パ・リーグは30日、レギュラーシーズンの全日程が終了し、個人タイトルが確定した。最終カードで動き、異例の決着となったの…

 パ・リーグは30日、レギュラーシーズンの全日程が終了し、個人タイトルが確定した。最終カードで動き、異例の決着となったのが盗塁王だ。ロッテVS日本ハム戦で、ロッテ・荻野貴司と日本ハム・西川遥輝が1盗塁ずつ決めてフィニッシュ。この結果、最終戦では出番がなかったロッテ・和田康士朗、西武・源田壮亮と史上初めて4選手が24盗塁で並び、盗塁王を分け合った。

・今すぐ読みたい→
気になる個人タイトルの行方は? 最大の見所はかつてないハイレベルな「セ・リーグ新人王」 https://cocokara-next.com/athlete_celeb/high-level-rookie-king-candidate/



 西川は3年ぶり4度目の盗塁王。他3選手は初の盗塁王獲得となった。今季は大本命のソフトバンク・周東佑京が6月の骨折に加え、9月には右肩手術で早々に離脱し、21盗塁止まり。本命なき争いとなったが、それを地でいくような結果となった。

 もっともその中身は記録ずくめでなかなか濃い。荻野は36歳での盗塁王は史上最年長戴冠となった。これまでの記録は福本豊、大石大二郎、糸井嘉男がマークしていた35歳。伝説の走り屋たちも届かなかった領域で、初めて頂点に立った。また169安打を放ち、最多安打との2冠を達成。これまではケガに泣いてきたイメージが強いが、今季はプロ12年目で初めて全試合出場を達成し、充実のシーズンとなった。

 チームメートの和田は代走の切り札として走り抜いた。打席にはほとんど立たず、24打席での盗塁王獲得は史上最少記録に。「獲れると思っていなかった。びっくりしている」と喜び、優勝したオリックスにリベンジを期すクライマックスシリーズでも「飛び道具」として期待される。

 源田は1年目からコンスタントに走り続けており、これで5年通算143盗塁。年平均28・6盗塁の結果だ。実力がそのまま出た数字と言えなくもない。「自分一人では達成できないもの。感謝の気持ちでいっぱい」とコメントした。今夏の東京五輪では離脱していた周東らに代わり「代走枠」として選出。少ない出場機会ながら、確実に仕事をこなして、ベンチから侍ジャパンを足で支えた。

 セ・リーグはヤクルトVS広島の1試合を11月1日に控えているが、盗塁王のタイトルは新人の阪神・中野拓夢が決定的としている。今季30盗塁で2位の阪神・近本光司の24盗塁には6差、3位のヤクルト・塩見泰隆の21盗塁には9差という状態。なお新人の盗塁王獲得は過去に2度ある。いずれも阪神勢で2001年に赤星憲広が39盗塁、2019年に近本が36盗塁でタイトルを獲得した。今季の中野は近本の3年連続盗塁王を阻んだ。かなり価値の高い記録ではあるのだが、こと新人王に目を向けるとDeNA・牧秀悟、広島・栗林良吏と強力なライバルがおり、旗色は良くない。

 セ、パともに本命視されていた前タイトルホルダーが敗れ、新たな盗塁王が数多く誕生した。また一つ、勢力図が塗り替えられた球界走り屋戦線。バッテリーの盗塁阻止技術が年々高まる中でも、失敗の許されない挑戦を続ける彼らのプレーは、他にはない魅力で満ちあふれている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

・今すぐ読みたい→
SBにまた悲報!補強戦線「大苦戦」の裏とは
300盗塁を記録した日本ハム・西川、原動力となったあの先輩とは
原巨人はどうして「大失速」したのか かつての懐刀が解説