」という。もちろんFISHBOY自身が振り付けを行なうこともできるが、そこは敢えて任せていた。

「僕はRADIO FISHの『パーフェクトヒューマン』でいろんな人に知ってもらいましたが、『あの振り付け、FISHさんが作ったんだよね』と聞かれても、キャッチーな部分は兄(オリエンタルラジオ中田敦彦)が作っていましたから、自分の成果物があまりないなと思ったんですね。

『これは僕のものだ、私のものだ』と言えることはすごく大事なんです。だから、例えばチームを卒業する時に『これは自分のやったこと』という成果物をお土産として持たせるのがすごく大事なのかなと思って、作ってもらいました」

  バックグラウンドの違う一流のダンサーたちが集結しただけあって、CyberAgent Legitのダンスは、各ラウンドでまったく違う顔を見せつつも、それぞれがオリジナリティーに溢れ、スキルフルでクオリティーの高いパフォーマンスを披露し続けた。

 しかし20-21 SEASONの結果は全9チーム中、最下位。ラウンド10では3位に入るなど好成績を残すこともあったが、全体的に見ると下位に低迷していた。その理由についてFISHBOYはこう振り返る。

「20-21 SEASONを通して、改善すべき大きな問題がありました。Legitメンバーの何人かから『友達が、Legitはあまり応援したくないチームだと言っていた』と聞きました。くわしく聞いたところ、CyberAgent Legitはステージ上でも、SNS上でもとても冷めて見えるということでした。熱意は確実に持っているのに、それが伝わっていない。これはすぐに改善すべきだと思いました。

 それまで僕はダンサーたちに『もっと自分たちの考えを発信しなさい』『こういうことはしちゃいけないし、こういうことはいいよ』とアドバイスしていました。何を言って何を発信するかばかりに気を使いすぎていて、どう発信するか、熱量を持って発信できているかに、フォーカスできていなかったと思ったんです」

 20-21 SEASONのダンスは高い完成度を誇り、見るものを引きつける魅力があったが、審査員による『ジャッジポイント』で上位に食い込んでいても、Dリーグ会員の票『オーディエンスポイント』で大きく順位を落とすことが多かった。その理由をFISHBOYは、発信する熱量にあったと感じている。この反省点を踏まえ、21-22 SEASONに向けてある取り組みを行なった。

「20-21 SEASONでは、みんな何かを抱えているんですけど、言ってくれないという感じがあって、1つになれなかったという反省点もありました。だから、徹底的に1on1ミーティングを行なって、毎日20分、1週間で全員と話せるようにしました。

 あと、僕が何をしているのかを認識されていないところがあったので、それも伝えました。毎日1on1ミーティングをやっていると、ポロッと本音が出てくるんですね。それは非常によかったです。結束力も強くなりましたね」

 違うバックボーンのダンサーたちが集結したこともあり、最初は結束力は弱かったのかもしれない。しかしラウンドを重ね、互いを知り、他ジャンルのダンススキルを学び、一つの作品を試行錯誤して作り上げていくことによって、着実にお互いの距離が縮まり、ダンスにも進化が見られた。そして20-21 SEASONで出た課題を一つ一つクリアし、いよいよ21-22 SEASONを迎えることになった。



ディレクターを務めるFISHBOY。21-22 SEASONでの躍進を誓う

「20-21 SEASON は、冷めたチームだと見られていたと思うので、熱を伝えることが、僕たちの課題だと共通で認識しています。だから21-22 SEASONでは、熱いLegitが見られると思います。

 そして、レギュラーシーズンとチャンピオンシップを合わせて最大15作品のなかで伝えたいのは『impossible is nothing』(不可能なんてない)というメッセージです。最初は、ジャンルも違うから『一つになれるの?』『勝てるのかな?』と思われているところもありましたが、21-22 SEASONでは、僕らがまず勝つことで、不可能だと思われたことを可能にしていきたいんです。

 それから各個人が『無理だろう』と思っている夢も同時に実現することで、それを見ている人たちに、『夢って頑張れば叶うんだ』とか、『諦めるのはまだ早いのかも』という気づきを与えて、夢を追いかけることの大切さを伝えたいですね」

 最後に21-22 SEASONの目標を聞いてみると、「優勝です。もちろん」ときっぱりと言い切ったFISHBOY。一片の曇りもなく、自信に満ちたその表情から、頂点までの道筋をすでにイメージできている印象を受けた。21-22 SEASON では、CyberAgent Legitの放つ熱が熱波となって、Dリーグを席巻するかもしれない。期待はますます膨らむばかりだ。

(インタビュー②に続く)

【Profile】
FISHBOY
1985年12月19日生まれ、山口県出身 。世界でも活躍しているPOPPINGダンサー。10代から頭角を現し、black D.O.G.S.として各世代で全国的なダンスコンテストで優勝。23歳の時に出場した、世界大会JUSTE DEBOUTで優勝した経歴を持つ。2014年に実兄(オリエンタルラジオ中田敦彦)とともに、6人のダンス&ボーカルグループRADIO FISHを結成。『パーフェクトヒューマン』が大ヒットし、紅白歌合戦への出演を果たした。現在はCyberAgent Legitのディレクターを務める。

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