秋の「女王決定戦」となるGIエリザベス女王杯(阪神・芝2200m。※通常は京都開催)が11月14日に行なわれる。 過去…

 秋の「女王決定戦」となるGIエリザベス女王杯(阪神・芝2200m。※通常は京都開催)が11月14日に行なわれる。

 過去10年のレースを振り返ってみると、1番人気は2勝、2着3回、3着2回、着外3回。まずまずの成績を残しているものの、決して信頼度は高くない。

 一方で、2012年に7番人気で勝利したレインボーダリアや2015年に6番人気で勝ったマリアライトをはじめ、馬券圏内(3着以内)には伏兵が何度も突っ込んできている。おかげで、3連単では好配当がしばしば生まれており、波乱の多いレースと言える。

 とすれば、今年も穴狙いに徹するのも悪くない。そこで、過去10年の結果を参考にして、今回のレースで台頭しそうな伏兵馬をあぶり出してみたい。なお、京都競馬場の改修工事により、昨年に引き続き今年も阪神競馬場が舞台となるが、開催時期や距離は変わらないため、過去10年の結果をそのまま参照データとする。

 まず、エリザベス女王杯と言えば、「リピーター」の多いGIレースとして知られる。現に昨年も、一昨年の覇者ラッキーライラックが勝って連覇を飾り、同様に一昨年3着のラヴズオンリーユーが再び3着に入線を果たしている。

 他にも、2013年に2着、2014年に勝利したラキシス、2014年、2015年と連続して2着に入ったヌーヴォレコルト、2016年、2017年とともに3着だったミッキークイーン、2017年に勝利し、2018年にも3着となったモズカッチャン、さらに2017年から2019年まで3年連続で2着と好走したクロコスミアなど、複数年にわたって馬券圏内に入っている馬が多数いる。

 ならば、今回も「リピーター」が第一の狙い目となる。が、残念なことに、今年の出走メンバーには前年のレースで3着以内に入った馬がいない。過去データで最も信頼のおけるパターンは消えてしまった。

 ただ、「リピーター」が多いということは、レース経験がある馬が優位、という見方ができる。実際、以前にも前年の3着以内の馬が馬券に絡まなかったことが3度(2012年、2013年、2016年)あったが、そのうち、2012年の勝ち馬レインボーダリアと2016年の1着馬クイーンズリングは、前年のエリザベス女王杯にも出走していた。

 ということで、今年は3着以内という着順にはこだわらず、前年のレースに出走した馬に目を向けたい。候補となるのは、ウインマリリン(牝4歳)、ソフトフルート(牝4歳)、リュヌルージュ(牝6歳)の3頭だ。

 いずれも魅力的な存在だが、過去例に挙げた2頭は、前年のレースで勝ち馬から1秒以上離されていなかった。その点を考慮すると、勝ったラッキーライラックから1秒差をつけられて12着に終わったリュヌルージュは厳しいと見る。



エリザベス女王杯での勝ち負けが期待されるウインマリリン

 そうなると、昨年4着のウインマリリンと同6着のソフトフルートにより食指が動く。そして、特にオススメなのはウインマリリンだ。昨年のGIオークス(東京・芝2400m)で2着となり、前走のGIIオールカマー(9月26日/中山・芝2200m)でも牡馬相手に快勝し、実績は申し分ない。

 その分、上位人気が予想されるものの、前評判ではレイパパレ(牝4歳)、アカイトリノムスメ(牝3歳)といった2頭のGI馬に人気が集中。3番人気にとどまりそうで、馬券的な妙味は増す。過去、エリザベス女王杯では3番人気が4勝と際立った成績を収めており、その点からも強力にプッシュしたい一頭だ。

 次に着目したいのは、前哨戦のひとつであるGII府中牝馬S(東京・芝1800m)で勝っていながら、人気薄だった馬である。というのも、このタイプが過去に何度も波乱を演出しているからだ。

 いい例となるのは、2014年に6番人気で3着に入ったディアデラマドレ、2016年に3番人気で勝ったクイーンズリング、2017年に9番人気で2着と善戦したクロコスミア、2020年に5番人気で2着と奮闘したサラキアらである。

 こうした例から、今回も府中牝馬Sの勝ち馬は無視できないが、このタイプもまた、今年は出走していない。そこで再び、これに似たタイプの馬を探したい。

 注目したいのは、前走で重賞を勝っていながら、人気薄になりそうな馬だ。

 前走で重賞を勝っているのは、アカイトリノムスメ、ウインマリリン、テルツェット(牝4歳)の3頭。先にも触れたが、アカイトリノスムメは前走でGI秋華賞(10月17日/阪神・芝2000m)を制して人気の一角を占めるため、穴馬候補とはなり得ない。また、ウインマリリンは前項目の推奨馬ゆえ、残ったテルツェットをここでは推したい。

 同馬は、まだ1勝クラスだった昨夏から今年にかけて3連勝を飾ってオープン入り。その後、GIIIダービー卿チャレンジトロフィー(4月3日/中山・芝1600m)まで制し、4連勝で重賞初制覇を決めた。

 続くGⅠヴィクトリアマイル(5月16日/東京・芝1600m)こそ14着に敗れたが、前走のGIIIクイーンS(8月1日/函館・芝1800m)では好メンバー相手に快勝。重賞2勝目を挙げて、再度上昇気流に乗っている。

 それでも、先述のGI馬2頭にウインマリリンもいて、ここでは伏兵の域を出ない。穴馬として、かなりオイシイ存在と言える。

 しかも、鞍上がミルコ・デムーロ騎手というのが心強い。なにしろ、エリザベス女王杯では過去5年連続で馬券圏内に入っており、過去10年で計6回も馬券に絡んでいるからだ。となると、同馬の一発への期待がますます膨らむ。

 秋の牝馬による頂上決戦。GI馬である「2強」がその強さを改めて示すのか、はたまた思わぬ馬の激走が見られるのか。熾烈な争いから目が離せない。