サッカー日本代表は10月12日、埼玉スタジアムでオーストラリア代表とワールドカップ最終予選を戦い、2-1で勝利した。 …
サッカー日本代表は10月12日、埼玉スタジアムでオーストラリア代表とワールドカップ最終予選を戦い、2-1で勝利した。
すでに監督交代の可能性もささやかれる窮地にいただけに、大きな1勝だった。このゲームの意味、そして今後の展望を、取材歴50年を超える大住良之、後藤健生という2人のベテランサッカージャーナリストが深夜に、深く熱く、語り合った。
大住「サウジアラビア戦の後、『覚悟が足りない』とか、『判定に文句を言ったりするな』と散々いったけど、今回はそう感じる場面はほとんどなかったね。チーム内で追求したんだと思うけど、すごく徹底されていた。一方で、オーストラリアもそうだったんだよね」
後藤「オーストラリアも中東のすごく暑いところで試合をしてきて、今回は涼しくてやりやすいと思ったんだろうね」
大住「オーストラリアも試合への取り組み方がすごく良くて、本当に気持ちの良い試合だった。だって、主審は全然困っていなかったでしょ。困ったのはPKの判定をした時だけだよね」
後藤「VARで時間を取られたのに、アディショナルタイムも短かった。前半なんて、1分たたないうちに笛を吹いた。後半はPKであんなことになったのに4分でしょ。公式記録を見たら、前半は日本の直接FKがゼロになっている。ファウルなしなんて、ふつうありえない」
――ということは、選手にとってもストレスがなかったということでしょうか。
後藤「負けたオーストラリアも、気持ちの良い試合だなと思ったことでしょう」
大住「最後、グラハム・アーノルド監督が森保一監督と抱き合っていたけど、本当にお互いに良い試合だったと言える試合だったよね」
■前半から狙われ続けていたポイント
――日本のプレーで気になった点はありませんでしたか。
後藤「やはり失点の場面でしょう。マーティン・ボイルが右サイドでフリーになって、FKを取られることにつながった場面。たまたまあそこに来たんじゃなくて、ボイルは前半から日本の左サイドの、いろいろなところに顔を出していた。日本はずっと、その動きにやられそうだった。しかも、1点リードしている状況で、あのスペースをあんなに走られるというのは、あまりにも不用意だよ。『あそこに来るぞ』という意識を持ってなきゃ」
大住「長友佑都が食らいついたところで、縦に出された。内側から走り出たボイルに対して、、もっと気がつかないといけなかったよね」
後藤「気がつくというより、前半から何度も来ていたんだから、あらかじめ予測してくれないと」
大住「その辺は表裏一体でね、この試合の日本のシステムでは、右サイドに伊東純也が張っていて、左の南野拓実はほとんど内側のポジションでプレーして、空けてある左サイドのスペースに長友佑都が走り込む、。長友が前半にすごく良いプレーをしていたのも、そういう仕掛けがあったから。一方、そうなると長友の後ろが空くので、相手はそこを狙う」
後藤「そう来た時に、どう対処するか。あるいは1点リードしているんだから、長友が攻めにいくのを少しセーブする時間があっても良かっただろうし」
大住「最終的には遠藤航が守備に出ていったところでクロスを入れられちゃうんだけど、もう少し気づくのが早ければ、ボイルに切り返しをさせたりできたんじゃないかなと思うけどね」
■サイド攻撃でクロス以外に欲しいもの
後藤「いきなりクロスを入れられて、権田修一の対応が危うかった開始1分の場面でも、日本の左サイドからやられていた。その後も、あちら側から随分やられているんだよね。ボイルがいろいろな形で日本の左サイドに出てくることは前半から分かっていたし、1点リードしていたんだから、失点ゼロに抑えれば楽に勝てる試合だった。『後半こう抑えよう』と全員で意識を強めておけば、やられないでしょう」
大住「誰もいないスペースをきれいに走られていたものね。長友も、もう少し違う守備をするべきだったかもしれない。1点リードの残り20分の場面でやるにしては、ギャンブル的なディフェンスだったかな」
大住「38分に長友が左サイドを抜け出して、クロスを入れたけど大迫が届かなかったシーンがあった。惜しいんだけど、これ10年くらい前の日本代表のイメージ。今の日本のトップの選手たちなら、クロスを上げるのではなく内側に切れ込んで、相手がもっと嫌がることをしてほしい。三笘薫とか、ね」
後藤「流行ばかり追わないでくださいよ」
大住「どちらが得点になる確率が高いか、ということですよ。サイドバックの位置から出ていく長友を、三笘と比べたらかわいそうなんだけどね。プレーを変えるには、人を代えるしかないのかなあ」