約2年ぶりにKO-D無差別級王座を手にした竹下幸之介。初防衛戦の相手は竹下に対して3勝1敗と勝ち越しているクリス・ブルックス。クリスは2007年にデビューし、主にイギリスのファイトクラブ・プロで戦い、国内各団体やヨーロッパを中心に活動。20…

約2年ぶりにKO-D無差別級王座を手にした竹下幸之介。初防衛戦の相手は竹下に対して3勝1敗と勝ち越しているクリス・ブルックス。クリスは2007年にデビューし、主にイギリスのファイトクラブ・プロで戦い、国内各団体やヨーロッパを中心に活動。2019年6月からDDTに参戦。196cmの長身を活かしたサブミッションからハードコアマッチまでこなすオールラウンドプレイヤー。イギリス出身の彼は幼少期をどのように過ごしレスラーになったのか。

――クリス・ブルックス選手がプロレスに興味を持ったキッカケを教えて下さい。

クリス・ブルックス(以下 クリス):僕が6歳ぐらいの時、叔父がレッスルマニアとロイヤルランブルのVHSを持って家に遊びに来ました。当時、僕の部屋にテレビとビデオが一体になっている「テレビデオ」があり何度も繰り返し観ていたら見事にハマってしまいました。

――そのビデオの中で印象に残っている選手はいますか?

クリス:顔にペイントを施しているレスラーに魅了されました。具体的にはロード・ウォリアーズ、デモリッションズとかアルティメット・ウォリアーかな。試合の内容よりも見せ方を重要視しているレスラーに興味を引かれましたね。

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――学生時代はどんなスポーツをしていましたか?

クリス:だいたい普通のプロレスラーは学生時代、スポーツのバックボーンがあったりするけど僕はまったくそういったスポーツをしていません。むしろ体育の授業中、サッカーのチーム分けで最後まで選ばれない子供でした(苦笑)。プロレスを始めてからも、「すぐに天性の才能が開花した」みたいなことはまるでなくて、本当に不器用というか動きも全然ナチュラルさがなくてとても苦労した記憶があります。

――現在のクリス選手の動きを見ているので驚いています。ところでプロレスラーになろうと思ったキッカケはなんですか?

クリス:僕の世代のプロレスラーが「レスラー」としてのキャリアをスタートする時、一般的なルートとして「バックヤードレスリング」があります。これは選手の自宅の裏庭で行う「プロレスごっこ」みたいな。中古のリングを使うこともあるしリングがない時もある。ここから僕もみんなと同じようにキャリアをスタートしました。

高校生の頃、バックヤードプロレスをしていた友人の一人に従兄弟がいました。彼は少しだけレベルが高く、屋内でやっていました。といっても古い教会の中でマットを敷いていたぐらいだけど(笑)。ただそこはカメラを使ったり各選手のキャラクター設定ができていたり、もう1レベル上のことをやっていた。

日本だとプロテストを受けて団体に入門するけど、海外ではプロレスラーが教えるスクールで学ぶのが一般的。彼らと出会ったことでスクールへのルートができました。さっき運動神経の話をしたけど、当初はとてもじゃないがプロレスラーになれるなんて思っていなかった。気が付いたら出会いを通して道が開けた感じです。

――そのスクールを卒業し自分で団体やプロモーターに売り込んで試合を組んでもらうのですか?

クリス:教会でレスリングをしていた仲間たちの9割くらいが各自なんらかのレスリングスクールに通い始めました。だったら「自分たちで興行を打ってみよう!」とリングを借りて工業団地の一角で大会を行ったら上手くいきました。その後リングを購入して自分たちで外部からレスラーを連れてくるようになりました。ただ当時、僕はまだ14,15歳。1年ぐらいはレフェリーをしながら参加し16歳でデビューしました。

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その団体はとても手作り感あふれる興行で、他の団体から選手が手伝いに来てリング設営や撮影、レフェリーをしてくれました。たまに何かのアクシデントで選手が来られなかった時、僕が代わりに出場させてもらう感じでした。でもデビューはしているものの他団体へ定期的に出場できるようになるまで、この頃(2007年)から5年ぐらいかかりました。

――ところでクリス選手は、どのようなレスラーに影響を受けましたか?

クリス:もともと僕はクラシカルなサブミッションをベースとしたブリティッシュスタイル、イギリスのクラシカルなレスリングスタイルに興味を持っていました。そうなると1つのモデルとしてザック・セイバーJr.がいる。

しかし「誰かのスタイルに寄せると二番煎じ、B級品の偽物みたいな感じになってしまう。それは良くない」と気づきました。だから特定のレスラーというより、いろんな人の良いところを取り入れつつ「誰かのモノマネにはならないようにしよう」と心がけています。

――ところでファイトクラブ・プロに参加したのは、いつ頃ですか?

クリス:ちょうどデビューした頃から好みのスタイルがWWF(現在のWWE)より日本のプロレスやインディー、アメリカのインディー団体にシフトしました。同じ頃、僕はロンドン近郊に引っ越して地元のプロレスからちょっと離れていました。

プロレスの好みが変わった頃にファイトクラブ・プロの存在をTwitterやFacebookで目にしました。彼らが招聘していたレスラーがドイツのインディー団体や元大日本プロレスの石川晋也選手。「これはちょっと一味違う面白いことをやっているぞ」と感じて、また地元に戻りファイトクラブ・プロのトレーニングプログラムに参加しました。

それまでやっていた「ローカルインディースタイル」を1度全部捨てて、また一から学び直すという意味でリスタート。1年間トレーニングしてファイトクラブ・プロでデビューしました。

<(2)に続く>

<インフォメーション>
9.26東京・後楽園ホール「Who's Gonna TOP? 2021」が行われます。KO-D無差別級王者 竹下幸之介に挑戦するクリス・ブルックス。これまでDDT UNIVERSAL、DDT EXTREME王座の獲得はあるがKO-D無差別級王座の戴冠歴はない。クリス・ブルックス、DDT頂点のベルト初戴冠なるか。

チケット等、詳細はDDTプロレスリング公式サイトをご覧ください。
また試合は動画配信サービスWRESTLE UNIVERSEで生配信されます。

DDTプロレスリング Twitter
クリス・ブルックス Twitter

通訳/Mr.HAKU

取材・文/大楽 聡詞
写真提供/DDTプロレスリング

 

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