DDTプロレスを代表するパワーファイターとして真っ向勝負を信条とする吉村直巳。今年5月まで怪我で半年間欠場していた吉村がHARASHIMAと組み10.12後楽園ホールで竹下幸之介、勝俣瞬馬の持つKO-Dタッグに挑戦する。今回は彼の生い立ちか…

DDTプロレスを代表するパワーファイターとして真っ向勝負を信条とする吉村直巳。今年5月まで怪我で半年間欠場していた吉村がHARASHIMAと組み10.12後楽園ホールで竹下幸之介、勝俣瞬馬の持つKO-Dタッグに挑戦する。今回は彼の生い立ちからタイトル戦にかける思いを聞いた。 

――プロレスに興味を持ったキッカケから教えて頂けますか? 
 

吉村直巳(以下 吉村):小さい頃、親父が格闘技やプロレスをたくさん観ていました。僕は四角いリングの中で行われていることは全部一緒だと思っていて、その中で「これが面白い!」と感じたのがプロレスでしたね。 
 

出身は大阪。大阪プロレスがフェスティバルゲートで定期的に無料興行を行っていました。大会でくいしんぼう仮面がお菓子をくれるんですよ。最初はモノに釣られて観戦に行きました(笑)。その後、TSUTAYAで「プロレス」の棚を探すようになりましたね。最初の頃はドラゴンゲートのDVDを借りてずっと観ていました。 
 

――ドラゴンゲートは吉村選手のスタイルとは違いますね。それは何歳くらいですか? 
 

吉村:小学生に入るか入らないかです。ドラゴンゲートは神戸を中心に活動しています。あの頃は大阪のコンビニ店頭に割引券が置いてあり、それで親に連れて行ってもらいましたね。 
 

――その頃からプロレスラーを目指していたのですか? 
 

吉村:いやいや、プロレスラーにはなれないと思っていたんですよ。レスラーはキン肉マンのように超人しかなれない。僕は人間だから無理だと(苦笑)。 
 

【DDTプロレス 竹下幸之介】他団体に流失したベルト奪還に向け 
 

小学生の時、「わんぱく相撲」で竹下幸之介と何回当たっても全部負けました。ふと高校生の時、「あいつ(竹下)は何をしているのだろう」と思い、親の携帯借りて調べました。すると「DDT武道館デビュー」という衝撃のニュースを発見!そこで「『DDTプロレス』ってなんやねん?」と。その時までDDTを知らなかった(苦笑)。そこからDDTを見るようになりました。ただ中学・高校と柔道をしていましたが、将来「プロレスラー」を目指すまでには至らなかったですね。 
 

――DDTを知ったのが竹下幸之介選手を通じてですか。それも運命的なものを感じますね。ところで吉村選手は高校を卒業して、すぐにDDTに入門したわけではないですよね? 
 

吉村:高校を卒業する時、体重が150kgくらいありました。漠然と「このまま運動を止めると死ぬ」と思いました(苦笑)。それでダイエットとしてジム行こうと思い、中学時代の顧問に相談したら、全日本プロレスのゼウスさんの「キングジム」を紹介してくれました。ちょうどゼウスさんが全日本に上がり始めた時期ですから2014年ですね。 
 

ゼウスさんが「絶対レスラーになれるよ」と強く勧めてくれました。最初は半信半疑でしたが教えてもらったプロレスラー用のトレーニングメニューで鍛え始めてから「もしかしたらプロレスラーになれるのではないか」と思い始めましたね。 
 

ゼウスさんのジムには約2年通っていました。ある時期、体重を90kgくらいまで落としすぎたんですけど、「ボディビルダー的肉体がほしいわけではない」と思い、パワーファイター用の体作りにシフトしました(苦笑)。 
 

――90kgですか?想像できないですね。ところでどういった経緯でDDTに入団したのですか? 
 

吉村:それは完全に竹下幸之介を追っかけてです。当時、管理栄養士になるための大学に通っていました。順調に行けば安泰。親に「プロレスラーになりたい」と言ったら反対されました。DDTに履歴書を提出、親と大学側からは「DDTに受からなかったらキチンと大学に通うこと」を提案されましたが見事合格しました(笑)。 
 

【DDTプロレス 上野勇希】DDT UNIVERSAL王者としての責任 
 

プロレスリングBASARAの中津良太さんに「合格かどうかの連絡来るまで1ヶ月かかるよ」と言われていたんですけど、上野勇希さんと入団試験を受け高木社長と話をしていたら「お前たち合格なんだけど」と、その場で言われて「あっ、俺たち合格なんだ」と(笑)。 
 

――それで上野選手と一緒に大阪から上京したのですか? 
 

吉村:上野さんの方が何日か早かったんですよ。 
 

――寮は新小岩ですよね。あまりにも汚れていて上野選手が「続けられるか」不安になったという。 
 

吉村:上野さんが片付けてくれたので僕が行った時は大丈夫でした。それでも家の中、風呂掃除やリビング・キッチン、庭の草を抜いてとか全部やりました(苦笑)。 
 

――デビューは2016年12月にDDT大阪府立体育会館でKUDO選手と高尾蒼馬選手と組んで、石井慧介選手・彰人選手・上野勇希選手と戦いました。この試合は覚えていますか? 
 

吉村:試合で覚えているのは緊張しすぎて視野が狭くなり、お客さんが1人も見えなかったことですね(苦笑)。試合が終わってKUDOさんが「四方に礼をして帰りな」とボソッと言ってくれて、それで初めて最前列のお客さんが見えました。それまでは本当にリング上の相手しか見えなかった。 
 

――デビュー戦、上野選手から勝ちました。それは覚えていますか? 
 

吉村:試合後、映像を何度か観ているので。「あぁ、こんな感じやったんや…」と(笑)。 
 

――そして2017年に竹下幸之介選手と石井慧介選手とのKO-D無差別級戦直後に「いつどこ挑戦権」を使い竹下選手に挑戦しました。 
 

吉村:これまでも何回かシングルで戦っているけど、竹下とは他の人と試合をする時と別のスイッチが入るというか、戦うモードが変わっちゃいますね。試合前に結構考えて「こういう形でこういう風にして組み立てよう」と思っていても、竹下の入場曲を聴くと頭に血が上ります。必死とはまた違う、「こいつを倒す。倒したい。倒さないと…」だけになる特別な感情です。 
 

――それはシングルでもタッグでも同じですか? 
 

吉村:特にシングルですね。タッグは相手云々より味方がいるので意識がパートナーの方にも向かいます。でもシングルの場合は対象が1人なので抑えるのが難しいですね。 
 

<(2)に続く > 
 

<インフォメーション> 
10.12後楽園ホール「Get Alive 2021」にて吉村直巳選手とHARASHIMA選手が王者 竹下幸之介選手と勝俣瞬馬選手に挑むKO-Dタッグ選手権試合が行われます。DISASTER BOXはベルトを獲得できるのか! 
また11.3大田区大会から「D王 GRAND PRIX 2021 Ⅱ」が開幕します。前回覇者 秋山準選手は吉村選手と同じAブロック。果たして今回は誰が頂点に立つのか! 
詳細はDDTプロレスリング公式サイトをご覧ください。 
 

また試合は動画配信サービスWRESTLE UNIVERSEで生配信されます。 
 

吉村直巳 Twitter
 

取材・文/大楽 聡詞 
写真提供/DDTプロレスリング 

 
 
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