現地時間11月5日(日本時間6日未明)、6日(同7日未明)の両日、アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴ郊外のデルマー…
現地時間11月5日(日本時間6日未明)、6日(同7日未明)の両日、アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴ郊外のデルマー競馬場で、北米最大の競馬の祭典、ブリーダーズカップ(BC)が行なわれる。

BCフィリー&メアターフに出走するラヴズオンリーユー
ブリーダーズカップは1984年に始まった、1日に複数のカテゴリーのチャンピオン決定戦が行われるカーニバル開催で、北米の競馬場が毎年持ち回りで実施している。1日目はいずれも2歳戦で、GⅠが4つとGⅡがひとつ、2日目は3歳以上でGⅠが9つ行なわれる。
このモンスター級の競馬開催に、今年は7頭の日本調教馬が6競走に参戦。BCジュベナイル(ダート1600m)にジャスパーグレイト(牡2歳)、BCダートマイル(ダート1600m)にピンシャン(牡4歳)とジャスパープリンス(牡6歳)、BCフィリー&メアターフ(芝2200m)にラヴズオンリーユー(牝5歳)、BCマイル(芝1600m)にヴァンドギャルド(牡5歳)、そしてBCディスタフ(ダート1800m)にマルシュロレーヌ(牝5歳)という内訳だ。これまでに2頭が挑戦することはあったが、ここまで大挙しての出走は異例であり、初めてになる。
このうち、フィリー&メアターフとマイル、日本調教馬の出走はないがBCターフ(芝2400m)がJRAでも馬券の発売対象レースになっている。ターフが含まれたのは、ラヴズオンリーユーの出走レースがギリギリまで判断を待ったことによるもので、日本のファンも参加できるレースが増えたのは思わぬ恩恵だった。
馬券発売対象レースの中で最初に行なわれるのは、日本時間で7日の午前5時59分発走のフィリー&メアターフ。今回の7頭の中でもっとも実績があるラヴズオンリーユーが出走する。
今年2月の京都記念(2月14日/阪神・芝2200m)を快勝したあと、3月にはドバイに遠征してGIドバイシーマクラシック(3月27日/メイダン・芝2410m)でミシュリフ、クロノジェネシスに僅差の3着に敗れた。そのまま帰国せずに香港に転戦し、GIクイーンエリザベス2世C(4月25日/沙田・芝2000m)を勝利して、3歳時のオークス(東京・芝2400m)以来のGIタイトルを手にした。
そして秋の目標をブリーダーズCとし、札幌記念(8月22日/札幌・芝2000m)から始動。レースはソダシ(牝3歳)の2着に敗れたが、斤量差を考えれば、秋に向けての1戦目として上々の内容になった。
管理する矢作芳人厩舎は栗東トレセン所属だが、渡米前の検疫期間中は美浦トレセンで調整され、レース2週間前の10月22日に成田空港から決戦の地へと飛び立った。これは春の遠征でも、ラヴズオンリーユーが輸送後に状態が上がるまで少し時間を要するタイプであったことと、トレセンから空港への輸送の負担の軽減を踏まえての陣営の策だ。帯同馬にマルシュロレーヌもいたことで、想定以上に順調にここまで運んだという。
そのラヴズオンリーユーは海外のブックメーカーでは4~5倍見当の2番人気の評価。凱旋門賞を直前回避したアイルランドの強豪牝馬・ラヴ(牝4歳)や、昨年の勝ち馬アウダーリャ(牝5歳)が3、4番人気ということからも、世界から高い評価を受けていることがわかる。加えて、手綱を取る川田将雅騎手は、渡米直前に金沢競馬場で行なわれたJBCスプリントとJBCレディスクラシックを勝利と、勝負勘が"仕上がった"状態での参戦で期待は高まるばかりだ。
同馬を抑えて1番人気に支持されているのが、米国のウォーライクゴッデス(牝4歳)だ。デビューは3歳秋と遅れたが、そこから7戦6勝。目下4連勝中で、GⅢを2連勝したのち、GⅡグレンズフォールズS(サラトガ・芝2400m)を勝利。そして前走はGⅠフラワーボウルS(サラトガ・芝2200m)で待望のGⅠ初制覇を果たした。重賞戦線は東海岸で使われており、西海岸での出走はこれが初めて。さらに骨太の相手となる今回は今後への試金石になる。
一方で、フィリー&メアターフのメンバーについて矢作調教師は「実績はあるけど、手強いメンバーではない。『この距離で、力を出せば勝てる相手』と判断してこのレースを選んだ」と、まったく臆する様子はない。
そして日本時間午前7時20分には、ヴァンドギャルドが出走するBCマイルが発走する。

BCマイルに出走するヴァンドギャルド
ヴァンドギャルドも矢作厩舎の2頭と同じスケジュールで渡米。現地では、今年のドバイターフ(3月27日/メイダン・芝1800m)で2着になった時と同じく、藤原和男助手が孤軍奮闘で調整を行なっている。
ただ、ラヴズオンリーユーと異なり、ヴァンドギャルドの渡米決定はやや"綱渡り"な部分もあった。というのも、今年のBCマイルは出走希望馬が多く、レーティング順から出走枠に入れない可能性もあったからだ。しかし、滞在競馬、平坦、左回りという条件がヴァンドギャルドに適しているという陣営の判断から渡米が決まり、無事に出走にもこぎつけたという背景がある。
11月3日の芝コースでの追い切りには、前日に到着した福永祐一騎手が騎乗。前走の毎日王冠(10月10日/東京・芝1800m)からの前進に手応えを見せていた。前売りオッズでは20倍見当とやや穴馬の評価をされているが、ドバイでも見せたじわじわとした伸びを見せれば、ひと泡吹かせるシーンも期待できそうだ。
目下の1番人気は、ゴドルフィンの英国調教馬スペースブルース(牡5歳)。1300~1400mを主戦場にGⅠを2勝、前走も凱旋門賞当日に行なわれたGⅠフォレ賞(10月3日/パリロンシャン・芝1400m)を快勝している。
だが、3着が日本のオープン特別級のエントシャイデンだったことを考えると、力量差がオッズほどあるようには思えない。加えて、2歳時に1700mのレースは勝ってはいるが、これまでマイルを避けてきたことを考えると、信頼できる大本命というわけではなさそうだ。
むしろ2番人気のモーフォーザ(牡5歳)のほうが西海岸がベースであり、デルマーでの2つを含むGⅡを4連勝ということからも計算が立ちやすい。初勝利を挙げて以降は9戦8勝で、唯一の敗戦は今年の1月、フロリダのガルフストリームパーク競馬場に遠征したペガサスワールドCターフ(ガルフストリームパーク・芝1900m)でのもので、距離も考えれば度外視できる。
3番手は3頭が横並びの評価。アイルランドのマザーアース(牝3歳)は3歳牝馬ながらすでにデビュー以来16戦を消化。勝ち鞍はわずかに3勝だが、そのうちの2つは、英国1000ギニー(ニューマーケット・芝1600m)、フランスのロートシルト賞(ドーヴィル・芝1600m)と2つのマイルGⅠだ。アイルランド調教ではあるが平坦コースで結果を出しており、ここでも当然警戒が必要だ。
ブロウアウト(牝5歳)は軽快な先行力を武器に9戦3勝。前走はファーストレディS(キーンランド・芝1600m)で初のGⅠ勝利を果たした。中東部を中心に使われているが、昨年は今回と同じコースの牝馬GⅠメイトリアークS(デルマー・芝1600m)でハナ差の2着もある。ただ、全体的に時計はかかってほしいタイプ。加えて今回は10番枠で、先行しようとすると少しペースが速くなるかもしれない。
日本のファンなら注目したいのが、ブラジル産のインラブ(せん5歳)だ。父は日本で活躍したアグネスゴールド。中東部を中心に使われながら徐々に成績を上げており、前走はキーンランドターフマイルS(キーンランド・芝1600m)を勝って3連勝で初重賞を手にした。
アグネスタキオンと同期だった父アグネスゴールドは、デビューから4連勝で「クラシックの有力候補」と目されたが故障で棒に振り、"同門対決"は幻に終わった。父の現役時代を髣髴とさせる決め手からも、一発の可能性に期待したい。