8月29日、新潟競馬場でGⅢ新潟2歳S(芝1600m)が行なわれる。 2歳戦としては、7月17日に開催された函館2歳S…

 8月29日、新潟競馬場でGⅢ新潟2歳S(芝1600m)が行なわれる。

 2歳戦としては、7月17日に開催された函館2歳S(函館/芝1200m)に続く2つ目の重賞となるこのレース。過去の勝ち馬には桜花賞馬ハープスター(2013年勝利)、今年のGⅡマイラーズCなど重賞2勝のケイデンスコール(2018年勝利)などの出世馬がいる。

さらに2着以下でも、2013年の2着馬イスラボニータが翌年のGⅠ皐月賞を勝利、2011年の2着馬ジャスタウェイがドバイデューティーフリーをはじめGⅠ3勝。今年も高い素質を感じさせる馬たちが出走を予定しており、注目のレースとなっている。

 今年の出走馬で筆者が推したいのがアライバル(牡2歳/美浦・栗田徹厩舎)だ。



6月の新馬戦に勝利したアライバル

 同馬は6月19日に東京で行なわれた新馬戦(芝1600m)を勝ち、1戦1勝でここに臨む。同レースは稍重馬場で勝ちタイムは1分36秒8と平凡だったが、上がり3Fは33秒7とまずまずで、ゴール前では手綱を抑える余裕もあり、時計には表れないスケールの大きさを感じさせた。このレースは、2015年1着のロードクエストなど、前走が東京コースだった馬が8年連続で馬券に絡んでいる。今年、アライバルの他にはキミワクイーン、クレイドルが対象だ。

 アライバルは母クルミナルがGⅠ桜花賞2着、GⅠオークス3着の実力馬。半姉ククナ(父キングカメハメハ)は昨年のGⅢアルテミスSでソダシに次ぐ2着に入るなど高い能力を示している。

 父ハービンジャーは英GⅠキングジョージ6世&クイーンエリザベスSの勝ち馬で、産駒はノームコア(GⅠ香港C)、ディアドラ(英GⅠナッソーS)、ブラストワンピース(GⅠ有馬記念)など、3歳以降に力をつける"晩成型"の馬が多かったが、この馬は2歳6月に新馬勝ち。過去、2015年にウインクルサルーテが6月21日に新馬勝ちしたが、父の産駒としてはそれを上回る、もっとも早い時期の新馬勝ち馬となっている。これまでのハービンジャー産駒の常識を覆す大物に育っていくかもしれない。

 この一族は母、姉に加え、伯父のピオネロもGⅢシリウスSなど、重賞で3度の2着がありながら勝ち切れず、祖母クルソラの子孫からは重賞勝ち馬が出ていない。アライバルは早くも「来年のクラシックの有力候補」との呼び声も高く、一族悲願の重賞制覇を果たす可能性は高そうだ。

 もう1頭はスタニングローズ(牝2歳/栗東・高野友和厩舎)を挙げておきたい。同馬は新馬戦(中京/芝1400m)こそ2着に敗れたが、続く未勝利戦(阪神/芝1600m)では2着に2馬身半差をつけて快勝している。好位3番手につけて抜け出す競馬センスの高さが魅力の馬だ。

 父キングカメハメハの産駒で新潟2歳Sに出走した馬のなかでは、2014年にミュゼスルタンがコースレコードで快勝。同馬は母の父フレンチデピュティ、祖母の父サンデーサイレンスという配合だが、スタニングローズは母の父がフレンチデピュティ産駒のクロフネ、祖母の父サンデーサイレンスと、かなり似通った配合になっている。

 牝系は伯父ローズキングダムがGⅠジャパンC、GⅠ朝日杯フューチュリティSを勝った最優秀2歳牡馬で、祖母ローズバドもGⅡフィリーズレビューなど重賞2勝の活躍馬。ローズキングダムは同じキングカメハメハ産駒なので、同馬とは3/4同血の関係になる。2歳戦に実績のある血統だけに、このレースでも期待できそうだ。

 以上、新潟2歳Sはアライバル、スタニングローズの2頭に期待する。