8月24日に開幕する東京パラリンピック。9月5日までの12日間、22競技で熱戦が繰り広げられる。日本代表選手団は史上最多で、前回の2016年リオ大会ではゼロに終わった金メダル獲得に期待が寄せられる。そこで、5回にわたって金メダル最有力候補を…

8月24日に開幕する東京パラリンピック。9月5日までの12日間、22競技で熱戦が繰り広げられる。日本代表選手団は史上最多で、前回の2016年リオ大会ではゼロに終わった金メダル獲得に期待が寄せられる。そこで、5回にわたって金メダル最有力候補を紹介する。最終回は、車いすテニスの2人だ。

【#1国枝慎吾】
世界的レジェンドが挑む4度目の栄冠


今大会の日本代表選手団主将を務め、5大会連続出場の国枝慎吾が東京大会で狙うのは、2大会ぶりとなる単複通算4度目の金メダルだ。パラリンピック初出場だった2004年アテネ大会では齋田悟司と組んだ男子ダブルスで、日本初の金メダリストとなった国枝。08年北京、12年ロンドンでは男子シングルスで史上初のパラリンピック連覇という快挙を達成した。

前回の16年リオ大会では、シングルスではベスト8に終わったが、齋田と組んだダブルスで銅メダルを獲得。これまで出場した全4大会でメダルを獲得してきた車いすの第一人者は、現在も世界トップの座に君臨している。

パワーテニスの時代の中、国枝はそれを凌ぐチェアワークのスキルとサーブやショットの正確さで、体格で上回る海外勢を翻弄する。さらに一手、二手先を読む力や、判断力にも優れている。

メンタルも強く、どれだけリードを許しても、挽回して逆転勝ちすることも少なくない。最後まで決して諦めない粘り強さが、彼の真骨頂だ。

昨年は全豪、全米オープンを制し、男子車いすでは4大大会歴代最多となる単複通算45回の優勝を達成。東京大会と同じハードコートでの強さを示した。

現在もラケットには座右の銘「俺は最強だ」という言葉を貼っているという国枝。自国開催の地で、単複での金メダルという最高のシナリオを現実のものとする。

<くにえだ・しんご>
1984年2月21日、東京都出身。ユニクロ所属。9歳の時に脊髄腫瘍を患い、車いす生活となる。11歳の時に車いすテニスを始め、高校時代から国際大会に出場。2006年にはアジア人で初めて世界ランキング1位となる。07年には史上初の年間グランドスラムを達成した。パラリンピックには04年アテネから4大会連続で出場し、単複あわせて5つのメダル(金3、銅2)を獲得。年間グランドスラム5回、シングルス107連勝の記録を持つ世界的レジェンド。09年4月にプロ転向した。