3月26日に全日程を終えた今年のオープン戦は、千葉ロッテが13勝2敗3分で12球団トップとなる勝率.867を記録した。福岡ソフトバンク(10勝5敗3分)とオリックス(9勝5敗2分)が2、3位で次ぎ、埼玉西武(8勝5敗0分)と北海道日本ハム(…

3月26日に全日程を終えた今年のオープン戦は、千葉ロッテが13勝2敗3分で12球団トップとなる勝率.867を記録した。福岡ソフトバンク(10勝5敗3分)とオリックス(9勝5敗2分)が2、3位で次ぎ、埼玉西武(8勝5敗0分)と北海道日本ハム(11勝7敗2分)も「Aクラス」の5、6位で、パ・リーグ最下位の楽天(6勝9敗2分)でも全体順位は8位。セ・リーグ相手には6球団合計で46勝23敗10分と大きく水をあけた。

■ロッテが12球団トップの勝率.867で開幕へ、OP戦成績の重要性は?

 3月26日に全日程を終えた今年のオープン戦は、千葉ロッテが13勝2敗3分で12球団トップとなる勝率.867を記録した。福岡ソフトバンク(10勝5敗3分)とオリックス(9勝5敗2分)が2、3位で次ぎ、埼玉西武(8勝5敗0分)と北海道日本ハム(11勝7敗2分)も「Aクラス」の5、6位で、パ・リーグ最下位の楽天(6勝9敗2分)でも全体順位は8位。セ・リーグ相手には6球団合計で46勝23敗10分と大きく水をあけた。

 31日に開幕を迎える今年のペナントレースの行方を占う上で、オープン戦の内容は試金石となるが、実際にシーズン最終順位とはどれだけの結び付きがあるのだろうか。本番直前の戦いの重要性を考察してみる。

 まず、2000年以降にパ・リーグで優勝を果たしたチームのオープン戦成績を見てみよう。

※()はオープン戦全体順位
2000年 ダイエー 8勝9敗3分 勝率.471(7位)
2001年 大阪近鉄 2勝9敗2分 勝率.182(12位)
2002年 西武 6勝9敗4分 勝率.400(9位)
2003年 ダイエー 10勝8敗0分 勝率.556(4位)
2004年 西武 4勝8敗1分 勝率.333(11位)
2005年 千葉ロッテ 7勝6敗1分 勝率.538(5位)
2006年 北海道日本ハム 8勝6敗2分 勝率.571(4位)
2007年 北海道日本ハム 5勝6敗4分 勝率.455(7位)
2008年 埼玉西武 8勝3敗2分 勝率.727(1位)
2009年 北海道日本ハム 10勝9敗0分 勝率.526(6位)
2010年 福岡ソフトバンク 7勝4敗2分 勝率.636(2位)
2011年 福岡ソフトバンク 8勝3敗2分 勝率.727(2位)
2012年 北海道日本ハム 10勝4敗2分 勝率.714(2位)
2013年 楽天 10勝7敗0分 勝率.588(4位)
2014年 福岡ソフトバンク 15勝2敗2分 勝率.882(1位)
2015年 福岡ソフトバンク 11勝5敗1分 勝率.688(1位)
2016年 北海道日本ハム 7勝8敗0分 勝率.467(8位)

 17年間で11チームが勝ち越し。そして、全17年の成績を合算すると、136勝106敗28分で勝率は.561となり、シーズンに入ってこの数字を下回りながら優勝できたのは2000年のダイエー(.549)、2008年の埼玉西武(.543)、2010年の福岡ソフトバンク(.547)、2012年の日本ハム(.556)と4チームのみ。確率としては「オープン戦でもある程度の成績を収めたチームが優勝に近付く」と言える。

■オープン戦最下位からリーグ優勝を果たした01年の近鉄

 ただし、注意しなければならないのは、あくまで全体的にその傾向にあるというだけで、例外もそこそこ見られる点だ。極端なのが2001年の大阪近鉄で、オープン戦最下位ながらリーグ制覇を成し遂げた唯一のチームとなっている。打線は上記17チーム中最多の19本塁打をマークしたが、投手陣の防御率は同ワーストの7.30と壊滅的な数字だった。2000年以降の全チームで唯一となる、54奪三振を上回る59与四球を記録している。当然、下馬評は低かった。

 この年の大阪近鉄は、開幕戦で「いてまえ打線」が5点のビハインドをはね返して乱打戦の末に10-9で逆転勝利を飾った。秋には、北川博敏選手がプロ野球初の「代打逆転サヨナラ満塁優勝決定弾」を放ち栄光に輝いている。前年最下位からの優勝がパ・リーグ初なら、リーグワーストの防御率4.98での優勝はプロ野球初。日本シリーズに敗れて画竜点睛とはならなかったが、あまりにもドラマチックな物語はオープン戦からスタートしていたわけだ。

 対照的なのは、オープン戦首位の勢いそのままにリーグ優勝も果たした2008年の埼玉西武、2014、2015年の福岡ソフトバンクの3チームだ。いずれも日本一にまで到達しており、特に2014年の福岡ソフトバンクはともに12球団1位の防御率2.00、打率.302をマークするなど2000年以降の最高勝率.882をマークする強さを誇った。日本一連覇を達成する2015年にもオープン戦最高勝率だったのだから、この2年間は敵なしである。

 ちなみに、今年のオープン戦で1992年以来となる首位に立った千葉ロッテは日本一に輝いた2005年は5位、2010年は10位という成績だった。12球団ベストの13勝2敗3分は、千葉ロッテのシーズン成績とどこまで関係してくるか。今季を楽しむ上でのポイントの一つになりそうだ。

 前述のように傾向は発見できたが、リーグ優勝チームとそのオープン戦での成績の関係ははっきりと紐付けることはできない。たかがオープン戦なのか、されどオープン戦なのか。今年も、答えは目の前に迫ったシーズン143試合の戦いから見つけ出すしかない。

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

「パ・リーグ インサイト」藤原彬●文