スタジアム・コートに入っていったロジャー・フェデラー(スイス)は、観客たちが早くも発散しているエネルギーを感じながら、辺りを見回した。そして彼は観衆たちに、かなり見ごたえのあるショーを見せた。  アメリカ・フロリダ州マイアミで…

 スタジアム・コートに入っていったロジャー・フェデラー(スイス)は、観客たちが早くも発散しているエネルギーを感じながら、辺りを見回した。そして彼は観衆たちに、かなり見ごたえのあるショーを見せた。  アメリカ・フロリダ州マイアミで開催されている「マイアミ・オープン」(ATP1000/3月22日~4月2日/賞金総額699万3450ドル/ハードコート)の男子シングルス3回戦で、第4シードのフェデラーは第29シードのフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)を6-3 6-4で破り、4回戦に進出した。デル ポトロとの2013年以来の対戦で、フェデラーは一度もサービスを落とすことなく勝利をつかみ、今季の成績を15勝1敗に向上させた。  フェデラーは各セットで1度づつ、計2度、デル ポトロのサービスをブレークし、それが彼が必要としたすべてだった。  2005、2006年にここマイアミ・キービスケーンで優勝しているフェデラーは、「勝つに値したと感じている。僕のほうがより攻撃していた」と言った。そして、「僕のほうがより仕掛けていた。それが僕がやりたかったことでもある」とも言った。  第1セットの最初のブレークで、フェデラーは5-3とリードを奪い、それから続く自分のサービスゲームで4つのブレークポイントをしのいだ末に、セットを終わらせた。  第2セットのエンドチェンジの際にデル ポトロが繰り返し、故障している左手首にテーピングを施した少しあと、フェデラーは2度目のブレークを果たして3-2とリードし、試合をコントロール下に置いた。

 4-3からのサービスで、フェデラーはブレークポイントを許し、興奮したアルゼンチンのファンたちは「オレ、オレ、オレ!」と歌ったが、デル ポトロのリターンがコートを割って、フェデラーは難を逃れた。  「僕はベストを尽くした」とデル ポトロは言った。「彼はブレークポイント、重要な瞬間に、いいプレーをした。それが、この試合で勝敗を分けた唯一の違いだったと思う」。  この試合には、ただの3回戦ではなしに決勝のような雰囲気があった。というのも、この日の最初の2試合でかなりの空席が目立ったスタジアム・コートは、この試合の前に満杯となり、ウォームアップのため入場したふたりは、大歓声によって迎えられた。

 多くのファンたちは、フェデラーのイニシャル“RF”のロゴの入ったシャツや帽子を身に着け、デル ポトロを応援する観客の多くは、サッカーのアルゼンチンのユニフォームを着るか、国旗を携えるかしていた。  「本当に素晴らしく、素敵な雰囲気だった」とフェデラーは言った。「いい気候の中、素晴らしい観客に見守られながら、素晴らしい対戦相手とプレーするのは非常に楽しいことだった。ほかに何が必要だというんだい?」。  この対戦に先立つフェデラー対デル ポトロの7戦は、すべて非常に長い熱戦だった。2012年にウィンブルドンで行われたロンドン五輪での3セットマッチは、第3セットをフェデラーが19-17でもぎ取った4時間半の熱戦だったし、同じ年の全仏オープン準々決勝で、フェデラーが2セットダウンから挽回勝ちした一戦もあった。そして、2009年全米オープン決勝では、デル ポトロが5セットの末に勝ち、彼にとって唯一のグランドスラム・タイトルを獲得したのだった。  フェデラーは火曜日に行われる4回戦で、第14シードのロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)と対戦する。バウティスタ アグートは、第22シードのサム・クエリー(アメリカ)を倒して勝ち上がるのに3セットを必要とした。  「2日連続でプレーするということには、実際、あまり慣れていない」とフェデラーは言った。「体が大丈夫なよう祈っているよ」。  一方、やはり3回戦をクリアした第10シードのトマーシュ・ベルディヒ(チェコ)は、第24シードのジル・ミュラー(ルクセンブルク)を6-3 6-4で下した。

 また第12シードのニック・キリオス(オーストラリア)は第17シードのイボ・カルロビッチ(クロアチア)を、第16シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)は第18シードのジョン・イズナー(アメリカ)を、ノーシードのアドリアン・マナリノ(フランス)はボルナ・チョリッチ(クロアチア)をそれぞれ下し、4回戦に進んだ。

 キリオスはカルロビッチを6-4 6-7(4) 7-6(2)で、マナリノはチョリッチを6-4 2-6 7-6(3)で倒している。 

 そしてズベレフ対イズナーの試合は2時間半かかり、3セットともタイブレークの戦いとなった。ズベレフは、第3セットのタイブレークで1-4の劣勢を巻き返し、6-7(5) 7-6(7) 7-6(5)で勝利をもぎ取った。(C)AP(テニスマガジン)