韓国男子卓球の中心選手、鄭栄植(チョン・ヨンシク/29歳)に、現在の韓国卓球の状況、そして今後の自身の展望など、オンラインでゆっくり話を聞くことができた。写真:鄭栄植(写真中央)/撮影:ラリーズ編集部センスがある選手がプレーしづらい――今回…
韓国男子卓球の中心選手、鄭栄植(チョン・ヨンシク/29歳)に、現在の韓国卓球の状況、そして今後の自身の展望など、オンラインでゆっくり話を聞くことができた。
写真:鄭栄植(写真中央)/撮影:ラリーズ編集部
センスがある選手がプレーしづらい
――今回の東京五輪では男子シングルスベスト8に、中国、韓国の他にエジプト、スロベニア、ブラジルなど多彩な国の選手が勝ち上がりました。韓国卓球はどういう状況ですか。鄭栄植:現在の韓国はまだまだ卓球強豪国ではありますが、少しずつ遅れを取り始めていると感じています。これまでメダルを獲ってきた先輩たちのためにも、これからやるべきことが多いと思います。
写真:鄭栄植/提供:ittfworld
同じ場所、同じ指導者、同じ雰囲気で、同じ技術を練習してしまう状況なので。
写真:鄭栄植/提供:ittfworld
写真:趙大成(チョ・デソン/18歳)/提供:ittfworld
だからこそ、日本のTリーグなどの海外リーグの試合に出場し、違う環境でプレーしたほうが良いと思います。
写真:安宰賢(アンジェヒョン/21歳)/提供:ittfworld
写真:坂本竜介監督(T.T彩たま)/撮影:田口沙織
五輪の時期だけ卓球選手がテレビに
――韓国での卓球人気はどんな感じでしょう?鄭栄植:卓球をする人は多いです。しかし、トップレベルの選手の試合を地方で行うことが多いので、観客がほとんどおらずテレビでもあまり放映されません。五輪の時期だけ卓球選手がテレビに出ます。選手の待遇については、リーグのないスポーツの中では良いほうだと思います。
写真:東京五輪での鄭栄植・李尚洙(写真右・韓国)ペア/提供:ITTF
ところで、韓国卓球には珍しい、バックハンドが強いヨンシク選手のスタイルはどうやって生まれたんですか?
鄭栄植:自分はフットワークが遅いし、力が強くないので、試合で勝つための自分の長所を探して、バックハンドから始めたんです。最初は母から習い、中学からは自分でも積極的にバックハンドを練習していきました。
写真:鄭栄植/提供:ittfworld
ラケットには特に繊細
――使っているラケットも、フォア面とバック面で素材が違うんですよね?鄭栄植:はい、バックハンドとフォアハンドに求めるものが違うので。ラケットには特に繊細ですね。最近の卓球台は上に跳ねる感じがあるので、今回の東京五輪では早くボールが行くアウター素材のアイスクリーム AZXを使いました。引き続き探求し続けます(笑)。
写真:アイスクリームAZX/提供:卓永
フォア面はこれまで中国ラバーを使っていたんですけど、東京五輪が終わったので、いま、色々試している段階です。
写真:鄭栄植がバック面で使うオメガVII ツアー i/提供:卓永
今後の展望
――今後の展望はどうですか。パリ五輪は目指すんでしょうか。鄭栄植:まだわかりません(笑)。今回の五輪は準備期間も含めて精神的にも大変だったので。――でも、絶対長くプレーできるプレースタイルですよね。鄭栄植:そうですね、自分でもそう思います(笑)。ただ、今は卓球選手として楽しく卓球をするというのが目標です。パリ五輪やTリーグに入るとかはまだ何も決まってないですけど、やっぱり卓球をとても好きなので、なるべく長くプレーしたいなと思います。
――これからも、楽しんでプレーするヨンシク選手を見られることを願っています、ありがとうございました。鄭栄植:こちらこそ、ありがとうございました。
写真:鄭栄植/提供:ittfworld
(おわり)
取材・文:槌谷昭人(ラリーズ編集長)