アメリカ・フロリダ州マイアミで開催されている「マイアミ・オープン」(ATP1000/3月22日~4月2日/賞金総額699万3450ドル/ハードコート)の男子シングルス準決勝で、今シーズン好調のロジャー・フェデラー(スイス)が第12シード…

 アメリカ・フロリダ州マイアミで開催されている「マイアミ・オープン」(ATP1000/3月22日~4月2日/賞金総額699万3450ドル/ハードコート)の男子シングルス準決勝で、今シーズン好調のロジャー・フェデラー(スイス)が第12シードのニック・キリオス(オーストラリア)を下して決勝進出を決めた。

 第4シードのフェデラーは第1セットを先取するも、第2セットのタイブレークでは2度のマッチポイントを逃してフルセットにもつれこんだ。しかし、続く第3セットのタイブレークを制したフェデラーが7-6(9) 6-7(9) 7-6(5)の大接戦をものにした。

「この勝負はどっちに転んでもおかしくなかったよ。スリルのある試合だったけど、このようなかたちで勝ててよかった。」とフェデラーは試合を振り返った。

 フェデラーがマッチポイントをサービスウィナーで取ったあと、キリオスはラケットをコートに3回叩きつけた。フェデラーはキリオスが落ち着くのをじっと待ち、そのあと意気揚々と観客席にボールを打ち込んだ。ブーイングの観衆の中、キリオスはラケットを放り投げ、そのあとネット越しでフェデラーと熱い握手をかわした。

 トマーシュ・ベルディヒ(チェコ)との準々決勝では、フェデラーは2度のマッチポイントをしのいでの勝利だった。

 フェデラーは日曜日の決勝で、ラファエル・ナダル(スペイン)と対戦する。ナダルはより早い時間に行われた準決勝で、ファビオ・フォニーニ(イタリア)を6-1 7-5で破って勝ち上がった。

 フェデラーとナダルは13年前に今大会で初めて対戦している。「ナダルは僕にとって、もっとも偉大なライバルだよ。何か昔にもどったような感じだよね。」とフェデラー。一方、ナダルは「ほかのみんなもそうだと思うけど、彼に挑むことは大きな挑戦だよ。」とコメントした。

 フェデラーは2005年と2006年に今大会のタイトルを獲得している。それ以降は決勝にも進出していないが、これまでに18度グランドスラム・タイトルを獲得しているフェデラーは35歳にしてふたたび上り調子だ。フェデラーは1月の全豪オープンおよび2週間前のインディアンウェルズ(ATP1000)でタイトルを獲得し、ここ最近の10戦では全勝。今季の戦績を18勝1敗とし、2006年以降としてはもっともいいスタートをきっている。

 満員の観客は完全にフェデラーの味方で、キリオスは悪役を演じることとなった。キリオスは毎回大声でラケットに不満をぶつけ、悪態による罰則を受けた。第3セットのタイブレークのラリー中に観客が叫んだことについても不満を訴えた。

 キリオスの強烈なストロークをフェデラーがうまくかわすという、キリオスにとっては綱渡り的な試合であった。マスターズ初の決勝進出を目指した21歳のキリオスは、「僕はたしかにすぐに感情的になってしまう。大きく気持ちが浮き沈みしたけど結果的にはいいプレーができたと思うし、観客を楽しませることができたと思うよ。」とコメントした。キリオスの激しい態度に対してフェデラーは不満を言っていない。「観客はすぐに食ってかかってたけど、最後にはいい雰囲気になったよ。僕はキリオスがそんなに悪いとは思わないし、彼にとってはいい試合だったと思うよ。」とフェデラーは言った。

 フェデラーは第1セットで先に自身のサービスゲームをキリオスにブレークされたが巻き返しに成功し、タイブレークでは2本のセットポイントをしのいで第1セットを先取した。第2、第3セットでのサービスゲームでは、キリオスにブレークポイントを1度も握らせていない。第3セットのタイブレークではキリオスの時速約206kmのセカンドサーブがサービスラインを割ってダブルフォールトとなり、フェデラーが3度目のマッチポイントを掴んだ。フェデラーは次のポイントでサービスウィナーを奪って試合を決めた。

 フェデラーは2015年のマドリッド(ATP1000/クレーコート)で初めてキリオスと対戦し、3セットマッチで3セットともにタイブレークにもつれこんだ。このときは2度のマッチポイントをしのいだキリオスに軍配が上がっていたため、フェデラーは前回の雪辱を果たす形となった。「1試合に3セットともにタイブレークになることはあまりないけど、タイブレークをものにすることはスリルがあっていいよね。」とフェデラーは言った。 (C)AP(テニスマガジン)