2度目の挑戦が、スタートした。  昨季限りでジネディーヌ・ジダン前監督が退任したレアル・マドリードは、後任としてカルロ…

 2度目の挑戦が、スタートした。
 昨季限りでジネディーヌ・ジダン前監督が退任したレアル・マドリードは、後任としてカルロ・アンチェロッティが新監督の座に就いた。2013年から2015年までチームを率いたイタリア人指揮官に、セカンドチャンスが与えられた格好だ。

■中盤に足りない守備時のインテンシティ

 自慢の3トップには、使い方に変化がみられている。中盤でもアセンシオがインサイドハーフで起用がされるなど、新たな試みがなされている。

 攻撃面では楽しみな要素が出てきている。一方で、R・マドリードが抱える課題は、守備面にある。
まず、中盤の強度の問題だ。トニ・クロースが負傷で出遅れている状況で、アンチェロッティ監督はカゼミーロ、フェデリコ・バルベルデ、ルカ・モドリッチ、イスコを起用してきた。

 アンカーとしてはカゼミーロが不動の存在だ。ただ、インサイドハーフに入る選手で、強度を担保できるのはバルベルデのみである。年齢を重ねてきているモドリッチ、そしてイスコに、とりわけ守備時にインテンシティを求めるのは難しい。

「ディフェンスの時にはもっと集中しなければならない。現在のメンバーはクオリティを備えているのだから」とは、引き分けに終わった第2節レバンテ戦後のアンチェロッティ監督のコメントである。

「守備に関しては約束事を守る必要がある。クオリティの問題ではなく、自己犠牲の精神の問題だ。センタリングを入れられた時に3対2の状況をつくられた。これはあり得ないことだ」

 質ではなく考え方の問題だ。指揮官はそのように主張している。だが【4-3-3】を使用するR・マドリードにおいて、中盤が間延びするという現象が起こるのは、今に始まったことではない。

 名将アンチェロッティが、そのポイントに気づいていないはずがない。現段階では、先述したアセンシオのインサイドハーフのように、選手を試している節がある。ただ、その問題を放置するなら、時間が経過すればするほど、R・マドリードがピンチに陥る可能性は広がってしまうだろう。

■ベースを崩さないアンチェロッティの賢さ

 レアル・マドリードは今夏、セルヒオ・ラモスラファエル・バランを放出した。契約満了を迎えていたラモスは、フリートランスファーでパリ・サンジェルマンに加入した。一方のヴァランは移籍金5000万ユーロ(約65億円)でマンチェスター・ユナイテッドに移籍している。

 ラ・デシマ(クラブ史上10度目のチャンピオンズリーグ制覇)を達成した頃からチームを支えていたCBコンビがいなくなった。この例が顕著に示すように、アンチェロッティ監督は改めてチーム編成を考えざるを得なくなった。

「現在のレアル・マドリードには、おそらく資金がない。つまり、大幅な刷新はできない。アンチェロッティの挑戦というのは、移籍が決定的だと思われていたような選手たちを改善させることにある。彼らは(移籍市場が閉まった)9月1日以降もマドリーでプレーしているだろう。だから、そういった選手たちをコミットさせなければいけないんだ」とはアンチェロッティ監督の就任の際、あるスペイン人ジャーナリストが残したコメントである。

 継続路線に、少しのてこ入れ。レアル・マドリードが、アンチェロッティ色を帯びながら、再出発している。

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