無念の降板だった。DeNAの今永昇太投手は4日の巨人戦(横浜)で今季初先発。2年連続の本拠地開幕戦で、巨人のエース・菅野と投げ合った。■球審の判定に表情変えず“仕切り直し”で空振り三振 無念の降板だった。DeNAの今永昇太投手は4日の巨人戦…

無念の降板だった。DeNAの今永昇太投手は4日の巨人戦(横浜)で今季初先発。2年連続の本拠地開幕戦で、巨人のエース・菅野と投げ合った。

■球審の判定に表情変えず“仕切り直し”で空振り三振

 無念の降板だった。DeNAの今永昇太投手は4日の巨人戦(横浜)で今季初先発。2年連続の本拠地開幕戦で、巨人のエース・菅野と投げ合った。

 同点の7回2死一塁、小林誠へカウント1-2からの4球目。ファウルを奪った直後に今永は顔をゆがめながらマウンドを降り、ひざに手をついたまま動けなかった。数歩動いても左足を引きずったまま。投手コーチ、トレーナーに両脇を抱えられてベンチへ下がり、そのまま降板した。6回2/3を投げ、2安打5四死球1失点の堂々の内容。両軍のファンから惜しみない拍手が送られた。

 この日の今永は新たな成長をみせていた。1回に先頭打者の中井に中前打を許した。続く立岡は犠打を試みたが、今永は威力のある球を2球続けてファウルとし、追い込んでから一ゴロ併殺に打ち取った。

 4回2死からは岡本に対し、2-2から外角高めへチェンジアップ。見逃し三振でチェンジとなってもおかしくないコースに決まり、女房役の戸柱はもちろん、今永自身も軽快にマウンドを降りかけたが、球審の判定はボール。今永は表情一つ変えずにピタッと足を止め、すぐにボールを受け取ると、再び外角高めへチェンジアップを投げ、空振り三振に斬ってみせた。

■昨季CSファイナルS第4戦の“自滅”を教訓に…

 昨年のクライマックスシリーズ、ファイナルステージでの広島戦。負ければ終戦という第4戦に先発した今永は1回、先頭の田中で、見逃し三振と思われた球がボールとなり、四球による出塁を許した。この時、マウンド上の今永は球審の判定に「え!?」というような複雑な表情をみせた。その後、リズムを崩して一気に広島打線に飲み込まれ、1回6失点降板。試合後はベンチ裏で涙を流した。後日、今永は「あそこでああいう態度をとった時点で僕がいけなかった」と、動揺した姿、表情をみせた自分を強く戒めた。

 話は4日の巨人に戻る。今永は昨季、シーズンを通して立ち上がりの1回を特に重要視していた。1回の失点は試合の流れを左右するからだ。巨人戦では中井の出塁を許したが、動じることなくピンチを切り抜けた。4回の岡本の場面では、微妙な判定にも無表情で気持ちを切り替え、“仕切り直し”で三振を奪った。

「いつもの自分の体ではなく、緊張感が漂った体になっていました。序盤は結果を求めるあまり、自分自身で投球を苦しめていました。試合途中で自身の投球スタイルでもある、緩急を使う投球に切り替える事ができたのは収穫です。ただ、四死球を5個与えてしまい、打線に流れを与える投球ができませんでした。急遽、降板する形となり、中継ぎ陣に負担をかけてしまい申し訳ないです」

 中継ぎ陣が打ち込まれて試合には敗れたが、今永の信頼度は増したはずだ。大きな成長を感じさせた今季初登板だった。