北海道日本ハムファイターズの新監督に就任した新庄剛志さんの記者会見が11月4日、札幌市内のホテルで行なわれました。10…
北海道日本ハムファイターズの新監督に就任した新庄剛志さんの記者会見が11月4日、札幌市内のホテルで行なわれました。100人は優に超える報道陣が待ち構え、地元テレビ局のアナウンサーは会見が始まる前から興奮気味にレポート。
「新庄剛志さんは本当に来てくれるのでしょうか? まだ信じられません!」
そんななか、満を持して新庄新監督が会見場に颯爽と現れました。サングラスをかけ、ワイシャツの大きな襟をピンと立たせ、えんじ色のスーツを身にまとったド派手ないで立ちは、まるでムービースターです。

日本ハムの新監督に就任した新庄剛志氏
その光景があまりにも衝撃的すぎて、一瞬、「もしも新庄剛志が監督就任会見をやったら......」というコントに見えるほど。その後繰り広げられたトークを聞くと、たしかにコントのような面白さで、あながち間違いではありませんでした。
新庄監督「選手兼監督という形で契約を結んでいただきました」
川村浩二球団社長「いえいえ、監督だけです」
新庄監督「すいません。監督だけでした。今日はビシッと監督っぽい格好で来ました。これからは顔を変えずにチームを変えていきたいなと思います」
日本中が待ち望んだ"新庄劇場"の開演です----。
新庄さんと私は25年来の友人という間柄。新庄さんがプロ野球復帰宣言をした2019年11月から、ことあるごとにインタビュー取材をさせていただいていて、現在も週刊プレイボーイ(集英社)の連載コラム『新庄剛志の開運ポジ語録』の聞き手として取材を続けています。この連載は新庄さんのポジティブで前向きな言葉を読者に楽しんでもらおうという企画。取材のなかで新庄さんはこんなことを語っていました。
「『努力は一生。本番は一回。チャンスは一瞬』というストーリーが大好き。俺は努力を一生続けているし、一回きりの本番で巡ってきた一瞬のチャンスをこれまでずっとものにしてきたから」
これまでチャンスをものにし続けられた理由について、「努力し続けてきたから。そもそも努力していないと本番も与えられない」とも語ってくれました。
10月29日に日本ハム新監督就任が正式発表され、自身のインスタグラムで報告する際にも「努力は一生。本番は一回。チャンスは一瞬」という言葉を用いて、「この言葉を胸に日本ハムとともに、笑顔を忘れず、これから長い船旅を戦っていきます」と決意表明。新庄さんにとって、とても大切な言葉のようです。
かつて"宇宙人"と呼ばれ、パフォーマンス先行と見られることもある新庄さんが「努力」という言葉を繰り返すのは意外にも思えます。しかし、プロ野球再挑戦を表明後は「少しでも若い選手の参考になれば」という思いから、努力する姿、努力の大切さを積極的に伝えるようになったのです。
「もう現役じゃないから言うけど、俺はプロ野球選手のなかでもトップクラスで練習していたと思う。でも、現役時代は努力している姿を見せたくなかったの。練習なんか全然してないフリして、試合であっけらかんとホームランを打つ。それが俺にとっての理想のスターだから」
昨年12月のNPB12球団合同トライアウト後も、YouTubeやInstagramを通じて積極的に後進育成を行なってきました。ハイレベルな技術指導だけでなく、精神面の重要性についても独自の言葉で伝えるのが"新庄流"。会見でこんな発言もしていました。
「やっぱり気持ちの面ですね。このプロ野球という世界に入ってくる選手というのは、一緒なんですよ、レベルは。もうほぼほぼ一緒。ただメンタル的な問題であって、それを伸ばせないコーチ、監督がいたと思うんですけど、そのメンタル的なものに関してはものすごく引き出す力が自分にあると思うので」
はたして、新庄さんはどのような育成法で若手を鍛え伸ばすのでしょうか。連載コラム『新庄剛志の開運ポジ語録』でそのヒントが少し垣間見えた瞬間がありました。
「もし俺が監督やコーチなら、若手バッターにチャンスを与える時に『四球なんて狙わなくていいから、ストライクゾーンを大きく持って打ちにいきなさい』って言ってあげるね。そのほうが、力が抜ける。『ボール球に手を出したらいけない』と思えば思うほど、いい結果は出ないから。
若手ピッチャーだったら、『3回投げたら3点とられてもいいよ』って言ってあげる。そしたらラクに投げられると思うし。フリーバッティングの遅いボールでも、なかなかホームランは打てないよ。10球に対して、多くても3、4本くらい。だから、若手ピッチャーがピンチの時には『フリーバッティングの遅いボールでもバッターはなかなか打てないんだから。普通に投げてみ。簡単に打てるもんじゃないから』って声をかけてマウンドに立たせてあげる。それできっと抑えられるよ」
指導者としての新庄さんは、プレーする選手の気持ちの持ち方をなによりも重要視しているのです。そして、記者会見で「監督としての夢」について聞かれた新庄さんはこう答えていました。
「世界一の球団、世界一のチームにしたいですね。でっかい目標として置いておきたい。そのためには全国のファンの力っていうものはものすごく大事であって。北海道が日本ハムと一緒に生活をしていけたら最高だと僕は思ってるんで。一人ひとりの笑顔を少しずつ増やしていけたらうれしいですね」
新庄流メンタル指導法が選手全員に浸透することでチームが成長し、北海道日本ハムファイターズが世界一の球団になることを私は信じています。
インタビューマン山下
1968年生まれ、香川県出身。1992年、世界のナベアツ(現・桂三度)とジャリズム結成、2011年に解散。同年、オモロー山下に改名し、ピン芸人として活動するも2017年に引退。その後、ライターに転身。また、2021年に芸人に復帰し、『M-1グランプリ2021』ではユニットコンビ「山下ぴんく」として3回戦進出。現在は芸人とライターの二足のわらじで活動中