WTA(女子テニス協会)公式オンラインメディアが伝えている、女子テニス界の二人のレジェンド、クリス・エバート(アメリカ)…
WTA(女子テニス協会)公式オンラインメディアが伝えている、女子テニス界の二人のレジェンド、クリス・エバート(アメリカ)とマルチナ・ナブラチロワ(アメリカ)による「WTAファイナルズ・グアダラハラ」の戦況分析の後編。前編に引き続き、今回は下位4人の今シーズンの主な実績と、エバートとナブラチロワの意見を紹介する。【関連記事】エバートとナブラチロワが今年のWTAファイナルズを分析~前編
マリア・サカーリ(ギリシャ)
2021年獲得タイトル:0
2021年成績:36勝18敗(勝率67%)
キャリアタイトル数:1
WTAファイナルズ出場回数:初
サカーリは「WTA500 アブダビ」で驚きの快進撃を見せ、ガルビネ・ムグルッサ(スペイン)、ココ・ガウフ(アメリカ)、ソフィア・ケニン(アメリカ)を破って準決勝にまで足を伸ばした。「WTA1000 マイアミ」でも同様のパフォーマンスを発揮し、四強に残る道のりの中で大坂なおみ(日本/日清食品)を破っている。
21度目の四大大会出場となった「全仏オープン」では準決勝に進出し、キャリア初記録を打ち立てた。準々決勝では前年度優勝者のイガ・シフィオンテク(ポーランド)を撃破したが、その後、最終的に優勝することとなったバーボラ・クレイチコバ(チェコ)に敗れた。このパターンは「全米オープン」でも繰り返された。ペトラ・クビトバ(チェコ)、ビアンカ・アンドレスク(カナダ)、カロリーナ・プリスコバ(チェコ)を相手に番狂わせを演じたものの、後に優勝を果たすエマ・ラドゥカヌ(イギリス)に屈した。「WTA500 オストラバ」では決勝に進出し、そこでアネット・コンタベイト(エストニア)に敗れた。サカーリはギリシャの女子で史上初めて世界ランキング10位内に入った選手である。
ナブラチロワの見解:
「大躍進の1年ね。流れが変わるゲームへの対応が本当に良くなったし、これまでより積極的になった。繰り返しによって自信が持てているわ。マリアはすごく守備のいい選手で、それを頼りにしていた。今は前に出ている。彼女の闘志には感心しているの。あれで相手をおじけづかせることができるわ。彼女の態度はすごく大胆不敵だからね。文字通り、そして比喩的な意味でも、あれで驚く人もいるかもしれない。彼女のプレーや振る舞いは、あたかも既に試合に勝ったかのよう。まだ試合の途中であってもね。ショットの調子は良くなっているし、守備の力もあるから、有力選手になるはずよ」
エバートの見解:
「人間発電機ね、彼女は。別物だわ。素晴らしい身体的な才能がある。動きと身体の状態のレベル。身長は小さいのに強烈なパンチ力があるわ。とても攻撃的。大物食いができるし、世界中の誰だって倒せる」
ガルビネ・ムグルッサ(スペイン)
2021年獲得タイトル:2(「WTA1000 ドバイ」、「WTA500 シカゴ」)
2021年成績:38勝16敗(勝率70%)
キャリアタイトル数:9
WTAファイナルズ出場回数:4回目(2015年:準決勝、2016年・2017年:グループリーグ敗退)
ムグルッサの2021年の始まりは見応えあるものだった。「WTA500 メルボルン」ではアシュリー・バーティ(オーストラリア)に敗れたものの準優勝、「全豪オープン」では4回戦、「WTA500 ドーハ」では決勝まで勝ち上がった後に、「WTA1000 ドバイ」でタイトルを手にした。このようにして23試合で19勝を積み上げたが、怪我によってムグルッサの勢いは削がれた。クレーシーズンに入って「WTA500 チャールストン」で左の太ももに怪我を負い、1ヶ月試合から離れることとなったが、影響はもっとずっと長く残った。「東京オリンピック」では準々決勝に進出し、エレナ・リバキナ(カザフスタン)に敗退。その後は「WTA1000 シンシナティ」と「全米オープン」で、2週間のうちに2回、クレイチコバに敗れた。「WTA500 シカゴ」では2度の不戦勝にも恵まれて調子を取り戻し、決勝でオンス・ジャバー(チュニジア)を下して2つ目のタイトルを獲得した。
ナブラチロワの見解:
「四大大会で2度優勝しているけれど、今まで“WTAファイナルズ”では結果を出せていない。間違いなく、彼女のプレーなら誰にでも勝てる。殿堂入りのキャリアね。どのサーフェイスでも勝てるけれど、これまでは安定していなかった。健康状態が良ければ、脅威になりえるわ。全員に勝ったことがあるからね」
エバートの見解:
「“ウィンブルドン”で優勝経験があって、ガルビネは完全な試合をする。彼女は強いわ。調子のいい時は、他の出場選手にはなさそうなレベルの自信を持っている。彼女を阻んできたのは怪我と緊張。彼女はクエスチョンマークね。どっちのガビが姿を見せるかしら?」
パウラ・バドーサ ジベルト(スペイン)
2021年獲得タイトル:2(「WTA250 ベオグラード」、「WTA1000 インディアンウェルズ」)
2021年成績:41勝15敗(勝率73%)
キャリアタイトル数:2
WTAファイナルズ出場回数:初
シーズン当初は世界ランキング70位であったバドーサ ジベルトは、「WTA1000 インディアンウェルズ」で栄えあるタイトルを獲得した後、キャリア最高位となる13位に浮上した。最初の成果は「WTA250 リヨン」で準決勝に進出し、クララ・トーザン(デンマーク)に敗退。そしてクレーシーズンには2ヶ月の快進撃を始めた。「WTA500 チャールストン」では、2回戦で当時世界12位のベリンダ・ベンチッチ(スイス)を、そして準々決勝では世界女王バーティを破って準決勝に進出。「WTA1000 マドリード」でも同じ活躍を見せ、1回戦でクレイチコバ、準々決勝で再びベンチッチを破ったものの、準決勝でバーティに敗れた。
バドーサ ジベルトは「WTA250 ベオグラード」を駆け抜けて初優勝し、「全仏オープン」では準々決勝まで勝ち進んで四大大会での最高成績を残した。夏の間も手堅い成績をおさめ、「ウィンブルドン」では4回戦、「東京オリンピック」と「WTA1000 シンシナティ」では準々決勝に進出した。彼女の最高の成果であるインディアンウェルズ優勝に至る道のりでは、3人のグランドスラム覇者を撃破した。クレイチコバ、アンジェリック・ケルバー(ドイツ)、そして決勝で対戦したビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)だ。
ナブラチロワの見解:
「彼女は遅いサーフェイスを好む。大きな武器があるわ。強力なサーブ、強烈なフォアハンド、手堅いバックハンド。動きもいいし、ネットプレーもうまい。それに、インディアンウェルズで優勝して自信にあふれているでしょうね。彼女は本当によく立ち向かったわ。決勝はほとんど意思の力で勝ったようなものね。グアダラハラではウォームアップがないんでしょう?準備万端でなければいけないわ。それは既知の未知よね。新顔たちがいつもと違うこの形式にどううまく対応するか。パウラは絶好調でしょうね」
エバートの見解:
「岩のように盤石。彼女には相手のラケットを吹き飛ばすような圧倒的な武器はないけれど、驚くほど動きがいい。テニスのIQも高いわ。あるポイントでどうプレーすればいいかわかっているし、一度勝利するごとに自信を深めているわ」
アネット・コンタベイト(エストニア)
2021年獲得タイトル:4(「WTA250 クリーブランド」、「WTA500 オストラバ」、「WTA500 モスクワ」、「WTA250 クルジュ=ナポカ」)
2021年成績:45勝15敗(勝率75%)
キャリアタイトル数:5
WTAファイナルズ出場回数:初
何というフィニッシュ。25歳のコンタベイトは10月31日に、「WTA250 クルジュ=ナポカ」の決勝で元世界女王のシモナ・ハレプ(ルーマニア)を6-2、6-2で破り、「WTAファイナルズ・グアダラハラ」の出場者を決めるレースでジャバーを追い抜いて、最後の8つ目の出場枠を手にした。10週間の間に、コンタベイトは4つのタイトルを獲得し、28試合戦って26勝を挙げた。皮肉なことに、この連勝はジャバーへの敗戦の後に始まった。
彼女のシーズンの目玉は、「WTA500 オストラバ」での5連勝だ。コンタベイトはここで、バドーサ ジベルト、ベンチッチ、クビトバ、そして決勝でサカーリを下した。「WTA500 モスクワ」では、同じく最終戦の出場資格を得たムグルッサを破り、シーズンで2度目となるトップ5選手からの勝利を挙げた。
ナブラチロワの見解:
「比べるまでもなく、ここ4ヶ月で一番好調の選手ね。間違いなくコーチのドミトリー・トゥルスノフ(ロシア)が大きな違いをもたらしているわ。彼女はこれまでよりとにかく自由に見える。より優雅で、より自由。以前ほど自分のプレーを制限されている感覚がない。彼らは本当にうまくやっている。彼女が優勝すると思うわ」
エバートの見解:
「自分を褒めようと思うわ。私はずっと彼女の試合が大好きだったからね。3年前、初めて彼女をじっくり見た時、“なんで彼女はもっと勝っていないのかしら”って不思議に思ったの。すごく安定しているわ。目には炎が灯っていて、稲妻のように動く。この2つが彼女のプレーを加速してきた」
(テニスデイリー編集部)
※写真は「WTA250 クルジュ=ナポカ」でのコンタベイト
(Photo by Flaviu Buboi/NurPhoto via Getty Images)