【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】◆先週の血統ピックアップ・11/6(現地時間) BCディス…

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆先週の血統ピックアップ

・11/6(現地時間) BCディスタフ(G1・米デルマー・ダート9ハロン)

 最終コーナーで先頭に立ったマルシュロレーヌが、内から差を詰めたダンバーロードをハナ差抑えて優勝しました。日本産馬がアメリカのダートGIを制したのは2018年のヨシダ(父ハーツクライ)以来3年ぶりのことですが、日本産馬かつ日本調教馬のダートG1制覇は史上初めてです。ただのG1ではなく、1984年のブリーダーズC創設以来、一貫してアメリカの牝馬中距離路線の最高峰に位置するビッグレースですから、その価値は絶大です。超ハイペースで前崩れとなり、後方待機のこの馬に展開が向いたとはいえ、それだけで勝てるほど甘いレースではありません。

 レース創設以来、アルゼンチン産馬が3頭勝っていますが(バヤコア、パセアナ、ブループライズ)、すべてアメリカ移籍後の勝利でした。カナダ産馬&カナダ調教馬のダンススマートリーが勝ったことがあるとはいえ、同じ北米地区の馬です。芝競馬がメインのわが国で誕生し、日本よりもはるかにレベルの高いアメリカのダートG1を目指して太平洋を渡り、本場の強豪たちをなぎ倒して優勝したのは、歴史的快挙としか表現しようがありません。

 父オルフェーヴルは現役時代に三冠を制覇したほか、フランスでフォワ賞(G2・芝2400m)を連覇しています。2代父ステイゴールドは香港ヴァーズ(G1・芝2400m)とドバイシーマクラシック(G2・芝2400m)を勝ちました。海外遠征で力を出せる系統です。

 母ヴィートマルシェはこれまでJRAでデビューした7頭の産駒がすべて2勝以上を挙げているという名繁殖牝馬。2代母キョウエイマーチは桜花賞馬。後者はダンシングブレーヴ産駒ながら、母の父ブレイヴェストローマンの影響により非凡なダート適性を備えていました。

 母の父フレンチデピュティを含めて母方の血はパワーにあふれ、父オルフェーヴルも連対率ベースで見ると芝よりもダートのほうが上。ダート適性の高さを感じさせる血統です。ただ、時計の速いアメリカのダートにフィットするかどうかは実際に走ってみなければ分かりません。

 マルシュロレーヌは芝で走っていた時代に芝2000m1分57秒9という持ち時計があります。パワーだけでなくスピードにも秀でたものがあり、矢作調教師がアメリカのダートに向くと判断したのはそこだったのでしょう。慧眼だったと思います。

 (文=栗山求)