11人で芝生の上で行われるものだけが、サッカーではない。フットサルもビーチサッカーも、大きなサッカーというファミリーの…
11人で芝生の上で行われるものだけが、サッカーではない。フットサルもビーチサッカーも、大きなサッカーというファミリーの一員だ。その家族が手を携える必要性と可能性を、サッカージャーナリスト・後藤健生が語る。
フットサルのワールドカップに参加した日本代表は、グループリーグ3位という成績ながらなんとかラウンド16進出を果たして4試合を戦った。
日本は、コロンビアで開催された前回の2016年大会ではアジア予選で敗れて参加できなかった。その間、FIFA主催の他のカテゴリーのワールドカップでは、日本は男女あらゆる年代の大会に出場して、しかもすべて決勝トーナメント進出を果たすという偉業を成し遂げていた(ただし、ほとんどの大会で決勝トーナメントの初戦で敗退してしまっていたのだが……)。そんな中で、ワールドカップ出場権を逃してしまったフットサル界にとっては、リトアニアでの大会はまさに“満を持して”の挑戦だった。
日本は結局、グループリーグの初戦でアンゴラには勝利したものの、その後、スペインとパラグアイに敗れてしまい、グループリーグは辛うじて3位で通過。そして、ラウンド16では“王者”ブラジルに食い下がったものの、2対4と競り負けてしまった。
日本がグループリーグで対戦したスペインは、FIFAランキングで世界1位のチーム。そして、ブラジルは過去8回のワールドカップで5度の優勝を誇る相手だった。要するに、日本代表は世界のトップと戦ったのである。
■素晴らしいパフォーマンスだった日本代表
そのブラジル戦もけっして日本の完敗ではなかった。
日本は開始4分に星翔太が遠目からシュートを放ち、これが相手のゴレイロ(GK)グイッタの手を弾いて、なんとブラジル相手に先制したのだ。すぐに同点とされたものの、その後もブラジルに追加点を許さず、日本代表は後半半ば過ぎまで1対1のスコアのままで凌いで粘ったのである。そして、31分にレオナルドに勝ち越しのゴールを奪われ、さらに38分にもピトにゴールを許して万事休したかと思われたが、その後、西谷良介がミドルシュートを決めて再び1点差として追いすがった。
その後、最後はGKを引き揚げて5人で攻撃を仕掛けるパワープレーの中でボールを奪われて1点を追加されてスコアは2対4となったが、最後まで「もしかしたら」と期待感を持ち続けることができた。“善戦”と言っていいだろう。
これだけ粘ることができたのは、前線からの激しいプレスと豊富な運動量に裏打ちされた規律の高い分厚い守備によるものだった。日本らしい戦い方だ。
しかも、日本はグループリーグ第2戦のスペイン戦でもハイプレスによってスペインのパスを分断することに成功していた。ブルーノ・ガルシア監督率いる日本代表が素晴らしいパフォーマンスを発揮したことは確かだった。
しかし、日本は大会を通じて大きな課題を突き付けられた。リトアニアでの大会で日本は4試合を戦って1勝3敗に終わったのは事実なのだ。
■日本サッカーは垣根を越えて協力すべき
今後、ワールドカップで上位進出を果たそうと思うなら、やはり「個の力」を上げていくしかないだろう。
たとえば、ブラジルに奪われた2失点目。ブラジルのレオナルドはダブルタッチによって右に抜け出して、早いタイミングで正確なシュートを放ってきた。3失点目の場面ではブラジルのピタは空中にあるボールを胸でコントロールし、その落ち際を左足でコントロールするというテクニックを見せた。
そうしたテクニックを持つ選手は日本にもいるかもしれない。しかし、その一つひとつのプレーのスピードとそのスケール感の大きさは、やはり日本の選手には真似のできないものだった。
だから、2対4という競り合った試合ではあったが、あくまでも日本の“善戦”であって、“惜敗”とは言えないのである。
ワールドカップを見ていて、そんな印象を受けた記憶があったので、松井のスケールの大きなプレーを見て、何かそこに可能性を感じたのである。
サッカーとフットサルの協力は、何もFリーグの観客動員拡大のためだけではない。フットサルは、サッカー・プレーヤーの持つスケール感の大きなプレーをもっと取り入れるべきだろうし、逆にフットサルの選手たちが見せるスペースのない中での繊細でスピード感あふれるプレーはサッカーの試合でも必ず役に立つはずだ。
男子も、女子もすべての年代別のワールドカップで決勝トーナメント進出を果たしている日本は、フットサルでもビーチサッカーでもワールドカップで活躍しているのだ(ビーチは決勝進出!)。そうした日本のフットボールの総合力を生かすためにも、各カテゴリーが垣根を超えて協力し合っていくべきなのであろう。