ロジャー・フェデラー(スイス)とラファエル・ナダル(スペイン)にとって、それは幸せな記念日だった。 しかし、スタン・ワウリンカ(スイス)にとっては、ハッピー・バースデイにはならなかったのである。 アメリカ・フロリダ州マイアミで開催されて…

 ロジャー・フェデラー(スイス)とラファエル・ナダル(スペイン)にとって、それは幸せな記念日だった。

 しかし、スタン・ワウリンカ(スイス)にとっては、ハッピー・バースデイにはならなかったのである。

 アメリカ・フロリダ州マイアミで開催されている「マイアミ・オープン」(ATP1000/3月22日~4月2日/賞金総額699万3450ドル/ハードコート)の男子シングルス4回戦。この日、ともにスタジアム・コートでプレーしたフェデラーとナダルは、双方が厳しいテストとなった試合を潜り抜け、ふたりの間の初対戦から13年が経った記念日を勝利で祝って準々決勝に駒を進めた。

 反対にワウリンカは彼らほど好運ではなかった。第1シードだったワウリンカは32歳の誕生日に、第16シードで19歳のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)によって大会から追い出された。

 「ここから、すべての試合は厳しいものになる」と言ったのは第2シードの錦織圭(日本/日清食品)だ。彼もまた3セットの試合を生き延びて準々決勝に進んだ。

 この言葉は準々決勝を待たずして、すでに真実であるようだ。

 第4シードのフェデラーは第14シードのロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)に7-6(5) 7-6(4)で競り勝った。第5シードのナダルはニコラ・マウ(フランス)を6-4 7-6 (4)で倒した。そして昨年の準優勝者である錦織は、最終セットで先にワンブレークを許しながらも挽回してフェデリコ・デルボニス(アルゼンチン)を6-3 4-6 6-3で退けた。

 フェデラーは今季16勝1敗の戦績を謳歌しており、これはシーズンのこの時点でのキャリア最高記録と同一だ。

 「ここまででベストのプレー?」とフェデラーは聞き返した。「その質問に答えるのは僕にとって難しいよ。たぶん攻撃面について総括して見ればそうかもしれない。いくつかのことについては間違いなく以前よりうまくやっている。自分が上達したとは感じている。テニスは変わり、僕はそれに適応しなければならなかったが、全体的に見れば、たぶん僕は10年前の僕よりも、いいプレーヤーになっていると思う」。

 来月に20歳になるズベレフは、ワウリンカを4-6 6-2 6-1で下した。彼はすべてのセットがタイブレークとなった第18シードのジョン・イズナー(アメリカ)に対するフルセットの激戦の24時間後にプレーしたことで、疲労などの悪い影響のサインはまったく見せなかった。

 「第2、第3セットでは、いいプレーができたと思う」とズベレフは言った。「やり方を少し変えたんだ。僕はよりアグレッシブにプレーしなければならなかった」。

 ズベレフは第3セットにあった36ポイントのうち26ポイントを勝ち取った。

 「第2、第3セットでは、エネルギーが残っていなかった」とワウリンカは言った。彼は試合後の記者会見で〈Stan The Man〉の文字を載せたバースデイ・ケーキをサプライズで受け取ったとき、少しだけ微笑んだ。「でも結局のところ、その日に持っているもの、その日にできることでトライしなければならないものだ。そして今日、僕が持っていたものは勝つには十分ではなかった」。

 ナダルはマウに対するこの試合唯一のブレークポイントをものにし、勝利をつかむにはそれで十分だった。

 2004年に、当時「NASDAQ-100 オープン」と呼ばれていた大会でフェデラーと対戦したとき、ナダルはまだ17歳だった。そして彼はその日、ストレートセットでフェデラーを破り、多くの者たちを驚かせた。

 あれから10年以上が経った今も、彼らのライバル関係は変わらず進行中だ。

 「僕ら双方にとって今年のスタートぶりはよいものだったと思う。もちろん彼にとっては、僕より少し余計によいものだ。でも同時に、僕は自分のプレー、ここまでのプレーぶり、故障を抱えた厳しい昨年後半のあとにどんなふうに今年を始めたかをうれしく思っている」とナダルは言った。

 「だから僕らがいまだにトップレベルでプレーし、プレーしているほぼすべての週に競争力の高いパフォーマンスができているというのは、僕ら双方にとってポジティブなことだ」

 フェデラーはバウティスタ アグートと激しく競り合ったが、その過程を楽しんでいるようにも見えた。第1セットで、バウティスタ アグートがサービスをキープすればセットを取るというゲームで、フェデラーはブレークに成功。第2セットでは、4-5からのフェデラーのサービスゲームで彼らはネットで顔を突き合わせ、何度も前後するショットを交わし合ったが、最後にはフェデラーがそのポイントを取った。

 観客の歓声がスタジアムを揺るがす中、彼は微笑みを浮かべた。

 フェデラーは水曜日の休息日を経て木曜日に、第10シードのトマーシュ・ベルディヒ(チェコ)と準々決勝を戦うことになる。ベルディヒはアドリアン・マナリノ(フランス)を6-3 7-5で下して勝ち上がった。

 「この手の休息日はありがたいよ」とフェデラーは言った。「それは金にも値するものだ」。 

 錦織は次に、ノーシードながら当たり日には恐るべき力を発揮するファビオ・フォニーニ(イタリア)と対戦する。フォニーニはドナルド・ヤング(アメリカ)を6-0 6-4で下した。

 ヤングが敗れたことで準々決勝に進んだアメリカ人は、第13シードのジャック・ソックのみとなった。4回戦でジャレッド・ドナルドソン(アメリカ)を6-2 6-1で退けてベスト8入りしたソックは、準々決勝でナダルと対戦する。

 一方、第12シードのニック・キリオス(オーストラリア)も第8シードのダビド・ゴファン(ベルギー)を7-6(5)  6-3で下して準々決勝へ進んだ。キリオスはそこでズベレフとの対決に挑むことになる。(C)AP(テニスマガジン)