天敵UAEとのアウェーゲーム W杯アジア最終予選が再開する。第5節を終えたグループBで、日本は3勝1分け1敗の勝ち点「10」でサウジアラビアと並び、得失点差でW自動杯出場圏内の2位につけている。とはいえ、3位オーストラリア、4位UAEは勝ち…
天敵UAEとのアウェーゲーム
W杯アジア最終予選が再開する。第5節を終えたグループBで、日本は3勝1分け1敗の勝ち点「10」でサウジアラビアと並び、得失点差でW自動杯出場圏内の2位につけている。とはいえ、3位オーストラリア、4位UAEは勝ち点「9」であり、油断はできない状況が続いている。3月シリーズで日本は、23日にアウェーでUAEと、28日にホームでタイ代表と対戦する。
9日に発表されたFIFAランクでは、日本は41位、UAEは68位、タイは127位となっている。日本としては2連勝したいところだが、決して簡単なタスクではない。実際に昨年9月の第1節で、ホームにUAEを迎えた日本は1-2の敗戦を喫している。不吉なデータも、ある。日本代表は2008年3月26日に行われた南アフリカW杯予選のバーレーン戦(●0-1)、2013年3月26日に行われたブラジルW杯予選のヨルダン戦(●1-2)と、過去2大会の予選でも3月の中東でのアウェーゲームを落としているのだ。
さらにUAEは試合を行うスタジアムを変更した。これまではアブダビにあるシェイク・ザイード・スタジアムでホームゲームを戦ってきたが、この試合ではハッザ・ビン・ザーイド・スタジアムに変更された。このスアジアムは、UAEの攻撃の核であるMFオマール・アブドゥルラフマンをはじめ、UAE代表選手の多くが所属しているアル・アインの本拠地だ。W杯予選の大一番を、エースの庭で戦うことを決めたのだ。また、収容人数こそ4万3000人から2万5000人と減少するが、スタンドとピッチの距離が近いサッカー専用スタジアムでの試合で、日本代表はより大きなプレッシャーにさらされるだろう。
昨年のW杯最終予選だけではなく、2015年のアジアカップでも日本に勝利しているUAEのキーマンは、前述のオマール・アブドゥルラフマン、快足FWアリー・マブフート、そして前回対戦で2ゴールを挙げているFWアハメド・ハリルのトリデンテだ。アジアトップレベルの3選手を擁するUAEは、少ない人数で攻撃を完結させることができるが、なかでもほとんどの攻撃の起点となるオマール・アブドゥルラフマンに対する守備が機能するかが、この試合を大きく左右するだろう。
気になる山口蛍のパートナーは?
日本代表が抱える最大の不安は、MF長谷部誠の負傷離脱だ。所属するフランクフルトで、キャリア最高のパフォーマンスを見せていたキャプテンの不在は、プレーだけでなく、メンタル面でもチームに影響を及ぼすだろう。長谷部に代わり、中盤の底でMF山口蛍とコンビを組むことになりそうなのは、2年ぶりに代表に復帰したMF今野泰幸だ。中東での試合経験も豊富なベテランは、今シーズン、所属するガンバ大阪では、3-5-2のインサイドハーフで起用されている。失点をしないことを最優先に、守備に軸足を置きつつも、今シーズン存在感を高めている攻撃面での貢献にも期待がかかる。
より攻撃を考えるのであれば、FC東京のMF高萩洋次郎の起用も考えられる。オーストラリア、韓国でのプレーを経て、展開力のあるテクニシャンは、ファイティングスピリットを高め、闘志溢れるボランチへと変貌を遂げた。日本代表での経験値は今野に劣るものの、外国人選手に対する苦手意識は皆無だろう。
リーダーシップの面では、DF吉田麻也に期待がかかる。イングランドに渡ってから5シーズン目にして、ようやくレギュラーの座をつかんだ日本代表の守備の要は、クラブのリーグカップ準優勝に貢献。キャプテンマークを巻く試合もあり、サウサンプトンでも中心選手となっている。FWズラタン・イブラヒモビッチやFWジエゴ・コスタら、世界トップクラスのストライカーと、日常的に対戦している経験値が、この大一番で生きるはずだ。
アタッカー陣では、これまで日本代表を牽引してきたMF本田圭佑の状態に不安が残るが、クラブで好プレーを見せているFW大迫勇也、FW岡崎慎司、FW久保裕也といった存在もいる。UAEの守備はボールウォッチャーになりやすい傾向があり、特にサイドではボール保持者へのプレッシングもそれほど強くない。積極的にサイドから仕掛けて、ゴール前にクロスを供給していきたい。
UAEとの直接対決に勝利することができれば、2位以上の順位を維持できるだけではなく、W杯出場を目指すライバルを一つ蹴落とすことができる。さらに、この先、中東でのアウェーゲームが2試合控えているだけに、苦手意識を残さずに、勝ち点3を持ち帰りたい。
《文=J:COMサッカー編集部》
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