五輪後初レース前、小学生と新種目「Sprint50」で本気の競走 陸上のアスリートナイトゲームズイン福井が28日、福井県営陸上競技場で開催され、男子100メートル決勝は桐生祥秀(日本生命)が10秒18(無風)で優勝した。レース前、自ら考案し…
五輪後初レース前、小学生と新種目「Sprint50」で本気の競走
陸上のアスリートナイトゲームズイン福井が28日、福井県営陸上競技場で開催され、男子100メートル決勝は桐生祥秀(日本生命)が10秒18(無風)で優勝した。レース前、自ら考案した新種目「Sprint50」で、小学生6人と本気で50メートルを競走。5秒87(向かい風1.4メートル)でぶっちぎった。100メートルの優勝後、「Sprint50」を新設した思いを明かした。
小学生相手でも、全力で走った。男子100メートル予選の約2時間前。桐生は、小学生の男女6人と新たなスプリント種目で対決した。日本の学校体育では馴染みが深い50メートル走をベースに、スターティング・ブロックを使用しないなど独自のルールを採用した「Sprint50」。競技や年代にとらわれずチャレンジできるフォーマットだ。
桐生はスタートから一気に加速。あっという間に小学生たちを突き放し、5秒87で圧勝した。7秒16で2位になった吉田晴翔君らも「速すぎて全然追いつけなかった」「めちゃくちゃ速すぎて凄い」「クラスの皆に自慢したい」などと驚いた様子だった。
100メートルの優勝後、桐生は「ガチで走りました。むしろそれ(Sprint50)に今日懸けてました」と冗談交じりに語った。スターティング・ブロックなしで5秒7を切るのが個人的な目標だとも明かし、「小学生としっかり走れたうえでタイムを残せたので良かった。5秒87を基準の記録として、いろんな人にチャレンジしてほしい」と願った。
根底にある思い「スピード感を味わってもらうのは現役しか」
東京五輪でいろいろなことを感じたと話す桐生。50メートル走企画の最初の一歩には、自らが17年に日本人初の9秒台(9秒98)を叩き出した福井を選んだ。「自分としてもこの地は特別。福井の皆さんが急ピッチでやってくれたのでこの企画ができたと思う」。根底にあるのは、現役選手だからこそ伝えたい思いだ。
「皆さんも運動会で50メートルを走ったことはあると思う。100メートルに出ようと思うと、本当に真剣にいかないといけない。でも50メートルだと、見に来たお客さんとかでも子供と走ってみようとか、『子供・お父さん・子供・お父さん・桐生』とかも思い出になると思う。
現役のうちに何ができるかというと、スピード感を味わってもらうのは現役しかできない。そうなると大会かなと。せっかくだったらスターティング・ブロックなしで、靴も自由で、ルールだけ決めてやるという形にしようと」
誰もが親しみやすい50メートルの距離で、競技や年代の垣根を取り払えるルールを設けた。「後々は自分がいなくても、地方などで大会のルールでやってもらえるようになったらいい」。50メートルは、100メートルなどと走り方も違うと感じており「どうなるんだろうという楽しみもある」と笑う。
他競技の選手の触れ込みで“50メートル○秒○の俊足”などの記載が見られることがあるが、陸上短距離のトップ選手並みに本当に速いのか、疑問の声が上がることも少なくない。「そういうのは、じゃあ一緒に走って勝負しようよと。ちゃんと測れるし、そういうのも楽しいかなと。まず1本目の実現ができたのでよかった」と桐生。今後どのような広がりを見せるのか、チャレンジの行方を見守りたい。(THE ANSWER編集部)