「中田の呪い」は存在するのか。秋風が吹き始めたペナントレースの風向きが、固まり始めてきた。乗って来られていないのはセ・…
「中田の呪い」は存在するのか。秋風が吹き始めたペナントレースの風向きが、固まり始めてきた。乗って来られていないのはセ・リーグ3連覇を目指す原巨人。25日は苦手の阪神・高橋遥人に5安打13三振で完封負けを食らった。
東京五輪後のリーグ再開直後は3強3弱の構図だったセ・リーグ。今も大枠は変わらないのだが、ヤクルトと阪神が激しい首位攻防の鍔迫り合いを演じる一方、巨人はその両チームに3ゲーム差と一歩離された。
王者に何があったのか。エース・菅野智之が乗ってこない。丸佳浩も大不振にあえぐ。それ以上に向かい風を吹かせているのが、8月後半に世間を仰天させたトレード劇による批難の声たちではないか。
8月20日、無償トレードで中田翔を日本ハムから獲得した。同僚への暴力行為で無期謹慎を科されていた大砲。出場停止処分からわずか9日での釈放に、さまざまな批判の声が沸き立った。
ファンへの謝罪の場を持たないまま放出した日本ハム。中田の更正のため火中の栗を拾ったとはいえ、手薄な一塁手の補強に前のめりなようにしか映らない巨人。一連の騒動を球団からの申請のまま一方的に黙認したコミッショナー事務局。多くの野球ファンが失望の声を寄せ、東京五輪での金メダル獲得の余韻も吹き飛んでしまった。
その中田加入後、巨人の成績はというと、大きく黒星が先行。10勝14敗7分けで、借金4とむしろ成績は下降線をたどった。
逆に日本ハムは断トツの最下位に沈んでいたのだが、中田放出後は12勝11敗7分け。優勝争いが佳境を迎え、上位と下位の対戦ではモチベーションの差が如実に出やすい中で、何と貯金を作り出してさえいる。トレード発表時には30勝45敗15分けと圧倒的に負け越していたチームが、だ。
再調整へ2軍落ちも経験した中田は、移籍後21試合に出場し、7安打、打率・125、2本塁打、5打点、20三振とさっぱり。単純に戦力となれていないのは誰の目にも明らかだろう。ただし深刻なのは周囲への波及効果にある。
当然、中田の加入で出番を減らした選手や、チャンスが摘まれた若手がいる。ただでさえ腫れ物に触れるような扱いで、周囲が気を使うなという方が無理。そして一部では巨人ファンを辞めることを宣言する元G党が相次ぐなど、世間からの目も厳しさを増した。
逆に日本ハムは中田という重しが取れてノビノビ野球に転換。野村佑希ら将来を嘱望される若手たちが、消化試合には不釣り合いな高いモチベーションをプレーで示している。
3連覇へのウルトラCかと思われた世紀のトレードも、ここまでは大きくアテが外れた巨人。このままV逸に終わるようだと「中田の呪い」としてファンの脳裏に刻まれかねない。呪い、というとオカルトのような類を頭に浮かべる方も多いかもしれないが、そうではない。中田の思い、加入した大砲を受け入れる巨人選手たちの思い、中田が去った後の日本ハム選手たちの思い、そして必死に応援してきたチームに裏切られたかのように感じているファンたちの思い。それら無数の思いが、モメンタムとしてペナントレースに大きな影響を及ぼすのだから、その全てを一言で言い表すのなら「呪い」という言葉が当てはまる。そして残念ながら中田加入後、巨人がそれまでより厳しい戦いを強いられ続けていることだけは、確かな事実だ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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