■10月2日/WEリーグ第4節 大宮アルディージャVENTUS―三菱重工浦和レッズレディース(NACK5) 2日に行われ…

■10月2日/WEリーグ第4節 大宮アルディージャVENTUS―三菱重工浦和レッズレディース(NACK5)

 2日に行われた、女子プロサッカーリーグのWEリーグ第4節は、同じさいたま市に拠点を持つ大宮アルディージャVENTUSと三菱重工浦和レッズレディースが対戦し、女子サッカー初の“さいたまダービー”が行われた。試合は、浦和が4-1の大量得点で勝利し、リーグ開幕から3連勝となった。

 浦和レッズと大宮アルディージャ。サッカーファンにとって、この2つのチームが往年のライバルであることは広く知られている。

 旧・浦和市と旧・大宮市にそれぞれ拠点を置いていた両チームだが、隣接する浦和と大宮においては、もともと地元民同士が様々なシーンで互いを牽制し合い、古くからそうした話題が取り上げられるほどの関係にある。2001年、与野市を含めた合併によって「さいたま市」が誕生し、同じ市内をホームグラウンドとすることになった浦和レッズと大宮アルディージャ。昔から“サッカー王国”と呼ばれるほどサッカーが盛んな埼玉県において、男子チームの対戦時には東西を二分するほどの盛り上がりを見せる。

 ダービー当日は、街の風景も緊張感が漂い、どこかせわしない。スタジアムまでの道のりからすでに両サポーターの昂ぶりを感じる。まさに天下分け目の一戦が行われるかのような雰囲気だ。当日のスタジアムはいつも満席で、赤とオレンジの2色のコントラストが一面に広がる。そして、サポーターの誇りをかけた応援合戦が行われ、それに呼応するかのように両チームの選手が試合終了のホイッスルまで激しくぶつかり合う。サポーター、選手、スタッフらの熱気や息遣いが広がり、スタジアムが揺れるような体感を覚える。あの一体感と興奮は国内屈指と言っても過言ではない。

■4年ぶりの“さいたまダービー”は来場者数が3,000人超え

 そんな男子チームの浦和レッズと大宮アルディージャの“さいたまダービー”は、大宮がJ2に降格した2017年を最後に4年近く開催されていない。現在、浦和はJ1、大宮はJ2と、異なるカテゴリーに所属する両者だが、この4年間、両チームのサポーターに話を聞くたびに、「さいたまダービーを見たい。今度はいつ開催されるだろうか」という言葉をよく耳にしていた。

 なでしこリーグからWEリーグに参入した浦和レッズレディースは、もともと男子チームのサポーターも女子チームとあわせて応援する人が多い。ホームの浦和駒場スタジアムで開催される試合の日には、グッズショップは多くの人で賑わい、スタジアムもほとんどの席が埋まる。また、大宮アルディージャVENTUSはWEリーグ開幕にあわせて創設されたチームだが、女子チームのプロリーグ参入にあたっては地元住民からの期待度も非常に高かった。

 両者のサポーターとっては、久しぶりに行われた“さいたまダービー”に心が踊るような感覚があったにちがいない。今節の来場者数は3,364人と、この日に行われた第4節の5試合のなかでも群を抜いての集客を誇った。

■浦和MF遠藤優「自分たちのパワーの源」

 その思いは、監督や選手たちも同じようだ。浦和の楠瀬直木監督が「ビジター席が開放され、スタジアムの雰囲気に鳥肌が立った。多くの来場者の方々がいる中、選手たちも初めてのダービーで、緊張もあり、ワクワクもありましたが、そのシチュエーションのおかげで、スタートが良い形で入れた」と話せば、敗れた大宮のDF有吉佐織も「両チームのサポーターがたくさん入って、雰囲気の良いなかで試合ができて、とても楽しいダービーでした。いつも以上にテンションが上がり、一人ひとりが『絶対に勝ちたい』という気持ちが強かったので、失点後の戦い方はもう少し修正できたのではと思う」と、試合の反省を述べながらも、ダービーマッチへの特別な思いを明かした。

 WEリーグにはさらにもう一つ、埼玉県のチームがある。ホームグラウンドはさいたま市ではないが、ちふれASエルフェン埼玉もなでしこリーグからプロリーグに参入している。エルフェンも含めて考えれば、埼玉で行われるダービーマッチはシーズンを通して合計6試合行われることになる。

 4点目を決めた浦和のMF遠藤優は、「今日は入場者数が3,364人でしたが、目標は平均5,000人です。浦和駒場スタジアムでも5,000人のみなさんが来てくれるような試合をしたい」と、今後の展望を話していた。女子サッカーの盛り上がりは、サッカーの様々な年代やカテゴリーにおいて好影響をもたらすにちがいない。埼玉から発信していく“女子サッカー文化”。今後の熱い戦いに注目したい。

■試合結果

大宮アルディージャVENTUS 1―4 三菱重工浦和レッズレディース

■得点

5分 安藤梢(三菱重工浦和レッズレディース) 

49分 猶本光(三菱重工浦和レッズレディース)

82分 菅澤優衣香(三菱重工浦和レッズレディース)

87分 遠藤優(三菱重工浦和レッズレディース)

88分 カトラー・グレイス・エリン(大宮アルディージャVENTUS)

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