2021年のメジャーリーグも大詰めに近づき、優勝争いとともに個人賞の行方にも注目が集まっている。特にア・リーグには大谷…
2021年のメジャーリーグも大詰めに近づき、優勝争いとともに個人賞の行方にも注目が集まっている。特にア・リーグには大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)、ブラディミール・ゲレーロJr.とマーカス・セミエン(どちらもトロント・ブルージェイズ)、サルバドール・ペレス(ロイヤルズ)と40本塁打以上の選手が4人もおり、MVP争いはハイレベルになっている。

MVP候補の筆頭に挙がる大谷(左)とゲレーロ
そのなかでも、ベーブ・ルース以来の本格的な二刀流選手として歴史的なシーズンを過ごした大谷が「MVPの本命」と目されてきた。ただ、殿堂入り選手の父を持つゲレーロも、打率、本塁打、打点という主要3項目のすべてでリーグのトップ10に入る成績をマーク。エンゼルスがチーム成績は振るわなかった一方で、ゲレーロが所属するブルージェイズがプレーオフを狙える位置につけていることも特筆されるべきだろう。
大谷、ゲレーロのどちらがMVPにふさわしいのか。今回、ブルージェイズを継続的に取材するカナダ在住の3人の識者に3つの質問をぶつけ、歴史的なMVPレースの結果を占ってみた。
【パネリスト】
●ケイトリン・マグラス(The Athleticの女性ライター。ブルージェイズ番記者)
●ライアン・ウォルスタット(トロントサン紙のコラムニスト)
●ベン・ニコルソン・スミス(Sportsnet.caのブルージェイズ番記者)
Q1 今季のア・リーグMVPは誰だと思うか。
マグラス 私が票を持っていたら、やはり大谷に投じる。これほどとてつもないシーズンを過ごしてきたのであれば、MVPという形でその功績が認められるべき。MVP以上に彼にフィットする賞は考えられない。
ウォルスタット 大谷だ。
ニコルソン・スミス シーズンはまだ終わっていないが、大谷だと思う。
Q2 選考の理由は?
マグラス 大谷はエンゼルスにおいて、投手としてはエースピッチャー、打者としてベストヒッターであり続けてきた。後半戦は打撃面で少々苦しんだが、これまで体にかけた負荷を考えれば、それは理解できる範囲内のこと。シーズンを通じて二刀流を継続することの難しさは私たちの想像を超えたものであり、それがやり遂げられてきたことに感謝しなければならない。
ウォルスタット 大谷は最高級の打者であり、安定感のある投手でもある。そんな選手はメジャーリーグにおいてもこの100年間、生まれてはこなかった。ゲレーロは確かに打撃面では大谷を上回っている。ただ、相手投手からのマークが集中する大谷に比べ、ゲレーロはブルージェイズの強力打線の中で分厚いプロテクションに守られてきたことも見逃せない。
今季のセミエンの貢献度は例年のマイク・トラウト(エンゼルス)に匹敵する。加えてボー・ビシェット、テオスカー・ヘルナンデスという2人のオールスター選手を抱えるチーム内で、ゲレーロの負担はより小さいものになっている。
ニコルソン・スミス ゲレーロのほうがより優れた打者で、打撃成績は上回っている。ただ、大谷はホームランを打つだけではなく、盗塁も多く、投手としては100イニング以上を投げ、3点台前半の防御率を残した。今のゲレーロの成績なら、ほとんどのシーズンでMVPが獲れるだろうし、今季に限ってはMVPが2人選ばれてもいいくらい。だが、どちらかを選ばなければいけないなら、トータルでの価値はやはり大谷が上回っているように思う。
Q3 ゲレーロが、プレーオフ争いの中で好成績を残していることは重要な要素になる?
マグラス 大谷は間違いなくエンゼルスのMVPだが、ゲレーロもブルージェイズのベストヒッターであり、プレーオフ進出を争うチームに大きな貢献を果たしてきた。大谷がこれほどの成績を残してさえいなければ、他のどのシーズンでもゲレーロこそがMVPに選ばれていただろう。今後、ブルージェイズが逆転でプレーオフ進出を果たし、ゲレーロがそれを牽引する働きをした場合には、一部の票がゲレーロに流れるとは思う。ただ、それでも最終的には大谷がMVPに選出されるはずだ。
ウォルスタット 大谷の成績がほとんど消化ゲームの中で叩き出されたのに対し、ゲレーロが大事な試合の中で活躍してきたことはもちろんプラス材料だ。ただ、大谷を凌駕するには至らない。大谷の打者としての貢献度がゲレーロの80~85%だったとしても、好投手であるという材料で上回る。
ニコルソン・スミス チームの成績も考慮されなければいけないとは思う。ただ、トラウトもチーム成績が振るわないシーズンの中で価値のある成績を残し、MVPに選ばれたことがある。かつてのバリー・ボンズに関しても同じだ。結局のところ、「もっとも価値がある(Most Valuable)」という言葉の定義次第になってくるのだろうが、私はやはりベストプレーヤーが報われるべきだと考える。大谷ほど、チームをさまざまな形で助けてきた選手は他にはいないのだから。