自転車トラックレース「JCL BANK LEAGUE 2021(以下バンクリーグ)」の今季最終戦となるJCLバンクリーグ2021 Round3宇都宮ステージが8月18日、栃木県宇都宮市の宇都宮競輪場で開催された。最終戦も夕暮れから夜へと移り…

自転車トラックレース「JCL BANK LEAGUE 2021(以下バンクリーグ)」の今季最終戦となるJCLバンクリーグ2021 Round3宇都宮ステージが8月18日、栃木県宇都宮市の宇都宮競輪場で開催された。



最終戦も夕暮れから夜へと移り変わる中、ライトアップして開催された

バンクリーグとは、国内のジャパンバイシクルリーグに参戦するロードレースチームが、トラックに戦いのフィールドを移し「3ポイントゲーム」で競い合うもの。このオリジナルのレース形式は、1チーム 3~4人が出走し、2チームが対戦、3点先取したチームが勝利となる。トラックレース初心者にもわかりやすく、観戦しやすい。すでに終了したRound1と2とを連勝したスパークルおおいたが、シリーズの総合優勝を決めてはいたが、Round3には、東日本に拠点を置くチームを中心に参戦し、東日本戦の様相を呈し、また違う盛り上がりを見せた。特に地元栃木の宇都宮ブリッツェン、那須ブラーゼンの栃木対決には注目が集まった。他の顔ぶれとしては、チーム右京 相模原、レバンテフジ静岡、さいたまディレーブ、そして唯一西日本から、VC福岡もエントリーしていた。

まずは予選が始まった。6チームをA、Bふたつのグループに分け、総当たり戦形式で、決勝に進むチームを選出する。
早々にAグループの予選の中で、注目の栃木対決が行われることになった。ベテランもエントリーしていた宇都宮ブリッツェンに那須ブラーゼンが競り勝ち、一勝。さらにさいたまディレーブも下し、那須ブラーゼンがAグループの決勝進出権を得た。



注目の栃木対決は那須ブラーゼンが制した



順当に勝ち上がったチーム右京 相模原

グループBでは、Round1でも強さを見せていたチーム右京 相模原が、2チームを下し、決勝にコマを進めた。



予選が進むにつれ、日が暮れていく

予選の後は、競輪選手会栃木支部の選抜チームと、JCL選抜チームによるエキシビジョンレースだ。昨年のこのレースでは競輪チームが敗れており、その雪辱を果たすべく、現役S級の選手を3名加えた強力な布陣を組み、このレースに臨んできた。



エキシビジョンレースは競輪チームが強力な布陣で臨み、迫力ある戦いに



巧みにスプリントを繰り出す競輪チームが圧巻の勝利

競輪チームにとっても、今回戦うのはこのリーグ独自のレーススタイルであり、通常のレースとは勝手が違う。とはいえ、巧妙なレースさばきで、絶妙なスプリントを繰り出し、3ポイントを連取、見事にリベンジを果たした。

いよいよ迎えた決勝戦。地元として負けられない那須ブラーゼンと、このリーグ内で1勝がほしいチーム右京相模原。最終戦ということもあり、待機する選手たちの間には、緊張感が漂う。



いよいよ最終戦の決勝が始まった

両チームともに、それぞれ大きく先行した2名の選手が2ポイントずつ獲得したが、一人の選手が獲得できるポイントは2ポイントまでに制限されており、3ポイント目は他の選手たちに託さねばならない。この3ポイント目は後続の集団に託された。力強いスプリントでこれをもぎ取ったのは、渡邊翔太郎(那須ブラーゼン)だった。



勝負を託された渡邊翔太郎(那須ブラーゼン)が渾身のスプリントで3ポイント目を獲得、優勝を決めた

3年前にバンクリーグが誕生、この初年度から参加している那須ブラーゼンだが、運営がJCLに移行した本年、初めてのバンクリーグ優勝を地元栃木で飾ることになった。



表彰台で笑顔を見せる那須ブラーゼン

2ポイントを連取し、勝利に貢献した金子大介(那須ブラーゼン)は、昨年まで海外チームで走っており、今年チームに合流した。表彰式では、喜びと、栃木への感謝を語り「予選は作戦を細かく決めて臨んだが、決勝は感覚に任せ、走った」とレースを振り返った。9月から始まるロードシリーズでの1勝を目指すという目標を掲げ、インタビューを締め括った。

Round3も、新型コロナウィルスの感染拡大を受け、無観客での開催になり、YouTubeでの生配信が行われた。ショーアップし、観客参加型の「楽しめる」バンクレースを志した大会であり、観客を入れていたら、予選で実現した宇都宮競輪場での栃木対決などは、大いに盛り上がったことだろう。今年度の開催は、来年への布石として、来年以降の継続開催はもちろん、さらなる発展、盛り上がりを期待したい。



五輪の自転車ロードに日本代表として出場した増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が出走



選手入場もショーアップし、レースの臨場感を伝えるべく工夫を凝らした映像が配信された



場内のビッグスクリーンも使用、バンク走行体験やトークショーなども企画され、会場に足を運んだ観客が来場を楽しめるよう演出されていた

JCLのレースシリーズは、ここからロードレースシリーズに復帰する。8月末現在、国際レースをはじめ、年内に予定されていた国内のレースの多くが中止を決めているが、JCLロードレースツアーは、9月11日、12日に開催を予定している山口ながとクリテリウム、秋吉台カルストレースを、選手、スタッフ等関係者間の感染対策を徹底した上で、無観客開催で行うべく準備を進めている。現時点での国内の新型コロナウィルス感染状況からは、本年は会場に観客を招いてのレース運営は非常に厳しいと言えそうだが、JCLは実況解説を加え、わかりやすくレースを伝える質の良いライブ映像の配信に注力し、逆に全国どこからでも無料でレースを観戦できる体制が整った。これもコロナ禍の副産物と言えるかもしれない。
今季のリーグ戦は、9月からクライマックスシーズンに突入する。五輪の自転車競技観戦などで興味を持った方は、ライブ配信(無料)で観戦を楽しんでみてはいかがだろうか。

画像提供:一般社団法人ジャパンサイクルリーグ
JCL BANK LEAGUE
<参考>
三菱地所JCLプロロードレースツアー(9/11、12のライブ配信もこちらから)

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