アメリカ・フロリダ州マイアミで開催されている「マイアミ・オープン」(WTAプレミア・マンダトリー/3月21日~4月1日/賞金総額769万9423ドル/ハードコート)の女子シングルス準々決勝で、第11シードのビーナス・ウイリアムズ(アメリ…

 アメリカ・フロリダ州マイアミで開催されている「マイアミ・オープン」(WTAプレミア・マンダトリー/3月21日~4月1日/賞金総額769万9423ドル/ハードコート)の女子シングルス準々決勝で、第11シードのビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)は、5番目のマッチポイントでウィナーを叩き込むと、スタンドの前列でポップコーンを食べながら見守っていた父親に向け、拳を突き上げて勝利を祝った。  勝利の味は決して古くなることはない。  ビーナスと彼女の父は20年もの間、ともにマイアミ・キービスケーンにやって来た。彼女はそこで、世界1位のアンジェリック・ケルバー(ドイツ)を7-5 6-3で倒すことにより準決勝に進み、2001年以来の今大会のタイトル獲得に、また一歩近づいた。  これはビーナスにとってナンバーワン・プレーヤーに対する15番目の勝利だが、それをやってのけたのは2014年以来のこととなる。  今大会は、ビーナスと妹セレナ・ウイリアムズがあまりに圧倒的強さを誇示していたがために、かつて“ウイリアムズ・オープン”と異名をとっていたほどだった。今、36歳のビーナスは7年ぶりに準決勝に戻ってきた。  8度マイアミで優勝しているセレナは、今回は膝の故障のため出場していない。しかし、彼女たちの父でありコーチだったリチャードは、健康の問題に苦しめられた時期を経て、約一年ぶりに大会で娘の試合を観戦した。  彼はベースライン沿いのカメラマン席で準々決勝を観戦し、ビーナスがコートを出るときに彼女から抱擁を受けた。 「父は私の人生でとても大切な人のひとりであり、私がテニスというスポーツで今ここにいる理由でもあるの」と、ビーナスはファンたちに向かって言い、ファンたちは声援でこれに応えた。  後にビーナスは、こう言い添えた。「父は昔からずっとポップコーンが好きだった。子供の頃、私たちはいつもいっしょにポップコーンを食べていたの。あれは子供時代の素晴らしい思い出だわ」。  木曜日の夜に行われるビーナスの準決勝の相手は、第10シードのジョハンナ・コンタ(イギリス)だ。コンタは第3シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)を3-6 7-6(7) 6-2で倒し、今大会で準決勝に進出した初のイギリス人女子プレーヤーとなった。  「彼女は今、夢を体験している」とビーナスは言った。「そして私にも夢はある」。  第2シードのカロリーナ・プリスコバ(チェコ)は、もうひとつの準決勝で第12シードのカロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)と対戦する。  今年、ビーナスは全豪オープン決勝で妹セレナに敗れはしたが、復活劇を楽しんでいる。

 ビーナスは、ケルバーが第1セットの最後の2ポイントでダブルフォールトをおかしたときに、試合の舵をがっちりつかむと、第2セットの序盤にさらに2度ブレークを果たし、相手を引き離した。  ケルバーは4度マッチポイントをしのいだが、ビーナスは5度目のそれでバックハンドのウィナーを決め、試合を終わらせた。  これは攻撃と守備の対決となった試合だった。ビーナスはよりアグレッシブにプレーし、頻繁にネットにつめた。  「ときどきうまくいかないこともあったけど、それでも私はネットに出続けた」とビーナスは言った。「私はアグレッシブだった。私がベストのプレーをするのは、そういうときなのよ」。  ケルバーはベースラインにくぎ付けになり、自分のサービスゲームにおいてさえ守備的にプレーさせられていた。彼女は13度ブレークポイントに直面し、5度サービスをブレークされた。  この敗戦にも関わらず、ケルバーは来週、世界1位の座にとどまることが決まっている。彼女は今月のインディアンウェルズのあとに、セレナに代わって首位に再浮上していた。  ビーナスはマイアミでの戦績を61勝13敗に向上させた。彼女は1997年に初めて今大会に出場し、1998、1999年と2001年に優勝していた。彼女は、会場から車で90分ほど北に行ったところにあるパームビーチ・ガーデンに住んでおり、このマイアミ・オープンをホームタウンの大会とみなしている。  ビーナスは全ドローの中で最年長の女子選手だが、ここ4試合でプレーしたすべてのセットを取り、肉体を酷使してはいなかった。(C)AP