川崎フロンターレの2連覇は「もう当選確実」なのだろうか? いや、川崎はまず6連戦の最後の2試合を乗り切る必要がある。 …
川崎フロンターレの2連覇は「もう当選確実」なのだろうか? いや、川崎はまず6連戦の最後の2試合を乗り切る必要がある。
確かに川崎は勝負強さを発揮している。しかし、鹿島アントラーズ戦、湘南ベルマーレ戦では劇的な逆転ゴールで勝利した川崎だったが、どちらも勝点なしに終わっていてもおかしくはない試合だった。8月のJリーグ再開以来、川崎はシーズン前半のような圧倒的な強さは発揮できず、苦しい試合が続いているのは事実なのだ。
夏の移籍期間に今シーズンの川崎の攻守の中心として活躍していた田中碧と、ドリブルの突破力と決定力によって、「個の力」によって結果を出し続けてきた三笘薫の2人が海外移籍を選択してチームを離れてしまった。
これは、予見されていたことだが、さらにDFを中心に故障者が続出したことはまったくの想定外だったろう。
まず、8月18日の天皇杯4回戦の清水エスパルス戦の前半19分には谷口彰悟がファウルを受け、いったんはプレーに戻ったものの23分に交代を強いられて、その後長期的に離脱してしまった。谷口は守備の要であると同時に、田中が抜けた後の中盤ではそのパス能力を使って攻撃を組織する仕事も期待されており、実際、清水戦でもボランチとしてプレーしていた。
さらに、YBCルヴァンカップの準々決勝、浦和レッズとのファーストレグの前半にはジェジエウが左の腿を傷めて交代。後半には今シーズンは主にCBとして出場していた車屋紳太郎までもが交代を余儀なくされたのだ。ジェジエウは、浦和とのセカンドレグの後半に復帰するが、川崎はその後も谷口と車屋を欠いたまま戦わなければいけなくなった。
そして、万全ではない状態の川崎は9月14日の蔚山現代とのアウェーゲームから“死の6連戦”に突入。まず、蔚山、徳島ヴォルティス、鹿島と中3日の日程でアウェー戦が続き、そして湘南、ヴィッセル神戸、FC東京と中2日のホーム3連戦という日程だ。しかも、連戦の最初の試合、蔚山とのアウェーゲームでは非常にプレー強度の高い120分の延長戦を強いられたのだ。
■重要な「負けていない」事実と穴を埋める選手の台頭
この苦しい戦いの結果、川崎はルヴァンカップとACLで敗退を余儀なくされた。
ただし、試合には負けていないのだ。ルヴァンカップでは浦和と2引き分けに終わり、アウェーゴールの差での敗退。そして、ACLの蔚山戦はPK戦での敗退だった。
結局、苦しい状況の中で戦った川崎は、8月9日の大分トリニータ戦から9月26日の湘南戦まで、Jリーグ、天皇杯、ルヴァンカップ、ACLを含めて12試合を戦って6勝5分1敗。苦戦続きではあったものの、結局、8月25日のアビスパ福岡戦の1敗だけで乗り切った。
この間、故障者が相次いだDFとしては山村和也が入って穴を埋め、さらに山根視来が日本代表に招集されて不在だった浦和戦ではMFが本職の橘田健人が右サイドバックとしてプレー。橘田はそのスピードを生かして、あらゆるポジションでプレーできるユーティリティーなプレーヤーとして成長することになった。
毎年のように、海外移籍で主力選手が流出する中、次々と新しいタレントが加わり、このチームの中で成長していく。それが、川崎フロンターレというチームの最大の強みなのだ。まだまだ未熟で、メンタル的にも不安定のように見えるが、鹿島戦でスーパーゴールを決めた宮城もドリブルを武器とする魅力的な若手選手だ。
■湘南戦で鬼木監督がターンオーバーを使った理由
こうして、難しい8月から9月にかけての厳しい戦いを続けた川崎。ようやく、谷口と車屋も復帰して選手も揃ってきた。そして、横浜FMと勝点9の差がついたことで、いよいよ2連覇に向けて最終段階の戦いに入ることになる。
川崎にとって、最後の大きな山場は9月29日のヴィッセル神戸戦だろう(第28節の延期分)。もし、この神戸戦に勝利できれば、ミッドウィークには試合のない横浜FMとの勝点差はさらに12まで開くことになる。もちろん、12ポイントの差は暫定的なものではあるが、まさに「王手」と言ってもいい状況だろう。
しかし、川崎にとってこの試合は6連戦の5戦目に当たる。しかも、湘南戦からは中2日しかない。それに対して、神戸は第30節の清水エスパルス戦が金曜日開催だったので、中4日の準備期間が与えられるのだ(だから、湘南戦で鬼木達監督はターンオーバーを使ったのだ)。
神戸は、このところ勝ったり負けたりが続いていたが、直近の2試合では北海道コンサドーレ札幌と清水に対して1対0、2対0と2試合連続無失点で勝利している。
もっとも、清水との試合は開始早々に武藤嘉紀のゴールで先制したものの追加点は奪えず、後半に入ると清水の猛攻を受けることになった。87分に左サイドをきれいに崩して、最後は欠場中の山口蛍に代わってボランチでプレーしていた大﨑玲央が決めたものの、けっして盤石の勝利ではなかった。
■今週の2試合が「天王山」
神戸は、この夏の移籍で日本代表の大迫勇也と元日本代表の武藤の2人が加入して注目されている。
実際、清水戦でも大迫は前線でボールを収めて攻撃の起点を作ったし、武藤は持ち前の鋭い動きで相手DFラインの背後を狙い続けた。大迫の落ち着いたクロスを武藤がヘディングで決めた先制ゴールは、2人の特徴を生かしたゴールだった。
だが、まだ2人はチームに加わったばかり。組織力は万全ではない。アンドレス・イニエスタであれば、分かりやすい動きをする武藤を見逃すはずはない。たとえば、イニエスタは21分に中盤の深い位置から武藤が走り込むスペースに正確なロングボールを入れた(日本代表GKの権田修一がキャッチ)。
だが、後半、イニエスタが退くと組織が確立されていない現状が露わになったようで、武藤の動き自体が大幅にダウンしてしまった。
したがって、チームの総合力として川崎が上回っているのは間違いない。
だが、川崎というチームは前線からのプレッシングなど守備力も高いチームだが、個人能力のあるFWにDFラインの裏を取られてあっ気なく失点する場面も多い。イニエスタ、大迫、武藤などが絡み、酒井高徳や初瀬亮からのクロスも入ってくる神戸の攻撃力は川崎にとってはやはり大きな脅威になるだろう。
6連戦の5戦目という、疲労の溜まった状態で戦う川崎。神戸戦から中2日の10月2日の土曜日には第31節、FC東京との「多摩川クラシコ」が控えている。この6連戦の残り2試合で勝点6を獲得すれば、川崎の2連覇はほぼ決まり。2試合で勝点3であっても、川崎が圧倒的優位であることに変わりはない。
川崎にとって、今週の2試合は“天王山”となる。