チェルシー対マンチェスター・シティ。2020-21シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)は、、2018-19シーズンの…

 チェルシー対マンチェスター・シティ。2020-21シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)は、、2018-19シーズンのリバプール対トッテナムに続いて、イングランド勢同士の決勝対決となった。と同時に、イングランド(プレミアリーグ)は、チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグの過去5年の戦績を元に順位化されるUEFAカントリーランキング(リーグランキング)で、2012年以来9年ぶりにスペインを抜き、首位の座に立つことになった。近年の好調さが、自国のクラブ同士のCL決勝対決となって結実した格好だ。この流れは今季も継続するのか。



手がつけられないほど絶好調のモハメド・サラー(リバプール)

 今季初め、世界を沸かせた出来事は、長年バロンドールを競い合ってきた2大スーパースターの移籍だった。バルサからパリ・サンジェルマン(PSG)に移籍したリオネル・メッシのパフォーマンスが全盛期の8割程度とするなら、ユベントスからマンチェスター・ユナイテッドに移籍したクリスティアーノ・ロナウドは7割程度。それでもPSG、マンチェスター・ユナイテッドのサッカーの質は上がるのか。怪しいのではないかとはこちらの見解になるが、そうした不安が現段階で露呈しているのは、ロナウドのほうになる。

 マンチェスター・ユナイテッドは昨季、国内リーグこそ2位だったが、CLではイングランド勢で唯一、グループステージで敗退していた。今季、CLに出場したプレミア勢4チームのなかでは、先行きが最も案じられるチームと言えた。そこにロナウドが加わった。ところがと言うか、予想どおりと言うか、成績は上がっていない。国内リーグは目下7位。同国のナショナルダービーと言うべき先のリバプール戦では、ホーム戦にもかかわらず0-5の大敗を喫している。

 CLではグループ(F組)で首位に立つものの、後続との差がどの組より詰まった大混戦の渦中に置かれている。マンチェスター・ユナイテッド(勝ち点6)、ビジャレアル(同4)、アタランタ(同4)、ヤングボーイズ(同3)。チェルシー、リバプール、マンチェスター・シティと比較すると、サッカーの質は1枚も2枚も劣る。オーレ・グンナー・スールシャール監督が解任の危機にあるとされるが、すっかり爆発力を失ったロナウドを替えのきかない看板FWとしなければならない、クラブそのものの問題を見る気がする。

 一方、ロメル・ルカクを補強した昨季のCL覇者チェルシーは、今季の国内リーグでは現在、2位リバプールに1ポイント差、3位マンチェスター・シティに2ポイント差で、首位を走っている。

 大会がCLの名称になってから今季で29シーズン目を数えるが、連覇を達成したチームはレアル・マドリードのみ(2015-16シーズンからの3連覇)。レアル・マドリードがその達成感に起因すると思われる後遺症からいまだに立ち直れない姿に、CL連覇の重みが垣間見える気がする。今季2連覇を目指すチェルシーに、どれほど重圧はかかっているだろうか。

 とはいえ、チェルシーの昨季のCL優勝は、言ってみれば「まさかの優勝」だった。昨シーズン途中、監督解任劇が起きた時、ファンはこの結末を想像すらしなかっただろう。そうした意味では、連覇と言われても、少なくとも現段階では、さほどプレッシャーはないと見る。チャンスの目は大いにあると言うべきかもしれない。

 チェルシーと今季のCLに出場している他のプレミア勢との一番わかりやすい違いは布陣だ。リバプール、マンチェスター・シティが4-3-3、マンチェスター・ユナイテッドが4-2-3-1という攻撃的なスタイルをとるなかで、チェルシーは守備的な3-4-2-1で戦う。5バックになることも辞さない、後方に人を多く割く、少数派に属するサッカーだ。大雑把に言えば、得意にするのは縦に速いカウンターだ。

 CLの第2戦で戦ったユベントスも、かつてはこのスタイルを定番にしていた。攻撃的とは言えないサッカーの代表格だった。しかし今回、チェルシーに対して4-3-3で向かっていった。攻撃的に向かってくると一瞬、思わせたが、実際は、攻撃的な布陣を用いながら引いて守ってきた。

 66%対34%。チェルシーはボール支配率でユベントスを大きく上回ることになった。カウンターを得意にするチームが遅攻を余儀なくされた。ボールを持たされる格好になった。結果はユベントスの1-0だった。ここで判明したことは、チェルシーが苦手とするチームのスタイルだ。

 苦手なのは、チェルシーより守備的なチームになる。チェルシー的なチームは、世のなかにそう多くないが、しいて言えば、ここ何年かで以前より格段に守備的になったアトレティコ・マドリードだ。チェルシーにとっては戦いたくない相手かもしれない。4バックを敷くもののカウンターを得意にするPSG、幅広い対応が可能そうなバイエルン、プレミア勢では3トップで攻めきる力があるリバプールが、チェルシーの2連覇に待ったをかけそうなチームに見える。

 ジョゼップ・グアルディオラ率いるマンチェスター・シティは、そのチェルシーに対し、9月25日の国内リーグでは通常通り4-3-3で正面から向かっていき、1-0の勝利を収めている。横綱相撲的な正攻法で押しきる、強い勝ち方だった。

 昨季の決勝戦。下馬評が高かったのはマンチェスター・シティだった。まさにまさかの敗戦で、逆に今季への期待を高める結果になった。CL優勝には、順番めいたものがあり、その視点に立つと、マンチェスター・シティは押しも押されもせぬ本命的な存在として浮上する。

 戦力的に大きなプラス効果をもたらしているのは、アストン・ヴィラから獲得したジャック・グリーリッシュだ。この右利き選手を左ウイングに配したことで、左サイドの攻撃がバラエティ豊かになった。その下で構える左SBジョアン・カンセロとのコンビネーションプレーが、新たなセールスポイントになっている。リヤド・マフレズ(右ウイング)とカイル・ウォーカー(右SB)で組む右サイドも1本筋が通っていて、両翼の4人で外側をカチッと固めている印象だ。SBが活躍するチームは強いと言われるが、マンチェスター・シティはその代表になる。

 ガブリエル・ジェズス、フィル・フォーデン、ラヒーム・スターリングも、前線ならどこでもできる多機能性が売りで、0トップスタイルにも変化することができる。本格的なストライカーはいないが、その1列下からベルナルド・シウバ、ケビン・デ・ブライネが絡む攻撃は多彩だ。グアルディオラが描く理想型に近づいたと見ていい。

 3シーズン前(2018-19シーズン)の覇者、リバプールは、欧州最高のセンターバック、フィルジル・ファン・ダイクが復帰したことがなにより大きい。一方、攻撃面で目立つのは左ウイング、モハメド・サラーだ。今季はまた一段とパワーアップした様子。少なくとも現在のメッシより上であることは明らかである。

 ドリブル、フェイント、シュートとどれをとってもキレキレで、手がつけられない状態にある。今季のCLでは3戦して5ゴール。国内リーグでも9試合で10ゴールをマークしている。欧州でいま最も得点を挙げているアタッカーになる。リバプールが今季、CLを制することになれば、バロンドールは彼の頭上に輝くものと確信する。

 その他の選手のラインナップも3年前と大きく変わっていないが、スケールアップしている。南野拓実が大きく出番を減らしている理由でもある。

 チェルシー、マンチェスター・シティ、リバプール。プレミアの3強は、国内リーグで揉まれている点も強みだ。PSG、バイエルンより、接戦に慣れている。今季のCL決勝戦。プレミア対決になるかどうかはともかく、プレミア勢3チームのいずれかが勝ち上がってくる確率は相当、高いと思われる。