TEAM123456789計慶 大0000102003早 大3000000003(早)徳山、西垣―岩本◇(二塁打)岩本2…

TEAM
慶 大
早 大
(早)徳山、西垣―岩本
◇(二塁打)岩本2、福本

 皆の希望を乗せた飛球が、慶大二塁手・古川智也(3年)のグローブに収まる。その瞬間、『奇跡』の逆転優勝の夢は無情にもついえた。逆転での東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)優勝に向けて、勝利が絶対条件の早大は、初回にが走者一掃の3点適時打を放ち、試合の主導権を握る。先発・.111は、力強い直球を中心に慶大打線に得点を許さない。しかし、5回に1点を失うと、7回には守備のミスも絡み、同点に追いつかれる。勝ち越しを狙う早大は、8回には2死一、三塁、9回には2死二塁の好機をつくるも、快音は響かず。東京六大学リーグ単独最多47回目の優勝は、来年以降に持ち越されることとなった。

 絶対に負けられない一戦は、初回から大きな山場を迎えた。徳山は、連打と盗塁でいきなり無死二、三塁のピンチを招く。しかし、エースは持ち味の粘り強さを発揮する。3番・下山悠介(3年)を左飛に打ち取ると、続く正木智也(4年)、廣瀬隆太(2年)にも安打を許さず、初回を無失点に切り抜けた。するとその裏、打線が二死からつながりを見せる。二つの四死球と安打で満塁のチャンスをつくると、打席には6番・岩本副将。2球目のチェンジアップを捉えた打球は、右中間を破る走者一掃3点適時打となり、いきなり3点を先制した。


先制の3点適時二塁打を放つ岩本

 先発・徳山は2回以降、走者を出しながらもストライク先行の投球を見せ、慶大打線に得点を与えない。5回には、2死二、三塁から2番・渡部遼人(4年)の遊撃手への内野安打で1点を失うも、2点リードで試合の後半を迎える。

 しかし迎えた7回、好投を続けていた徳山が乱れる。二死走者無しから古川に中前打を許すと、代打・若林将平(4年)にも四球を与え、迎えるは前の打席で適時打を放った渡部遼。6球目の変化球を捉えた打球は右前適時打となり、1点を失う。さらに、本塁タッチアウトを狙った右翼手・.111の送球が逸れ、慶大ベンチに入ってしまう。これで慶大に安全進塁権が与えられると、一塁走者・若林の生還が認められ、同点に追いつかれた。引き分けすらも許されない早大にとっては、痛恨の1点となった。


8回3失点の力投を見せた徳山

 一方の打線は、慶大救援陣の前に5回から3イニング連続三者凡退に抑えられるなど、初回以降沈黙が続いた。その中で終盤の8回、千載一遇の好機が訪れる。先頭の.111が出塁すると、2死後、2番・.111が左前打を放ち、一、二塁の好機をつくる。打席には、昨秋の劇的弾が今なお記憶に新しい蛭間。昨秋の再来が期待されたが、慶大守護神・橋本達弥(3年)の前に、空振り三振。決定機を逃した。


8回、好機で三振に倒れ唇をかむ蛭間

 9回表のマウンドには、前日119球の粘投を見せたを送る。西垣は1死三塁とされるも、連続三振で切り抜け、早大に流れを呼び込んだ。そして迎えた最後の攻撃、先頭打者は今季躍進の原動力となった。6球目を振り抜いた打球は、三遊間を破るかと思われたが、慶大遊撃手・朝日晴人(3年)がダイビングキャッチ。相手好守に阻まれ、貴重な走者を出塁させることができない。.111も三振に倒れ、絶体絶命の状況を迎える。この場面で6番・岩本が、バットを折りながらも三塁線を破る二塁打を放ち、一打サヨナラの場面をつくる。『まだ試合は終わっていない』。この日一番の盛り上がりとなる早大ベンチとスタンド。打席には代打・小野元気(人4=千葉・芝浦工大柏)。しかし、願いはかなわず、小野は二飛に倒れる。早大ナインは、マウンドにできた歓喜の輪を見つめるしかなかった。

 『強い早稲田を取り戻す』。この言葉のもとに、現体制は幕を開けた。そして、掲げたチームスローガンは、早大野球部の精神そのものである『一球入魂』。.111が「十字架」と語るものを背負ったチームは、苦難の連続であった。連覇を狙った春季リーグ戦は、まさかの5位。徳山、西垣の『Wエース』の状態は上がらず、打線も好機での一本を欠いた。逆襲を期した夏、小宮山監督が出した指令は、「自分の人生に於(お)いて、最も忘れられない夏にせよ」。猛練習のかいもあり、夏季オープン戦では「後半の強さ」(丸山主将)を発揮し、順調に勝利を重ねていった。

 自信を胸に臨んだ今季、開幕カードの立大戦でまさかの連敗。続く東大には連勝するも、法大戦は痛恨の2試合連続の引き分け。この時点で優勝は、絶望的となった。しかし、早大はここからはい上がる。明大1回戦では、9回2死から2点差をひっくり返しての大逆転勝利。『一球も無駄にせずに、次の打者に何としてもつなげる』。その思いが、選手たちからはひしひしと伝わってきた。続く明大2回戦、慶大1回戦を連勝。2回戦で勝利を収めれば、逆転優勝という状況に持ち込んだ。そしてこの日も、どんな状況であっても誰一人諦めることなく、目の前の一投一打に全力を尽くす。その姿はまさに、『一球入魂』を体現するものであった。一方で、優勝を逃したという事実は変わらない。この日の悔しさを晴らすために――。『強い早稲田を取り戻す』ための戦いは、まだ道半ばだ。


試合後、応援部やベンチを外れた部員らとともに写真を撮るナイン。王者・慶大に対しあと一歩のところまで迫った

(記事 杉﨑智哉、写真 山崎航平)

黄字は打点付き

早大打者成績
打順守備名前
1(三)中川卓也400.333中飛 一ゴ 二ゴ  二ゴ 
2(左)福本翔420.400右飛 左2  左飛 左安 
3(右)蛭間拓哉300.220四球 中飛  遊ゴ 空三 
4(一)今井脩斗410.471左安 空三  空三  遊直
5(二)丸山壮史310.237死球  中安  見三 空三
6(捕)岩本久重423.220右2  空三  一邪 左2
 西田燎太000.000         
7(遊)熊田任洋300.114 遊ゴ 遊飛  投ゴ  
 小野元気100.000        二飛
8(中)鈴木萌斗310.220 三飛  空三  中安 
9(投)徳山壮磨 200.273 二飛  遊飛    
 小西優喜100.000       空三 
 西垣雅矢000.308         
早大投手成績
名前
徳山壮磨6118934323.51
西垣雅矢7311102001.02
東京六大学秋季リーグ戦星取表
順位 慶 大早 大明 大立 大法 大東 大勝ち点勝率
慶 大●3-5
△3-3
△4-4
△2-2
○8-5
△2-2
○11-2
△0-0
○15-1
○4-1
6.5.800
早 大○5-3
△3-3
○8-5
○3-0
●0-4
●2-5
△0-0
△0-0
○23-1
○19-0
6.5.714
明 大△4-4
△2-2
●5-8
●0-3
○2-1
○5-4
△4-4
△6-6
○9-0
○22-0
.667
立 大●5-8
△2-2
○4-0
○5-2
●1-2
●4-5
○8-3
○4-1
○15-6
●4-7
5.5.556
法 大●2-11
△0-0
△0-0
△0-0
△4-4
△6-6
●3-8
●1-4
○11-1
△0-0
.250
東 大●1-15
●1-4
●1-23
●0-19
●0-9
●0-22
●6-15
○7-4
●1-11
△0-0
1.5.111


※選手のコメントは後日別記事にて掲載いたします。