チャンピオンズリーグ(CL)グループリーグ第4節は、第3節のカードのリターンマッチになる。ホーム&アウェー戦を、前の節…

 チャンピオンズリーグ(CL)グループリーグ第4節は、第3節のカードのリターンマッチになる。ホーム&アウェー戦を、前の節の戦いの余韻を残しながら間を置かずに戦う。

 第3節の戦いを見て、最も高いレベルで拮抗していたのが、リバプールとアトレティコ・マドリードの一戦だった。アウェーのリバプールが2-3で勝利したが、0-2でリードしながらアントワーヌ・グリーズマンに2ゴールを許して同点とされる展開は、リバプールにとってよい勝ち方ではなかった。リバプールに決勝ゴールが生まれたのは、活躍していたグリーズマンが不運な赤紙判定で退場に追い込まれ、アトレティコが10人になった後になる。

 アンフィールドで行なわれる両軍の戦いといえば、2シーズン前のCL決勝トーナメント1回戦を想起する。アトレティコが延長戦で大逆転劇を演じた一戦だ。CL第4節の戦いに期待感は募った。

 ところが、結果は呆気なかった。2-0。リバプールの完勝に終わった。先制点が生まれたのは開始12分。リバプールは、右サイドをジョーダン・ヘンダーソン、モハメド・サラー、アレキサンダー・アーノルドのドリブルをまじえたパス交換で崩し、アーノルドが最終ラインの裏へクロスボールを送り込むと、その背後へ勘よく抜けだしたディオゴ・ジョタが、これをヘッドで流し込んだ。



アトレティコ・マドリード戦で先制ゴールを決めたディオゴ・ジョタ(リバプール)

 昨季、ウルバーハンプトンから加入した24歳のポルトガル代表FWだ。2019-20シーズンまでのリバプールのFWは、サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノ、モハメド・サラーの3トップが看板を張っていた。そのシーズンの冬、リバプールに加わった南野拓実はフィルミーノのサブという扱いだったが、スタメンを奪うのは難しい状況だった。

 ところが、そのおよそ半年後に入団したジョタは、フィルミーノとスタメン争いを展開。今季はここまでフィルミーノに対して、そのおよそ倍の時間、出場している。サラーとモネの間に入って、スタメンの座を掴んだ状態にある。

 それは同時に、南野の出場時間が伸び悩む原因でもあるのだが、それはともかく、ジョタは、後半3分にもアトレティコゴールを破るシュートを放っていた。ジョエル・マティップからのスルーパスを、左足で流し込んでいる。ほんの数センチ、アトレティコの最終ラインより先で受けたため、VARでゴールは取り消しになったが、存在感をアピールするには十分なアクションだった。

 技巧を売りにするポルトガル代表FWはアトレティコにもいた。間もなく22歳になるジョアン・フェリックスだ。アトレティコホームで行なわれた第3節の試合で、個人的には最大の見せ場を作った選手として記憶している。1-2から2-2に追いつくグリーズマンのシュートを演出したドリブルとパス。奥ゆかしいと言うか、味わい深いと言うか、そのまさにサッカー的なボール操作術に、こちらの目は釘づけになった。

 2戦続けて、ポルトガル代表選手のプレーに酔いしれたわけだが、リバプール対アトレティコ戦と同時刻に行なわれていたマンチェスター・シティ対クラブ・ブルージュ戦でも、ポルトガル代表選手がマン・オブ・ザ・マッチ級の活躍を演じていた。

 マンチェスター・シティの左サイドバック(SB)として先発したジョアン・カンセロだ。開始早々、バー直撃弾を放ったかと思えば、チームがこの日挙げた4点中、3点にアシスト役として絡んだのだ。

 思わず、現在の世界ナンバーワン左SBと断言したくなった。利き足は右だが、そう言われなければ左利きにも見える、いわば両利きだ。この試合の後半、左利きの左SBオレクサンドル・ジンチェンコが投入されると、カンセロは右SBとしてプレーしている。左SBと全く変わらぬ雰囲気を発露させながら。SBが活躍するチームは強いと言われる今日のサッカーだが、カンセロはその言葉を裏づける選手と言える。

 ジョタ、ジョアン・フェリックスに続き、カンセロも技巧派だ。近年、めざましい勢いで数を増やしているアスリート系選手たちと一線を画す。カンセロとともにマンチェスター・シティに欠かせぬ存在となっているMFベルナルド・シルバしかり。同チームに所属するもうひとりのポルトガル代表選手、ルーベン・ディアスはセンターバックなので例外になるが、身体能力や強度を売りにしていないところに、このご時世、高い価値を感じる。彼らのプレーを見ているとホッとさせられる。マンチェスター・ユナイテッドの中心選手、ブルーノ・フェルナンデスもそうだ。

 その一方、サッカー界にフィジカル的な価値を植えつけたのもポルトガル人選手だった。今季マンチェスター・ユナイテッドに移籍したクリスティアーノ・ロナウドだ。圧倒的なスピードと抜群の肉体を誇るハード系FWがこの世の中に増える原因を作った選手といっても過言ではない。

 要はバランスの問題なのだが、ロナウド路線とは異なる忘れてはいけないサッカーの魅力を、今が旬のポルトガル人選手がCLの舞台で発揮している格好だ。
 
 スペイン人選手も同じ路線上にあるが、スペインのクラブサッカーが振るわない感じになっているいま、ポルトガル人選手のほうが"旬"な存在に見える。

 ベンフィカ、スポルティング、ポルトと、ポルトガルは今季のCLに3チームを送り込んでいる。これは4シーズンぶりの話になるが、隣国スペインと異なるのは、自国に欧州サイズで言うところのビッグクラブがない点だ。優秀な選手はほぼ外国でプレーしている。人材を輩出している国だ。

 これ以外にもヌーノ・メンデス、ダニーロ・ペレイラ(ともにパリ・サンジェルマン)、ラファエル・ゲレイロ(ドルトムント)アンドレ・シルバ(ライプツィヒ)など、今季のCLを、国外のクラブで戦うポルトガル人選手は多数いる。国内組と国外組の割合は3対7といった感じだ。類似する国はオランダ、ベルギーになるが、欧州サッカーへの貢献度はそれ以上という気がする。ポルトガルはまさに人材の宝庫なのである。

 今季のCLを見ているうちに、2022年カタールW杯で、ポルトガル代表は推したくなるチームになってきた。