球春が訪れようとしている。東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)は8日に開幕を控え、早大は法大との初戦に臨む。昨秋、3位の早大は2勝1敗で5位の法大を下したが、新年度となり戦力状況が変わった今、どちらに軍配が上がるかは断言できない。しかし法…

球春が訪れようとしている。東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)は8日に開幕を控え、早大は法大との初戦に臨む。昨秋、3位の早大は2勝1敗で5位の法大を下したが、新年度となり戦力状況が変わった今、どちらに軍配が上がるかは断言できない。しかし法大は、前チームからの戦力差が小さいと評されており、多くのレギュラー陣が入れ替わった早大にとっては強敵となる。

開幕投手は小島和哉(スポ3=埼玉・浦和学院)が濃厚だ。昨季最優秀防御率に輝いたサウスポーは、1年時から神宮のマウンドに立ち現在11勝を挙げており、現役では最多勝。勝ち慣れた小島で最少失点に抑え、初戦を取りにいく。カギは今年から先発枠入りした柳澤一輝(スポ4=広島・広陵)が2回戦をどう投げるかだ。昨秋主に抑えで活躍した右腕の、持ち前の速球を生かした投球に期待する。早大の『守り勝つ野球』を実現させるために欠かせない投手陣だが、春季オープン戦では投手陣の崩壊や野手陣の守備の乱れが目立つ試合もあり、チームとして守りに不安が残るのも確かだ。

新エース小島の快投で初戦を取りたい

得点できないことには始まらない。打線では八木健太郎(スポ4=東京・早実)がオープン戦で本塁打を放つなど快音を鳴らしており、1番として求められる最高の仕事をこなす場面があった。また、織原葵(社4=東京・早実)は対社会人チームでの3点本塁打を含む長打の数々で打点を稼いでいる。新正捕手の岸本朋也(スポ3=大阪・関大北陽)も打撃は好調だ。しかしながら、散発に終われば勝利は難しい。まずは先頭が出塁するのが第一条件。小技の駆使も視野に入れ、走者を確実に先の塁へ進めることが重要だ。打線のつながりが勝敗を左右する。

一方の法大は、ほとんどの主力選手にリーグ戦での実戦経験がある。その中でも小林満平(3年)は、現役最多安打選手であり、去年春にベストナインに選出された実力者。3番・向山基生(3年)も高い打率を記録し、強力な法大クリーンアップの一角を担う。続く4番には昨季3本塁打を放った中山翔太(3年)が座り、大砲として相手投手陣を迎え撃つ。早大は慎重な攻略が求められるだろう。投手陣は速球派が目立つが、防御率は決して低くない。球速に差し込まれずに相手の球を捉え、打ち崩したい。

3季ぶりの優勝を目指す早大にとって、チームに勢いをつけるためにも落とすことのできないこのカード。早大は45度、法大は44度の優勝経験がある。最多優勝回数を1つ伸ばし、他大を退けたい。春季オープン戦で負け越した不安を払拭(ふっしょく)しきれてはいないが、まずは何としても勝ち点をもぎ取り、幸先良いスタートとする。それは、六大学の頂を奪還する上での絶対条件だ。

(記事 廣田妃蘭、写真 加藤佑紀乃、杉田陵也氏)