スーパーフォーミュラ(SF)の第2回公式合同テストは4月1日、富士スピードウェイで2日目(最終日)を迎えた。天候の影響で午後にまとめて3時間の走行セッションが行なわれるかたちとなったなか、好調さが目立つトムス勢が1-2、それに新人ピエール・…

スーパーフォーミュラ(SF)の第2回公式合同テストは4月1日、富士スピードウェイで2日目(最終日)を迎えた。天候の影響で午後にまとめて3時間の走行セッションが行なわれるかたちとなったなか、好調さが目立つトムス勢が1-2、それに新人ピエール・ガスリーが続いている。

前日の夕方から降雪に見舞われた富士スピードウェイ。この日の天候は曇り時々小雨ながら、朝の時点ではコースサイドのグラスゾーンの一部に雪が残っている状態だった。午前11~12時のセッションは中止となり、その後、午後のセッションを1時30分~4時30分へと1時間拡大する変更措置がとられる。

午後の3時間セッション、開始時点の路面はウエットからドライへと転じつつある状況。レインタイヤでコースインするマシンもあれば、スリックタイヤでコースインするマシンもあるという具合だったが、次第に路面は完全ドライ水準へと近づき、開始から1時間を過ぎる頃には前日のトップタイムとコンマ4~5秒しか変わらないタイムが出てくるようになる。

その後、セッション後半は雨が断続的にパラついてくる状況もあったのだが、それでも終盤には予選のようなタイムアップ合戦が展開され、トップ3は最終的に前日より速い1分21秒台にまで突入している(一部では、雨が落ちていなければもっと速かった可能性も指摘された)。

1-2タイムを記録したのは、世界耐久選手権(WEC)プロローグテストとの日程重複によりレギュラーのA.ロッテラー(#36)と中嶋一貴(#37)を欠くトムス勢(VANTELIN TEAM TOM'S/エンジンはトヨタ)。初日はJ.ロシターが搭乗した37号車に2日目は平川亮が乗り、1分21秒628というトップタイムをマークした。そして36号車のJ-P.デ.オリベイラが1分21秒808で2番手。

平川もオリベイラも実力ある選手とはいえ、チームとしてのトムスの好調さが目立っている。37号車担当の小枝正樹エンジニアによれば、昨年終盤から試してきたセットアップ面のトライがいい方向に伸びているらしく、これで鈴鹿~富士と4日間の公式合同テストは連日、トムスが一番時計奪取だ(鈴鹿ファン感謝デーの公開テストを含めると5日連続)。昨季はまさかの0勝だったトムス、内容面を考えれば決して不調だったわけではないが、巻き返しムードが高まってきた。

平川が「自分の意思通りにマシンが動いてくれて、すごく良くシンクロできたと思います。乗っていて楽しかったですし、クセがなくてマイルドですね」と語っている点からも、トムス勢の仕上がりは現状、アタマひとつ以上抜けているといえよう。

平川は今季、SUPER GT(GT500クラス)と欧州ルマン・シリーズ(ELMS)が活動の主舞台。SUPER GTにはトムスチームからの参戦なのだから、平川自身にとってもいい流れをつくった代打トップタイムである。また、平川はレッドブル・アスリートにも選抜されている若手気鋭だけに、再びフォーミュラ路線でもレギュラー的な活躍を演じるための第一歩につながる可能性もありそうだ。期待したい。

そしてレッドブルといえば、次期F1ドライバーとも目される“レッドブルJr.”の#15 P.ガスリー(TEAM MUGEN/ホンダ)がこの日も魅せた。最後の最後に平川のタイムを更新しそうな勢いを見せて、ホンダ勢トップ、全体3番手となる1分21秒956をマーク。これで公式テスト4日連続のホンダ勢首位タイム、どんな局面でも上位につける“強さをもった速さ”も素晴らしいが、この日は丹念にスタート練習をこなす用意周到さも発揮している。本当にシーズン開幕を楽しみにさせられるルーキーだ。

2日目の全体4番手タイムは、やはり新人の#20 J.マーデンボロー(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/トヨタ)。ゲーム出身の彼の活躍も今季の大きな注目ポイントとなる。5~6番手はチャンピオン経験者のふたりで、5番手タイムは前日のクラッシュからマシン修復が間に合った#16 山本尚貴(TEAM MUGEN/ホンダ)、6番手には#2 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)がつけている。

前週のSUPER GTに続き、富士スピードウェイでの公式合同テストは2週とも雪に大きく影響される格好にはなったが、今週のSFに関していえば、結果的に当初予定通り約8時間の走行を2日間でこなすことができ、多くのチームにとっては有意義な時間となったはずだ。また、観客にとってもこの日は3時間の走行が観られて、ピットウォークや臨時のサイン会にもエクストラチャージなしで参加できるという、コストパフォーマンスと満足度の高い一日となっただろう(高校生以上入場料金1000円)。

SFの次回公式日程は、いよいよ開幕戦。「NGKスパークプラグ鈴鹿2&4レース」は、4月22~23日の開催だ。日本一速い男の座をかけたチャンピオンシップ、ついにその火蓋が切っておとされる。

中嶋一貴の代走を務めた#37 平川亮が2日目のトップタイムを記録。《撮影 遠藤俊幸》

中嶋一貴の代走を務めた#37 平川亮が2日目のトップタイムを記録。《撮影 遠藤俊幸》

#36 オリベイラが2番手タイムで、トムスの代打コンビが1-2を占めた。《撮影 遠藤俊幸》

#36 オリベイラが2番手タイムで、トムスの代打コンビが1-2を占めた。《撮影 遠藤俊幸》

#15 ガスリーが3番手タイムをマーク。《撮影 遠藤俊幸》

#15 ガスリーが3番手タイムをマーク。《撮影 遠藤俊幸》

4番手タイムの#20 マーデンボロー。《撮影 遠藤俊幸》

4番手タイムの#20 マーデンボロー。《撮影 遠藤俊幸》

5番手タイムの#16 山本尚貴。《撮影 遠藤俊幸》

5番手タイムの#16 山本尚貴。《撮影 遠藤俊幸》

6番手タイムの#2 石浦宏明。《撮影 遠藤俊幸》

6番手タイムの#2 石浦宏明。《撮影 遠藤俊幸》

急遽実施されたサイン会は大盛況。《撮影 遠藤俊幸》

急遽実施されたサイン会は大盛況。《撮影 遠藤俊幸》

ピットウォーク、やはりガスリーのピット前の賑わいはひときわ目立つ。《撮影 遠藤俊幸》

ピットウォーク、やはりガスリーのピット前の賑わいはひときわ目立つ。《撮影 遠藤俊幸》

いよいよ次は開幕戦となる。舞台は鈴鹿、4月22~23日の開催だ。《撮影 遠藤俊幸》

いよいよ次は開幕戦となる。舞台は鈴鹿、4月22~23日の開催だ。《撮影 遠藤俊幸》