近年、Jリーガーの海外移籍が加速している。東京五輪に出場したU-24日本代表の中からも、田中碧、三笘薫、林大地がこの夏…
近年、Jリーガーの海外移籍が加速している。東京五輪に出場したU-24日本代表の中からも、田中碧、三笘薫、林大地がこの夏、海を渡った。
そうした潮流も後押しとなって、最近のJリーグでは10代にして出場機会を得る選手が増えている。純粋な実力だけでなく、期待値込みでの起用もあるだろうが、何にしても若い選手に多くのチャンスが与えられていることは間違いない。
そこで、現在Jリーグで頭角を現してきた20歳以下の選手(中には、すでにヨーロッパでプレーする選手もいるが)をピックアップし、3年後のパリ五輪出場を想定したチームを編成してみたい。
対象となるのは、2001年1月1日以降生まれの選手たち。現段階での実績をもとに、"パリ世代"の顔ぶれを見ていくことにする。

メンバー入りすることになれば、中心選手になることは間違いない久保建英
まず名前を挙げるべきは、久保建英(マジョルカ)だ。
2017年のU-20ワールドカップと今年の東京五輪にいずれも"飛び級"で出場しているため、パリ世代の印象は薄いが、久保もまた2001年生まれ。これまでの実績については今さら言うまでもなく、パリ五輪ではチームの中心となりうる存在である。
とはいえ、すでに東京五輪を経験し、来年のワールドカップにも出場する可能性が十分にある久保が、パリ五輪に出るのか(出る必要があるのか)、という問題はある。実際、飛び級で北京五輪に出場した香川真司は、ロンドン五輪の開催がちょうどドルトムントからマンチェスター・ユナイテッドへの移籍のタイミングと重なったこともあり、2度目の五輪には出場していない。
久保もビッグクラブへ移籍し、3年後には所属クラブがパリ五輪参加を認めてくれないくらいの選手になっているのが、実は理想なのかもしれない。
久保同様、パリ世代でありながらすでに海を渡っているのが、斉藤光毅(ロンメル)だ。
斉藤は昨季横浜FCの主力FWとして活躍し、年代別代表では飛び級で2019年U-20ワールドカップに出場している。同世代のFWの中では際立った実績を残している選手だ。3年後にはパリ世代の中心として、ヨーロッパで成長した姿を見せてくれることが期待される。
そしてもうひとり、同じく飛び級で2019年U-20ワールドカップを経験しているのが、東京五輪メンバーにも選ばれたGK、鈴木彩艶(浦和レッズ)だ。
U-20ワールドカップ、東京五輪のいずれも出場機会はなかったものの、ポテンシャルの高さはズバ抜けている。2019年U-17ワールドカップに正GKとして出場した際には、世界的にも高い評価を受けた選手だ。
ただし、そんな鈴木でさえ、この世代の絶対的守護神とは言い切れないのは、小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)がいるからだ。
小久保は一昨季ヨーロッパでのユース世代最高峰の大会、UEFAユースリーグで決勝に出場するなど、ヨーロッパクラブでの実績では、久保に続く存在と言ってもいい。こちらもポテンシャルでは鈴木に勝るとも劣らず、3年後は五輪世代史上稀に見るハイレベルな正GK争いが繰り広げられることになりそうだ。
一方、Jリーグでの活躍が目覚しいのは、荒木遼太郎(鹿島アントラーズ)と松岡大起(清水エスパルス)である。
荒木は多彩な顔ぶれがそろう鹿島の中盤にあって、ポジションをガッチリと確保。今季公式戦では早くもふた桁ゴールを記録しており、点が取れるMFとしてブレイク中だ。
片や松岡は、堅実なプレーぶりとキャプテンシーが特長。17歳にしてサガン鳥栖でJリーグデビューを果たすと、以後主力ボランチとして活躍。今夏清水に移籍してからも、早々にレギュラーの座に定着している。
同じく中盤で、今季に入り評価を高めているのが、田中聡(湘南ベルマーレ)である。
本職はボランチで、中盤でのボール奪取が持ち味だが、湘南では最終ラインもこなすなど自在性が高く、左利きでパスセンスにも優れる。まだまだプレーに粗さが見えるのも、逆に伸びしろを期待させる。
また、今季J2からJ1へと戦いの舞台を移し、さらなる成長を遂げようとしているのが、藤田譲瑠チマ(徳島ヴォルティス)だ。
昨季、すでに東京ヴェルディの主力としてプレーしていたが、今季晴れてJ1デビュー。シーズン序盤に比べ、現在は出番を減らしてはいるが、インテンシティの高いプレーは将来性の高さを感じさせる。積極的に声を出し、周りを動かす能力に長けているのも買いだ。
田中、藤田とも2019年U-17ワールドカップに出場しており、国際舞台も経験済みである。
その他にも中盤では、同じく2019年U-17組の成岡輝瑠(SC相模原)や、首位を争うチームでアンカーを任される川崎颯太(京都サンガ)、パスセンスに優れたレフティーの山本理仁(東京V)や武田英寿(FC琉球)など、J2で腕を磨く選手も控えており、とりわけボランチタイプはこの先競争が激しくなりそうだ。

DFラインに目を移すと、成瀬竣平(名古屋グランパス)が昨季以来圧倒的な実績を残している。
この小柄な右サイドバックは決してスピード一辺倒ではなく、組み立てに参加しながら攻撃に絡んでいくセンスのよさが魅力だ。
右が成瀬なら、左サイドバックは中野伸哉(鳥栖)である。
2019年U-17ワールドカップを経験し、昨季16歳にしてJ1デビュー。今年3月には東京五輪を目指すU-24代表にも大抜擢されたレフティーは、精度の高いクロスを備えている。
そして、今季に入って急速に評価を高めているのは、センターバックの西尾隆矢(セレッソ大阪)だ。
対人の強さを生かし、昨季の主力センターバックが抜けたC大阪でポジションをしっかりと埋める活躍を見せている。
ただ、センターバックはやはり他のポジションに比べ、若手の人材が豊富とは言い難い。経験が必要なポジションであるうえ、各クラブとも外国人選手の起用が多く、若い選手が出場機会を得るのは容易ではないからだ。
サイドバックでは成瀬や中野以外にも、畑大雅(湘南)、バングーナガンデ佳史扶(FC東京)らも台頭してきているのとは対照的だ。J2を見ても、半田陸(モンテディオ山形)が上り調子のチームに不可欠な戦力となっているが、2019年U-17ワールドカップではセンターバックを担った半田も、クラブでの主戦場は右サイドバックである。
センターバックについては、馬場晴也(東京V)、藤原優大(相模原)など、J2でチャンスをつかみかけている選手も出てきており、U-20代表候補には大学生も名を連ねている。現段階で層が薄いのは確かだが、本当の競争はこれからだろう。
そしてまた、やはりと言うべきか、センターバックと同じく人材に乏しいのが、いわゆるセンターフォワードタイプのFWである。
久保や斉藤、あるいは荒木のように、スピードやテクニックを生かした2列目タイプのアタッカーは、鈴木唯人(清水)、松村優太(鹿島)、樺山諒乃介(山形)など、比較的豊富なタレントが他にもそろっている。
だが、各クラブとも外国人選手に頼ることが多いセンターフォワードタイプとなると、染野唯月(鹿島)、唐山翔自(愛媛FC)、櫻川ソロモン(ジェフユナイテッド千葉)らがいるが、十分な活躍を見せているとは言い難い。
東京五輪メンバーを見ても、1トップは上田綺世、林と、いずれも大学経由でJクラブ入りした選手が務めていただけに、もう少し長い目で見る必要があるのだろう。
長い目で見るという意味では、今後は現U-18世代からの台頭も期待されるところである。
チェイス・アンリ(尚志高)、松木玖生(青森山田高)など、未知なる可能性を秘めた選手たちが成長してくれば、3年後には東京五輪以上に魅力的なチームが出来上がるに違いない。
再び「史上最強」が塗り替えられる可能性大、である。