チーム事情から見るドラフト戦略2021~ロッテ編 先発が5、6回まで投げれば、その後を唐川侑己(21ホールド)、フランク・ハーマン(24ホールド)、佐々木千隼(24ホールド)、さらにシーズン後半はDeNAから移籍の国吉佑樹(14ホールド)ま…

チーム事情から見るドラフト戦略2021~ロッテ編

 先発が5、6回まで投げれば、その後を唐川侑己(21ホールド)、フランク・ハーマン(24ホールド)、佐々木千隼(24ホールド)、さらにシーズン後半はDeNAから移籍の国吉佑樹(14ホールド)まで加わり、最後は鉄腕・益田直也(36セーブ)につなぐ。しっかりとした"勝利の方程式"を確立しているチームは試合運びに落ち着きがあって、簡単には負けない。
※成績は10月7日現在(以下同)

 それにしても今シーズンの佐々木千隼の「5年目の覚醒」には驚いた。2016年のドラフトで外れ1位ながら5球団が重複指名した投手だ。入団後はなかなか力を発揮できずにいたが、こぞって高い評価を受けた選手は、やはりすばらしい能力を持っているのだとあらためて思い知らされた。

 先発は小島和哉(10勝)、岩下大輝(8勝)をはじめ、河村説人(4勝)、佐々木朗希(2勝)と若い選手が着実に戦力になっているが、これだけのリリーフ陣がいるなら、さらに投手陣に厚みがほしい。

 右でも左でもどちらでもいい。実戦力最優先で、ここは一気に他球団を引き離すチャンスだ。



最速154キロを誇る本格派右腕、三菱自動車倉敷オーシャンズの廣畑敦也

 右なら三菱自動車倉敷オーシャンズの廣畑敦也(右投右打)、左なら西日本工業大の隅田知一郎(左投左打)がまず挙がる。

 ともにストレートの勢いだけでなく、空振りがとれる変化球もあって、高い奪三振率を誇る。1年目からローテーションに入り、2ケタ勝利が期待できる投手だ。

 ほかには、新潟医療福祉大の桐敷拓馬(左投左打)、法政大の山下輝(左投左打)の大学生左腕も楽しみな存在である。

 山下は千葉出身で、木更津総合高校では昨年のドラフトで獲り逃した早川隆久(楽天)の1年後輩。ドラフト時点で総合力なら早川のほうが上だろうが、底知れないポテンシャルを秘めており、1年目からでも通用する可能性がある。

 桐敷も常時140キロ中盤のストレートにツーシーム、フォークを持ち、なかなか四球を出さない制球力も魅力。ないのは"知名度"ぐらいで、1年目からチームの中心として活躍する可能性は大いにある。

 ところで、今年の千葉には高校生に楽しみな選手が多い。

 将来の「幕張のホームランアーチスト」を託すなら千葉学芸の有薗直輝(内野手/右投右打)、万能型なら東京学館の粟飯原龍之介(内野手/右投左打)。有薗は高校通算70発の長距離砲で、粟飯原は50m6秒を切るスピードがある。

 また、昌平高校(埼玉)の吉野創士(外野手/右投右打)も千葉で生まれ育った選手。しなやかなスイングから雄大な放物線を描く打球はスター性十分。

 投手では、甲子園でも活躍した専大松戸の深沢鳳介(右投右打)。サイドハンドから145キロのストレートは"ホップ成分"抜群で、数字以上に打者を圧倒する。両サイドの制球力も抜群で、高卒投手にありがちな四球で苦しむという姿は思い浮かばない。

 あと補強しておきたいのは捕手だ。昨年のドラフトで、捕手は育成で立正大淞南高・谷川唯人しか指名しておらず、他にも将来のレギュラーとして期待できそうな人材が必要だ。

 タイミングが合えば、とんでもない飛距離を発揮する県岐阜商の高木翔斗(右投右打)を3位で狙ってもいいのではないか。

 ディフェンス力を優先するなら、花咲徳栄の味谷大誠(右投左打)か小松大谷の東出直也(右投右打)も候補に挙がる。

 東出は身長170センチと小柄だが、甲斐拓也(ソフトバンク)のような匂いがする逸材だ。肩の強さは以前から評判だったが、この夏の甲子園ではバッティングも力強さが増し、すっかりプロ仕様になっていた。これから「プロ一本です!」と言いきったことも納得だ。

 近年、ロッテは安田尚憲、藤原恭大、佐々木朗希といったアマチュア球界の大物を次々と獲得してきた。まだチームの中心を担う存在にはなっていないが、その準備は着々と進んでいる。「近い将来、ロッテの黄金時代がくる」と語る球界関係者は多いだけに、今回のドラフトではたしかな実力を持った選手をひとりでも多く獲得しておきたいところだ。