■10月10日/JリーグYBCルヴァンカップ 準決勝 第2戦  名古屋グランパス-FC東京(味の素) 名古屋が劇的な決勝…

■10月10日/JリーグYBCルヴァンカップ 準決勝 第2戦  名古屋グランパス-FC東京(味の素)

 名古屋が劇的な決勝進出だ!

 味の素スタジアムで行われた、ルヴァン杯準決勝の第2戦。ホームでの第一戦を3―1で勝利したマッシモ名古屋としては、チームとして堅守を武器とするだけに難なく決勝行きチケットを手にするかと思われた。しかし、序盤から青赤軍団が次々にチャンスを作り出し、名古屋としては苦しい時間が続いた。そして15分という早い時間帯に失点を喫してしまったのだ。

 アウェイで1ゴールを奪ったFC東京としては、ホームで「2-0」で勝つのが最も分かりやすい勝ち抜け方法だった。サイドバックで故障者が続いている事情もあったが、第1戦でFW登録で出場した渡邊凌磨を左サイドバックにコンバートさせたほか、アダイウトンを先発に。スタートの時点から攻撃的姿勢を示し、そのアダイウトンが実際に前半早々のゴールを奪ったのだ。

 失点をしても、名古屋はリズムを取り戻せない。むしろ、FC東京の勢いは高まる一方だった。前半に迎えたディエゴ・オリヴェイラの決定機は2回あり、さらに他にもチャンスを作られた。東京まで駆けつけた名古屋サポーターとしては、0-1という最少得点で折り返すことができた前半45分に安堵したはずだ。

■緊急青空ミーティング

 後半になっても取り戻せない流れを打破すべく、マッシモ・フィッカデンティ監督が手を打ったのは51分のことだった。前田直輝を下げて、シュヴィルツォクを投入。途中加入ながらリーグ戦ですでに3得点を挙げているポーランド代表を最前線に立たせたのだ、が、それでも流れは変わらない。そればかりか、55分にFC東京に2点目を許してしまった。味の素スタジアムに映された電光掲示板のスコアは「2-0」。それまで、名古屋は攻撃に転じることができていなかったこともあって、事実上の“決勝ゴール”を決めた高萩洋次郎が高く飛び上がって喜ぶ姿は、名古屋の選手の闘志をへし折るのに十分だった。

 FC東京のワンサイドゲームで、逆転をするにはあまりに高いハードルだったが、それでも名古屋は逆転してみせる。後半の飲水タイム、フィッカデンティ監督はボード板をピッチの上に置いて指示を出した。それを、名古屋の選手がグルっと囲む。飲水タイムが過ぎて、FC東京の選手がピッチに戻っても、マッシモは指示を止めない。この緊急青空ミーティングが、名古屋の選手に火をつけた。

 稲垣祥が劇的なゴールを決めたのは、その後のこと。80分、名古屋の選手が執念で得点を奪おうと、ゴール前に殺到する。FC東京も跳ね返そうと必死に足を出すが、その瞬間、ボールが浮かぶ。そこに頭ごと飛び込んだのは背番号15。体ごと押し込んだ次の瞬間、名古屋のサポーターの前に集まった選手たちは言葉で表現できないほどの笑顔になっていた。

■試合終了で小走りしたイタリア人指揮官

 スコアを1-2とした名古屋は、残りの10分間+アディショナルタイム6分を逃げ切るだけだった。89分、指揮官は3枚目のカードを切る。ピッチに投入したのは、ベンチ入りしたDF登録の2選手ではなく、FW登録の相馬勇紀。前傾姿勢で逃げ切れというベンチからの合図だった。

 相馬がサイドでボールを持ちながら、名古屋は決勝進出へとカウントダウンを始める。主審が試合終了のホイッスルを鳴らした瞬間、マッシモはメインスタンドに向かってガッツポーズをすると、次の瞬間m小走りでベンチのスタッフと喜びを共有した。厳格なイタリア人指揮官は、勝ったのだ。

 苦しい90分を勝ち抜いて、名古屋グランパスは初めてルヴァン杯の決勝へと進むこととなった。目指すはタイトルだが、マッシモ名古屋が本当に目指すものは、その先にある。

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