自身が幼少期に抱いた憧れを今のジュニアにも体験してほしい男子テニスの世界ランク…
自身が幼少期に抱いた憧れを今のジュニアにも体験してほしい
男子テニスの世界ランク123位、内山靖崇(積水化学工業)が、9月5日から12日まで自身が主催する新たな国内大会「Uchiyama Cup」を故郷である北海道・札幌(札幌市平岸庭球場/ハードコート・デコターフ)で開催する。引退後ではなく現役のプロ選手がトーナメント・ディレクターとして大会を主催することになったきっかけや開催にあたり重要視したことを語ってくれた。
【画像】内山靖崇が国内大会を創設! ATPツアーを主戦場に、今シーズンはグランドスラム3大会で本戦入り
今大会、賞金総額は300万円となり、全日本選手権や全日本室内選手権などに次ぐグレードの国内大会となる。開催を決めた2のは2019年末、内山は当初ITF2万5000ドルやチャレンジャーなどの国際大会を考えていたという。だが、初めて大会を主催することに加え、新型コロナウイルスの影響で2020年大会が延期となったこと、今もなお海外選手が日本でプレーすることが難しくなっていることなどから国内大会にすることにしたという。
それ以前に、なぜツアーで戦う選手がプロの大会を開催することになったのか?
そのきっかけとなったのが幼少期に抱いた憧れだった。「テニスを始めたのが小学校2年生で、その頃に札幌でエキジビションマッチが行われて、そこに出ていたのが鈴木貴男さんや増田健太郎さん、デ杯監督の岩渕聡さんだったりする。そういった方々が、札幌で試合をされているのを見て、まだテニスのことをわからない状況だったんですけど、プロの選手が打つボールや動き、ラリーのすごさに圧倒されて、『僕も将来こういったボールを打てるようになりたい』『こういった選手になりたい』という憧れを抱いた経験がありました」と語った。
さらに、「今、北海道でプロのトーナメントが行われていないので、同じような体験をジュニアがすることができないのはもったいないなと思っています。トップ100入りを2019年に達成したことで、選手としての道を突き進んできた10年、そして突き進みながらも今までの恩返しや未来のテニス選手、日本テニス界の発展というところにも力を注いでいきたいなと思った」とし、今大会の開催を決めた。残念ながら今大会は無観客で行われることとなってしまったが、北海道ジュニアの上位進出者などにワイルドカード(主催者推薦)を与えている。
長かったツアー出場までの道のり「ATPポイントを獲得して海外に挑戦してほしい」
内山は、今大会を将来的には国際大会に発展させたいと語る。というのも、内山自身、2009年にITFの大会に初出場してからツアー本戦出場まで6年、チャレンジャー大会での優勝は7年かかっている。この時間を内山は「辛いとは思わなかった」と振り返ったが、「(ツアーまでの)道のりは長いなと。フューチャーズで長くくすぶっている状況は良くない」と、少しでもATPポイントを獲得し、フューチャーズのレベルからチャレンジャーやツアー、そしてグランドスラムの高いレベルへとステップアップしてほしいと語る。
「将来的には5大会、欲を言えばもっと開催したいと思っています。理由は、今の男子テニス界を見た時にスペインやイタリア、フランス、アメリカといったトップ100に入っている選手が多い国には、下部大会が多い。ヨーロッパの中でたくさんの大会があれば、彼らは電車で大会を行き来できます。しかし、日本国内で国際大会少なく、それが増えれば、今まで海外渡航に使っていたお金をコーチやトレーナーを雇うことに回せたりしますし、若い選手なんかはワイルドカードをもらって早い段階でATPポイントを獲得するチャンスがある。そして、そのチャンスを基に海外の高いレベルで挑戦できる可能性が広がりますよね」と、日本で国際大会を増やすことで日本テニス界の選手育成に関していい影響があると考えている。
批判覚悟も全日本プロテニス選手会のトップとして“選手目線”で作り上げる大会に意味がある
だが、選手自らが大会を開催すべきなのか?
2019年9月の楽天ジャパン・オープンでベスト8入りし、同年10月にトップ100を突破。昨シーズンからツアー大会を主戦場にし、今年はグランドスラム3大会で本戦入り。選手としてこれからが大事になってくる時である。
「確かに選手活動だけに集中した方がいいという声はありましたし、僕自身もそういう声があるのはわかっていました。ですが、今まで大会に出場する選手としてでしか大会を見られていなかったのが、見に来てくれる観客や審判、大会運営のスタッフなどのありがたさを感じることができた。今年は特に海外ツアーに行くと、いろんなところに自分が気になるようになって、『こういうところいいな』『こういうところあったらいいのに惜しいな』とか、テニスとしての視野がすごく広がったと思っていて、僕はすごく良かった。もちろん時間的にテニスだけに集中しなければいけない時に大会のことで忙しくなることも起こりえたんですけど、僕一人ではなく大会の実行委員会を作って運営しているので、そのメンバーがサポートくれて、僕がいなくても成り立つんじゃないかと(笑) そういうチームになっていて、安心して任せていける」と、2020年に全日本男子プロテニス選手会の代表理事なったこともあり、自らがトーナメント・ディレクターとして大会を行うことを決めた。
選手として世界を主戦場に活動しているからこそ、今大会を開催するうえでボール交換やトレーナーの常駐、ハードコートでの開催を重要視。会場となる平岸庭球場についても「この会場は3年ほど前にリニューアルされたんですけど、実は僕が小学生、中学生の頃はそこでよく試合をしていて、思い出のコートでもあるんです(笑) サーフェスに関しては、海外でオムニコートでの試合がないので、それは最初から頭にはなかった」と、今後世界で戦うために世界的に大会数が多いハードコートで開催することを選択した。
今年、ようやく第1回大会を迎えることになったが、残念ながら内山はUSオープン予選に出場したため、会場を訪れることができない。
それでも「僕も他のメンバーも日本テニス界を大きく変えていく第一歩だと思って、選手やファン、ネットで見ていただくすべての人に『Uchiyama Cupは楽しかった』『来年は見に行きたい』『ネットで見たい』と応援していただける大会にしたいと思っています。将来的なビジョンもあるので、そういったところを見据えて、しっかり大会を作りたいなと思います」と、開催を待ちわびた。
プロ生活10年の内山が、“新人”のトーナメント・ディレクターとして作り上げた「Uchiyama Cup」は、9月5日から開催。自身のYouTubeチャンネル「内山靖崇のうっちー教室」でライブ配信予定となっている。