アメリカ・フロリダ州マイアミ/「マイアミ・オープン」(ATP1000/3月22日~4月2日/賞金総額699万3450ドル/ハードコート)の男子シングルス決勝。 3ヵ月にわたる勝利の進撃に疲れたロジャー・フェデラー(スイス)はラファエル・…

 アメリカ・フロリダ州マイアミ/「マイアミ・オープン」(ATP1000/3月22日~4月2日/賞金総額699万3450ドル/ハードコート)の男子シングルス決勝。

 3ヵ月にわたる勝利の進撃に疲れたロジャー・フェデラー(スイス)はラファエル・ナダル(スペイン)を破ると、最後にお祝いのショットを観客席に向かって打ち込んだ。

 フェデラーにはこれから、彼が受けるに値する2ヵ月のブレークがやってくる。

 「僕はもはや24歳ではないから休息が必要なんだ」とフェデラーは言った。「僕の体は回復する必要がある」。

 フェデラーは不平を言っているのではない。彼は35歳にしてキャリア最高のテニスの一角と呼べるものをプレーしている。それは本当に目覚ましいプレーで、これまで天敵に近かった宿命のライバルをも圧倒しているのだ。

 決勝でフェデラーは、ナダルを6-3 6-4で倒し、ナダルに対する今年3度目の勝利を決めた。そして今大会33年の歴史で最年長の男子シングルス優勝者となった。

 フェデラーは、1月の全豪オープン決勝、また2週間前のインディアンウェルズ4回戦のタイトル獲得への過程でもナダルを倒している。

 今年の男子ツアーで3度優勝した最初のチャンピオンとなったフェデラーは、これからしばらく休養をとろうとしているのだ。

 4児の父であるフェデラーは来週、エキシビションでプレーする予定だが、5月の全仏オープンに戻る前のクレーコート・シーズンの大部分をスキップするつもりだと打ち明けた。

 「健康を保ちたいんだ」とフェデラーは言った。「体の調子がよく、気分がいいとき、僕はこのようなテニスを生み出すことができる。僕の気分がこうもよくなかったら、決勝でラファと戦ってはいなかっただろう」。

 そこまでの重い仕事量ゆえ、過剰な期待は抱かずにマイアミ・キービスケーンにやって来た、とフェデラーは言った。

 また、決勝では疲れを感じていたとも打ち明けた。湿度が高く、30度近い気候も助けにはならなかっただろう。

 それでも彼は勝った。ナダルは“信号”を思わせる鮮やかな黄色のシャツを身に着けていたが、フェデラーは速度を緩めはしなかった。

 「重要なポイントで、たぶん僕は少しだけ彼より良いプレーをした」とフェデラーは言った。「僕は今日、踏みこたえ、沈まないように努める中で、よりファイト・モードでプレーしていた。本当に体力を消耗させられる一週間だった」。

 フェデラーがこのところ非常に頻繁にやっていることだが、この勝利もまた彼の過去を思い出させた。彼は2005年と2006年にもマイアミで優勝している。

 一方のナダルは、2005年のフェデラーとの決勝を含め、マイアミで戦った5度の決勝のすべてで敗れた。彼は2008年、2011年、2014年も準優勝に終わっていた。

「キャリアを通して(今大会に)ずっとトライし続けている僕にとっては残念なことだ」と、ナダルは表彰式の際に笑みを浮かべながら観客に向かってこう言った。

 「3年毎に僕はこのポジションにいる。でも、いつも小さいほうのトロフィーを手に」

 そしてフェデラーはそのライバルに対して、「僕は心から、君はまだこれからこの大会で優勝するだろうと信じている。君はそうしないには有能すぎるからだ」と言った。

 この試合はスコアが見せる以上に競ったものであり、勝負を分けたのはほんの数ポイントだった、という点で双方の選手は同意していた。

 「僕はいくつかの重要なポイントを取った」とフェデラーは言った。「僕は今年頻繁にやっているように、非常に集中して、身を入れてプレーをした。それが最後には実を結んだと思う」。

 フェデラーは直面した4つのブレークポイントのすべてをセーブし、早い段階で自分がつかんだ5度のブレークポイントをものにし損ねたものの、両セットで最後から2番目のゲームでブレークを果たした。

 第2セット5-4から、チャンピオンシップスをかけてサービスゲームに入ったとき、フェデラーは最初のポイントでこの試合初めてのダブルフォールトをおかしたが、すぐに体勢を立て直した。次のポイントはこの試合でもっとも長いものとなったが、フェデラーは17本のラリーをコーナーへのバックハンドのダウン・ザ・ラインで終わらせた。

 最後のポイントでナダルのリターンが浮いてアウトとなったとき、フェデラーはベースラインの後ろでそのボールをフォアハンドでとらえて観客席に打ち込むと、両腕を挙げて勝利を祝った。

 満場の観客たちは、ほぼ等しく分かれてふたりを応援していたが、勝利の瞬間にはそろって人気者のチャンピオン、フェデラーに歓声を送った。

 フェデラーは、トーマシュ・ベルディヒ(チェコ)に対する準々決勝では2つのマッチポイントをしのぎ、ニック・キリオス(オーストラリア)に対する準決勝では3つのタイブレークの末に勝利をつかんだ。

 今大会には6度優勝のノバク・ジョコビッチ(セルビア)と、2度優勝のアンディ・マレー(イギリス)が、ともに肘の故障で出場していない。

 とはいえ、そのことを加味してもフェデラーのこのところの進撃は、実に目覚ましいものだ。彼は今年の男子ツアーで、トップ10以内の選手に対する7勝0敗を含め19勝1敗の戦績を誇っており、現在11連勝中でもある。この、フェデラーにとって2006年以来の最良のスタートは、左膝の故障で昨年最後の6ヵ月を棒に振ったあとにやってきた。

 同じく、長く左手首の故障で苦しんできたナダルも 「素晴らしいシーズンのスタートだ」と言った。「ツアーで最高のカムバックの一角だよ」。

 大会を通し、フェデラーはテクニックの多彩なレパートリーを披露した。対ナダルの決勝ではサーブ&ボレーを行った6ポイントのすべてを取り、ほかにも6ポイントをネットで取っている。サービスもよく、3度にわたってラブゲームでサービスをキープした。また、ナダルのグラウンドストロークからパワーを奪う素晴らしいディフェンスを見せ、アンフォーストエラーは17本に抑えて30本のウィナーを決めた。

 「僕にとって、夢は続いている」とフェデラーは言った。

 2ヵ月の休養のあと、さらなる続きがあるだろう。(C)AP(テニスマガジン)