東京オリンピック終了から約2か月半、次なる五輪へ向けての動きが始まった。地元大会でメダル獲得を逃した日本代表は、どのよ…
東京オリンピック終了から約2か月半、次なる五輪へ向けての動きが始まった。地元大会でメダル獲得を逃した日本代表は、どのようにしてパリ大会での「リベンジ」へと進むのか。サッカージャーナリスト・後藤健生が、その第一歩をリポートする。
2年に1度開かれるAFC Uー23選手権。オリンピックの開催年に開かれる大会はオリンピック・アジア予選を兼ねる大会であるが、来年6月にウズベキスタンで開かれる予定の大会はオリンピック中間年の大会で「予選」ではない。日本は、従来「オリンピック予選を兼ねない」年の大会には、次のオリンピック年代となるUー21代表を送り込んできていた。
2020年に開催が予定されていた東京オリンピックを目指すチームは、2017年の秋に森保一監督が就任して立ち上げられたが、2018年1月に中国で開催されたAFC Uー23選手権には当時のUー21代表として参加したのだ(この時の大会メンバーのうち、東京大会で代表に選ばれたのは板倉滉、三好康児、前田大然、旗手怜央のわずか4人のみ。競争の激しさが伺われる)。
ところが、2022年のUー23選手権には日本もUー23代表で臨むことになった。そのため、現在開催されている予選には1999年生まれの選手が3人(山原怜音、角田涼太朗、郷家友太)、2000年生まれの選手が1人(松井蓮之)選ばれている。とはいえ、2001年生まれの選手がベースである点は従来と変わらない。
2024年に開催されるパリ・オリンピックに出場できるのは2001年以降生まれの選手なのである。
■U-20W杯中止の影響
2018年のUー23選手権に出場した日本チームは、前年の5月から6月にかけて韓国で開催されたUー20ワールドカップを戦ったチームがベースになっている。内山篤監督から森保一監督に指導者が交代したこともあって、両大会に共通して出場したのは10人だけだったが、森保監督はそれなりに完成されたチームを引き継いだわけだ。
つまり、従来の日本代表の強化の流れは、Uー20ワールドカップを戦った選手を中心に、その年末までに次のオリンピックを目指す新しいUー20代表を編成。そのチームが翌年のUー23選手権に臨むという流れになっていた。
そのチームに、さらに翌年のUー20ワールドカップに出場した選手を加えたUー23代表が(オーバーエイジを加えて)オリンピックに出場するわけである。
ところが、今回は新型コロナウイルス感染症の拡大によって、2021年に予定されていたUー20ワールドカップが中止となってしまったのだ。
もちろん、それでもUー20代表は何度かの合宿を行い、また練習試合も行ってきた。しかし、Uー20ワールドカップに出場できれば、事前合宿を含めれば1か月ほどの長期にわたってともに行動し、また同格または格上の相手との真剣勝負を経験することができ、チームとしての一体感も生まれているはずなのだ。公式戦なしの合宿だけでは、強化には限界がある。
つまり、これまでに比べて、今年のUー20世代は準備不足のままオリンピックを目指す長い旅に出発したということになる。
■東京五輪と2024年パリ大会の最大の違い
彼らの目標は、もちろん2024年のパリ・オリンピックでのメダル獲得だろう。
だが、開催国枠で出場した東京大会と違って、予選を突破しない事にはオリンピック出場自体が不可能になってしまう。
その、パリ・オリンピック予選となるのは2024年の前半に行われる、次のAFC Uー23選手権なのだ。
東京オリンピックでは、開催国の日本を含めてアジア(AFC)からは4か国が出場したが、次回はアジアからは従来通り3か国の出場となるはずだ。2024年のUー23選手権で決勝に進出した2チームと3位決定戦の勝者が出場権を得るということになる。
問題は、ベスト4を決める準々決勝である。まさに“一発勝負”。ここで敗れたら、もう敗者復活戦はないのだ。
たとえば、現在行われているFIFAワールドカップのアジア最終予選は6か国によるホーム&アウェーの2回戦総当たりリーグで、しかも2位までが出場権を獲得できるというレギュレーションになっている。
この方式であれば、たとえばホームゲームでオマーンに敗れるといったような大失態があったとしても、残り試合でしっかりと勝ちを積み重ねていけば2位以内に入ることはそれほど難しいことではない。
だが、オリンピック予選は“一発勝負”で決まってしまう。グループリーグを3戦全勝で勝ち上がってきたとしても、準々決勝で敗れれば終わりなのだ。