富士通レディース、勝みなみとのPOを制してホステスV 女子ゴルフの国内ツアー・富士通レディースは17日、千葉・東急セブンハンドレッドC(パー72、6679ヤード)で優勝者を決めるプレーオフが行われ、古江彩佳(富士通)が勝みなみ(明治安田生命…

富士通レディース、勝みなみとのPOを制してホステスV

 女子ゴルフの国内ツアー・富士通レディースは17日、千葉・東急セブンハンドレッドC(パー72、6679ヤード)で優勝者を決めるプレーオフが行われ、古江彩佳(富士通)が勝みなみ(明治安田生命)を制して優勝した。アマ時代の2019年にも同大会に勝っており、今回は所属プロとして制覇。ツアー通算5勝目を飾った。表彰式では思わず感涙。会見では「神様が与えてくれた試練を乗り越えての優勝」と喜びを口にした。(取材・文=THE ANSWER編集部 柳田 通斉)

 最終ラウンド(R)は降雨によるコースコンディション不良のため中止に。前日の第2Rを終えて通算12アンダーの首位で並んでいた古江と勝によるプレーオフが、16番から3ホールで実施された。古江は17番パー3でバーディー。1つリードして最終18番を迎えた。

 18番パー4のグリーン上。古江は自分に言い聞かせていた。「勝さんは残り3メートルを必ず入れてくる。これを入れて優勝を決めるんだ」。残り6メートル、強い気持ちでストロークしたパーパットは緩やかなフックラインを描き、カップに吸い込まれた。冷たい雨が降る中、ここで3ホールの戦いが終了。古江がようやく安堵の笑みを浮かべた。

 約20分後、クラブハウスで始まった表彰式では感極まった。2年前にアマチュアで制した大会を所属プロとして制した喜びに加え、今年勝てなかった苦しみを思い出したからだった。

「嬉しさが出たんだと思います。アマチュアの時は自分のことだけを考えての優勝でしたが、やはり所属先に喜んでもらうのは優勝だと思っていたので、勝てて良かったです。それに、プロになって神様が与えてくれた試練を乗り越えての優勝だったので……」

東京五輪代表を逃して涙も…欧州遠征で復調のきっかけ

 新型コロナ感染拡大の影響で20、21年が同一シーズンになり、古江は昨年のうちに3勝。だが、今春は稲見萌寧と東京五輪出場権を争う中で調子を崩した。6月に代表を逃した際は「五輪のことを考え過ぎて、自分のプレーができませんでした」と、会見で悔し涙を流した。

 そして、夏季は国内ツアーを休んで欧州遠征。メジャー大会のアムンディ・エビアン選手権で4位に入るなどし、自信を取り戻すきっかけをつかんだ。「今年は勝ててないけど、決して悪い訳じゃないと思えました」。帰国後、約2週間の隔離生活で練習できなかったことも、結果的にはプラスになったという。

「調子を戻すことから始めたので、前のようにミスが許せないという感じではなくなりました。ミスは悔しいけど、悔やまないようになりました。特に今週は頭の切り替えができていたと思います」

 3ホールの変則プレーオフ。古江本人も「驚きました」と言いつつ、「ほぼ完ぺきにプレーできました」と胸を張った。勝に「すごい」と言わしめた17番の第1打は、ピン上2メートルにピタリ。第1R終了後、「5つあったビビリポイント」の1つでもあったが、この日は迷いなく5番ウッドを振り抜けた。

 11か月ぶりの優勝となったこの大会の優勝賞金は1350万円。最終R中止で36ホール競技となり、賞金ランクへの加算額は75%となったが、今季通算1億5000万円を突破。賞金ランク4位は変わらずだが、同3位西村優菜との差を詰め、古江は「残りの試合でもっと上を目指していきたいです」と目を輝かせた。(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)