一人の卓球韓国代表の男子選手が、東京五輪での敗戦後に、日本語で綴った感謝のツイートが話題を読んだ。2020年Tokyo olympic おうえんしてくれて ありがとうございます!! 日本Team良い成績もおめでとうございます👏 そして試合を…
一人の卓球韓国代表の男子選手が、東京五輪での敗戦後に、日本語で綴った感謝のツイートが話題を読んだ。
2020年Tokyo olympic おうえんしてくれて ありがとうございます!! 日本Team良い成績もおめでとうございます👏 そして試合をできるように助けてくれたボランティアの方もとてもありがたく お疲れ様でした 今後のすべての健康たい下さい!☺️ pic.twitter.com/Zc5qAfQ3DJ
— Jeoung youngsik 鄭榮植 (@Jeoungyoungsik) August 7, 2021
鄭栄植(チョン・ヨンシク)、29歳。
世界トップクラスのバックハンド技術と、勝負強さで韓国卓球界を引っ張る一方、柔らかな人柄で、日本にもファンの多い選手である。
今回、オンラインでソウルと繋いで、鄭栄植選手に現在の状況や今後の展望などを聞いた。
写真:鄭栄植(中央)/撮影:ラリーズ編集部
まさかあんなに話題になるとは
――東京五輪を終えて、日本語での感謝のツイートが大きな反響を呼びました。どんな思いだったんですか。鄭栄植:まさか、あんなに話題になるとは思いませんでした(笑)。今回、五輪ボランティアの方々がとても親切で、いま大変な時期なのに、こんなに頑張ってくださっている。ボランティアをしてくれた皆さん、応援してくれた全ての方に少しでも感謝の気持ちが伝わればと思って、日本語でツイートしました。
「東京五輪代表選考が選手生活で最もつらかった」
――兵役期間と重なった東京五輪、調整はどうでしたか。鄭栄植:実は、今年の初めに行われた五輪代表選考が、最も精神的につらい時期でした。五輪が一年延期になり、ナショナルチームではなくずっと軍隊で練習していたんですが、選手としては正直、調整は難しかったです。
写真:鄭栄植/提供:ittfworld
写真:鄭栄植/提供:ittfworld
大逆転でベスト8まで進んだ個人シングルス
――個人シングルスでのジオニス選手との試合、ゲームカウント1-3の4-10でマッチポイントを取られてから大逆転で勝利っていうのは、衝撃的でした。鄭栄植:これ以上失点をしたら自分の東京五輪が終わってしまうと思ったとき、1本ずつベストを尽くしながらも、今の状況を楽しもうと考えました。そうすることで、運も味方してくれましたし、チャンスも巡ってきました。
写真:鄭栄植(韓国)/提供:ittfworld
写真:鄭栄植(右)が樊振東(奥)を破った2019年の韓国オープン/撮影:ラリーズ編集部
日本との団体銅メダル決定戦
――東京五輪、日本との団体3位決定戦のダブルスは、多くの実績を上げた李尚洙選手とのペアでしたが、水谷/丹羽ペアに1-3で敗れました。鄭栄植:ダブルスではとても緊張してしまい、内容が良くありませんでした。必ず勝たなければ、という気持ちが強すぎて。一方、日本のダブルスは積極的に攻撃を仕掛けて、とても良い試合ができていましたね。
写真:水谷隼(写真左)・丹羽孝希/提供:AFP/アフロ
写真:水谷隼/提供:ittfworld
相手に敬意を払いたい
――ところで、ヨンシク選手はネットインやエッジで自分が得点したとき、“sorry”の人差し指が相手に見えるまで続けているような気がします。それはなにかポリシーがあるのでしょうか。鄭栄植:細かいところをよく見てますね(笑)。相手に見てもらわなければ意味がないと思うので、相手の目に入るまではポーズをしています。相手に敬意を払いたい、という思いです。――日本にヨンシク選手のファンが多い理由がわかる気がします。鄭栄植:ありがとうございます。私がそうなれているかどうかは別ですが、目標はいつも実力も人望もある選手になりたいと思っています。
写真:鄭栄植/提供:ittfworld
取材・文:槌谷昭人(ラリーズ編集長)