今年の7月から9月にかけて、テニス不正監視団体であるITIA(インターナショナル・テニス・インテグリティエイジェンシー)に対して八百長の疑いが38件報告されていることが明らかとなった。ギャンブル情報メディア iGBが報じている。【関連記事】…

今年の7月から9月にかけて、テニス不正監視団体であるITIA(インターナショナル・テニス・インテグリティエイジェンシー)に対して八百長の疑いが38件報告されていることが明らかとなった。ギャンブル情報メディア iGBが報じている。【関連記事】ウィンブルドン2試合で八百長?ドイツ紙が報じる

ITIAと規制対象のギャンブル業者との間で交わされている取り決めに基づいて寄せられた38件の警告のうち、4件がグランドスラムに関するもので、「ウィンブルドン」と「全米オープン」から2件ずつ報告されているとのことだ。ITIAは第2四半期(7月~9月)のデータを発表した際に、「ウィンブルドン」に関する警告を2件受けたことを認めており、いずれも「不審なギャンブルの可能性」としている。

今回報告された38件の警告のうち、最も多かった大会は13件を数えたATPチャレンジャー大会。そのほかには、ITF(国際テニス連盟)が主催する下部大会、「M25男子ワールドテニスツアー」から9件、「M15男子ワールドテニスツアー」から7件、「W15女子ワールドテニスツアー」から2件、そして「デビスカップ」、「ATP250大会」、「W80女子ワールドテニスツアー」からそれぞれ1件の警告が上がっている。

より詳細な分析はITIAの年次報告書に記載される予定となっており、ITIAは警告が八百長を決定づけるものではないことを強調。声明を通して次のように述べている。

「異常なギャンブルのパターンは、八百長以外にもさまざまな理由で発生する可能性がある。例えば、誤ったオッズの設定、選手のコンディションや疲労状態、フォーム、プレー環境、個人的な状況といった十分な情報に基づいた賭けなどが挙げられる。警告の数と発生した大会は四半期ごとに報告されている。テニスは競技レベルに応じて大会数がピラミッド型となっており、下部レベルの方が大会数は多いため、汚職についての結論を出すには慎重にならなければならない」

なお、ITIAはこの第2四半期中、アルジェリアのHichem YasriやペルーのMauricio Echazu Puenteなどの選手に出場停止処分を下している。

不審なテニス賭博に対する取り組みは継続して行われているものの、選手も関わる八百長は後を絶たない。特にランキングが下位のプロ選手たちが、経済的な困窮を理由に手を染めるケースが多いと言われている。一方で、テニス賭博が試合に負けた選手への誹謗中傷をエスカレートさせているという一面もあり、選手たちのメンタルヘルスにも悪影響を及ぼしている。

(テニスデイリー編集部)

※写真は「ウィンブルドン」のロゴ

(Photo by Visionhaus/Corbis via Getty Images)