2021-22シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)。決勝の舞台は、ロシアが誇る水の都サンクトペテルブルクだ。ふだんゼ…
2021-22シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)。決勝の舞台は、ロシアが誇る水の都サンクトペテルブルクだ。ふだんゼニトのホームとして使用されている「ガスプロム・アレーナ(別名クレストフスキー・スタジアム)」は、故黒川紀章氏の設計で、目の前にフィンランド湾が広がる風光明媚なロケーションにある。決勝戦は2022年5月28日。もしコロナが収束していれば、「ぜひ現地観戦を」とお勧めしたくなるUEFA選定の最上級(カテゴリー4)スタジアムだ。
8月26日、今季のグループステージの組み合わせ抽選が行なわれた。9月14日、15日に第1節がスタート。12月7日、8日にかけて計6試合を消化する。
【A組】マンチェスター・シティ、パリ・サンジェルマン(PSG)、ライプツィヒ、ブルージュ
【B組】アトレティコ・マドリード、リバプール、ポルト、ミラン
【C組】スポルティング、ドルトムント、アヤックス、ベシクタシュ
【D組】インテル、レアル・マドリード、シャフタール・ドネツク、シェリフ・ティラスポリ
【E組】バイエルン、バルセロナ、ベンフィカ、ディナモ・キエフ
【F組】ビジャレアル、マンチェスター・ユナイテッド、アタランタ、ヤングボーイズ
【G組】リール、セビージャ、ザルツブルク、ヴォルフスブルク
【H組】チェルシー、ユベントス、ゼニト、マルメ
ポルトのドラゴン・スタジアムで行なわれた昨季の決勝戦は、2007-08シーズン以来、史上2度目となるイングランド勢同士の対決となった。チェルシー対マンチェスター・シティ。金満クラブ系同士の対戦でもあった。レアル・マドリード、バルセロナのスペインの2強を軸に、バイエルン、ユベントス、マンチェスター・ユナイテッド、リバプール......と続く伝統的なビッククラブとは趣が少々異なる。新興チーム的な側面があるビッグクラブだ。

ジョゼップ・グアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティと同組になったパリ・サンジェルマンのリオネル・メッシ
PSGも同系である。一昨季は決勝でバイエルンに、昨季は準決勝でマンチェスター・シティに、それぞれ完敗。欧州の頂上を目前にしながら制覇できずにいる。リオネル・メッシを獲得した一番の理由だと思われる。
メッシと言われて、想起するのはクリスティアーノ・ロナウドだ。バルサの看板選手に対して、レアル・マドリードの看板選手として、バロンドール争いでも、毎度接戦を演じてきた好敵手だ。ユベントスからマンチェスター・シティへの移籍がしきりに報じられていたが、急転してマンチェスター・ユナイテッドへの復帰が決まった。
PSGとマンチェスター・シティはA組で同居することになった。
バルサやユベントス、それにマンチェスター・ユナイテッドは、先述したようにトラディショナルなビッグクラブだ。一方、PSGとマンチェスター・シティは、よく言えば今日的な、金満クラブに変身した成金的なクラブだ。
時代の移り変わりを実感せずにはいられない。欧州サッカーの中心が移動したかのようである。金満クラブ全盛の時代に拍車はかかるのか。今季のCLの一番の見どころはここになる。PSG、マンチェスター・シティ、そして金満クラブの元祖で、昨季の覇者であるチェルシーが中心になる。
A組からH組を眺めれば、死の組は見当たらない。強いて挙げるならばA組だろう。PSG、マンチェスター・シティの2強で堅いように見えるが、3番手候補と目されるライプツィヒに、番狂わせのムードを感じる。
過去2シーズン、ベスト4、ベスト16と好成績を挙げているライプツィヒだが、今季はその立役者となったユリアン・ナーゲルスマン監督がバイエルンに"栄転"。後任に昨季まで2シーズン、ザルツブルクの監督を務めたアメリカ人監督、ジェシー・マーシュを招いた。ザルツブルク時代は南野拓実、奥川雅也らとともに、CLでリバプールなどと対戦。攻撃的なサッカーで見せ場を作った監督だ。アンドレ・シウバ、ダニ・オルモ、エミル・フォースベリなど、選手も粒ぞろい。2強と接戦が期待できそうなムードにある。
混戦区はいくつか存在する。アトレティコ、リバプール、ポルト、ミランが同居するB組。そして、ビジャレアル、マンチェスター・ユナイテッド、アタランタ、ヤングボーイズが同居するF組。さらにリール、セビージャ、ザルツブルク、ヴォルフスブルクが同居するG組だ。
メッシが抜けたE組のバルサは、バイエルンとともに2位以内を確保する可能性が高い。メッシが在籍した昨季までのバルサは、格好の標的だった。ほとんどのチームがバルサを格上と見なし、打倒バルサの精神で向かってきた。バルサは受けて立たざるを得なかった。その構図が、メッシがいなくなった今季は崩れると見る。
スペインリーグはともかく、CLの舞台においてバルサは、これまでになくラクに戦えるはずだ。番狂わせを起こされる側から、番狂わせを起こす側へ。十字架を背負う強豪から、身軽な好チームへ立ち位置を変えることができれば、先述の優勝候補にとっても厄介な存在になるだろう。
D組のレアル・マドリードも、落選の危機はなさそうだ。こちらは、キリアン・エムバペ(PSG)という大物の獲得を狙っている。バルサとは異なり、金満クラブに対し、従来のビッグクラブ路線で対抗する構えを見せている。
幸運はどの路線を行くチームに待ち受けるのか。メッシがバルサからPSGに移籍したことで、欧州サッカーにはどのような変化が生じるか。時代は本当に金満クラブ絶対の時代に突入していくのか。
そして最後に少し嘆きたくなるのは、日本人選手の惨状だ。もし南野がリバプールを去ることになれば、今季のチャンピオンズリーガーはゼロになる。欧州組の数が増えたことを無邪気に喜ぶ時代は終わった。欧州のトップレベルとの差が開いている現状を見つめるべきである。