8日、SUPER GTの2017年シリーズが岡山国際サーキットで開幕。この日は公式予選が行なわれ、大波乱の展開の末、GT500クラスのポールポジションはARTA NSX-GTの野尻智紀&小林崇志が獲得した。GT300のポールはLEO…

8日、SUPER GTの2017年シリーズが岡山国際サーキットで開幕。この日は公式予選が行なわれ、大波乱の展開の末、GT500クラスのポールポジションはARTA NSX-GTの野尻智紀&小林崇志が獲得した。GT300のポールはLEON CVSTOS AMGの黒澤治樹&蒲生尚弥。

ついに開幕を迎えたSUPER GT。予選日の岡山の空は曇りながら、雨も意識し続けなければならない微妙な天候状況に。コース全域が本格的な雨に見舞われることこそなかったが、午後の予選の展開には少なからず雨の影響が及んだ。

予選は今季もGT500とGT300のクラス別2段階ノックアウト方式。コンビを組むドライバーのひとりがQ1を、もうひとりがQ2を受け持つ。セッションはGT300のQ1(14台通過)、GT500のQ1(8台通過)、GT300のQ2、GT500のQ2という順で進んでいく。

17年規定マシンでの戦いに移行したGT500クラス(15台参加)では、開幕前のテストで築かれたレクサスLC500&ブリヂストン(BS)タイヤ優勢のムードが予選日の公式練習でもキープされ、予選に入ってもQ1までそれは変わらなかった。6台のLC500勢のうち、ディフェンディングチャンピオンの#1 DENSO KOBELCO SARD LC500(H.コバライネン&平手晃平/タイヤはBS)だけが、僅差攻防のなかでトップとコンマ5秒差の9位で惜しくもQ1敗退を喫したが、5台のLC500がQ2へと進出。

ところが、そのQ2で大きな波乱が待っていた。各車がタイムを出し始めた、あるいは出し始めようかというところで、雨の影響だろう、#36 au TOM'S LC500(中嶋一貴&J.ロシター/BS)がコースアウトして赤旗中断になってしまったのだ。この段階で、ある程度まともと言えるタイムを出していたのは1分20秒台の#8 ARTA NSX-GT(野尻智紀&小林崇志/BS)と#6 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也&A.カルダレッリ/BS)の2台だけ。

残り3分からセッションは再開されるが、雨の影響が大きくなりつつありタイム更新は厳しそうな状況。さらに、再開直後に#16 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀&中嶋大祐/ヨコハマ=YH)がコース上で止まったこともあり再度の赤旗中断、結局そのままQ2はセッション終了となった。

レクサス優位が予測されたなか、幸運を味方につけてNSXがポール獲得。何が起こるかわからないことが魅力のSUPER GT、その面白さがいきなり出た。Q2を走った#8 NSXの小林は久々のGT500復帰だったが、そこで運を引き寄せてのポール獲得に「もってましたね」と笑う。

ただ、#8 NSXのポールは幸運だけに依るものでは決してない。Q1を担当した野尻は「Q2で小林選手が早い段階から一生懸命にタイヤを温めて、(状況のなかで)プッシュしていたことが結果につながったんだと思います」と僚友を讃え、小林も「野尻選手が(フルアタック勝負の)Q1を突破してくれたからこそ、僕がQ2を走れたわけです。今日のハイライトは野尻選手です」と讃え返す。

もちろん、両雄はチームやホンダ、ブリヂストンの努力への感謝も語っている。そして明日の決勝に向けても、「簡単には負けたくないですし、このポジションを守りたいです」(小林)、「今日はラッキーもあった日でしたが、明日は明日で気を引き締めて、集中して戦います。またここ(会見場)に戻ってきたいですね」(野尻)と意欲を燃やす。背後から迫り来るであろうレクサス艦隊にどんな走りで対抗するのか、決勝の#8 NSXの戦いが楽しみだ。

GT500クラス予選2位は#6 LC500。Q2で赤旗の原因となった#16 NSXと#36 LC500はタイム抹消で7~8位に置かれ、3~6位は以下のような順位となった。

3位 #37 KeePer TOM'S LC500(平川亮&N.キャシディ/BS)
4位 #38 ZENT CERUMO LC500(立川祐路&石浦宏明/BS)
5位 #17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大&小暮卓史/BS)
6位 #19 WedsSport ADVAN LC500(関口雄飛&国本雄資/YH)

なお、日産GT-R勢は4台ともQ1で敗退。#24 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(佐々木大樹&J-P.デ.オリベイラ/YH)の11位が最高で、他の3車は13~15位に並ぶ厳しい結果となった。決勝での挽回があるのだろうか、こちらも要注目だ。

GT300クラス(30台参加)のポールポジションは、昨年の開幕戦岡山ウイナーである#65 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹&蒲生尚弥/BS)が獲得。今季はタイヤをBSにスイッチして迎えた#65 メルセデスだが「開発を急ごうということで、冬にかなりの走行量を重ねてきました。まだステップアップも必要ですが、チームスタッフがよくまとめあげてくれました」(黒澤)と、いきなりの好マッチングを見せている。

GT300クラスの予選2~6位は以下の通り。こちらも赤旗が絡む展開となったなか、メルセデス勢が異なるタイヤで予選1-2を占めている。

2位 #4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝&片岡龍也/YH)
3位 #25 VivaC 86 MC(松井孝允&山下健太/YH)
4位 #51 JMS P.MU LMcorsa RC F GT3(中山雄一&坪井翔/BS)
5位 #88 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学&平峰一貴/YH)
6位 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人&山内英輝/ダンロップ=DL)

GT300には注目ニューカマーも参戦しているが、#117 EIcars BENTLEY GT3(井出有治&阪口良平/YH)は予選23位。#52 埼玉トヨペットGreenBraveマークX MC(番場琢&脇阪薫一/YH)はQ1でコースアウトして赤旗中断の原因になるシーンがあり、ノータイム(タイム抹消)の29位扱い。ともに決勝での挽回を狙いたいところだ。

決勝300kmレースは明日(9日)の午後2時30分にパレードラップスタート予定。当初よりも天気予報は好転傾向にあり、ドライでの真っ向勝負となりそうな気配も漂ってきているが、いずれにせよ決勝もSUPER GTらしい、一切の予断を許さぬ展開となりそうだ。

GT500のポールを獲得した野尻(左)と小林(右)。《撮影 益田和久》

GT500のポールを獲得した野尻(左)と小林(右)。《撮影 益田和久》

GT300クラス予選1位の#65 メルセデス。《撮影 益田和久》

GT300クラス予選1位の#65 メルセデス。《撮影 益田和久》

GT300のポールを獲得した蒲生(左)と黒澤(右)。《撮影 益田和久》

GT300のポールを獲得した蒲生(左)と黒澤(右)。《撮影 益田和久》

GT500クラス予選2位の#6 LC500。《撮影 益田和久》

GT500クラス予選2位の#6 LC500。《撮影 益田和久》

GT500クラス予選3位の#37 LC500。《撮影 益田和久》

GT500クラス予選3位の#37 LC500。《撮影 益田和久》

GT500クラス予選4位の#38 LC500。《撮影 益田和久》

GT500クラス予選4位の#38 LC500。《撮影 益田和久》

GT00クラス予選7位扱いとなった#16 NSX-GT 。《撮影 益田和久》

GT00クラス予選7位扱いとなった#16 NSX-GT 。《撮影 益田和久》

GT500クラス予選8位扱いとなった#36 LC500。《撮影 益田和久》

GT500クラス予選8位扱いとなった#36 LC500。《撮影 益田和久》

GT500クラス予選11位の#24 GT-R。《撮影 益田和久》

GT500クラス予選11位の#24 GT-R。《撮影 益田和久》

GT300クラス予選2位の#4 メルセデス。《撮影 益田和久》

GT300クラス予選2位の#4 メルセデス。《撮影 益田和久》

GT300クラス予選3位の#25 VivaC 86 MC。《撮影 益田和久》

GT300クラス予選3位の#25 VivaC 86 MC。《撮影 益田和久》

GT300クラス予選4位の#51 RC F。《撮影 益田和久》

GT300クラス予選4位の#51 RC F。《撮影 益田和久》

GT300クラス予選5位の#88 ウラカン。《撮影 益田和久》

GT300クラス予選5位の#88 ウラカン。《撮影 益田和久》

GT300クラス予選23位の#117 ベントレー。《撮影 益田和久》

GT300クラス予選23位の#117 ベントレー。《撮影 益田和久》

GT300クラス予選29位扱いの#52 マークX MC。《撮影 益田和久》

GT300クラス予選29位扱いの#52 マークX MC。《撮影 益田和久》