高校総体サッカー女子、帝京長岡を1-0で破ってV王手 1年生らしい思い切りの良さで打ったシュートが、風に乗ってゴールに突…

高校総体サッカー女子、帝京長岡を1-0で破ってV王手

 1年生らしい思い切りの良さで打ったシュートが、風に乗ってゴールに突き刺さった。全国高校総体(インターハイ)サッカー女子は21日に準決勝を行い、藤枝順心(静岡)が1-0で帝京長岡(新潟)を破って決勝進出を決めた。

 立ち上がりから攻め込んだ藤枝順心が先制したのは、前半9分。相手GKが蹴ったボールを中盤でカットしたMF久保田真生(1年)がドリブルから思い切った右足のミドルシュートを放つと、ボールが追い風に乗って伸び、ゴール左へ突き刺さった。かなり距離があるところからの頼もしい一撃だったが、試合後に話を聞いてみると、反応は1年生らしいもの。「バイタルエリアが空くから使おうということと、そこからシュートを狙おうという話はしていたので、ファーサイドに優しくシュートを打ちました。狙いはあったんですけど、風で良いところに飛んで行ってくれて入りました。ミドルレンジからのシュートは、あまり得意じゃないです」と、天運に恵まれたことを隠さず、照れ笑いを浮かべていた。

 プレッシングやドリブル、飛び出しといった機動力を生かしたプレーを得意とする攻撃的MFで、好きでよく見ている選手は日本代表FW岩渕真奈(アーセナル)。将来はなでしこジャパンに入って活躍し、ワールドカップで優勝したいという夢を持っている。中村翔監督は「県大会からラッキーガールとして要所で良い活躍をしてくれている。思い切りの良さが良いところ。彼女の活躍はチームを勢いづけてくれる。前線は下級生が多いので、後ろを3年生が支える形でバランスの取れたチームになりつつあると感じている」と攻撃の活性化に役立っている久保田の貢献を称賛した。

 しかし、ヒロインはちょっとおっちょこちょいなようだ。本人は、その時だけで普段はしっかりしているのと否定したが、後半24分、クーリングブレイクに入る段階で交代を告げられた際、交代が間に合わなかったためブレイク明けの交代となったのだが、すでに交代を済ませた気持ちになり、靴下を下げ、すねあても外してしまってアイシングを始めていたため、ピッチに戻るのに四苦八苦。最終ラインを統率して3試合無失点での決勝進出に貢献したDF井出ひなた(3年)は、久保田について聞かれると「おっちょこちょいだし、いつも、みんなにいじられている」と笑った。

22日の決勝は神村学園戦、窓岩主将はタイトル奪取を誓う

 ただ、得点自体は、試合を優位に進める上で大きな先制点だった。勢いに乗った藤枝順心は、前半16分に斉藤花菜(3年)のクロスにFW高岡澪(1年)が飛び込むが合わせきれず。前半26分には左MF山田歩美(2年)の左足ミドルシュート、前半29分に山田のクロスから高岡のスライディングシュート、前半31分に斉藤のミドルシュートと立て続けにチャンスを迎えた。後半も26分に斉藤のクロスからMF浅田幸子(2年)の強烈なミドルシュートにつなげ、追加点は奪えなかったが、終盤まで効果的な攻撃を見せていた。

 一方、主力の半数が下級生の帝京長岡は、サイドに起点を作ってコンビネーションによる打開を目指していたが、相手を引き付けてからパスで崩すつもりが、次第に相手に寄られてボールを奪われるという形になって攻撃が機能せず、押し込まれた。松野智樹監督は「戦う上での心持ちで、相手に負けてしまっていた。来させているのか、来られているのか。その部分ですね。次に戦う前の段階で、自信を持っていれば、同じ状況、展開、同じプレッシャーでも自分たちのスタイルでやれると思う」と敗戦を糧とした成長に期待をかけた。

 試合は、1-0のままスコアが動かず勝敗が決した。勝った藤枝順心は、22日の決勝戦で神村学園(鹿児島)と対戦する。福井丸岡RUCK出身の主将、MF窓岩日菜(3年)は「丸岡RUCKの仲間も応援してくれている。結果で恩返しをしたい」とタイトル奪取を誓った。(平野 貴也 / Takaya Hirano)