パーチメントを救って話題になった大会スタッフは河島ティヤナさん 東京五輪陸上男子110メートル障害で金メダルを獲得したハンスル・パーチメント(ジャマイカ)を助けた大会スタッフとして話題になったストイコビッチ河島ティヤナさんが20日、「THE…
パーチメントを救って話題になった大会スタッフは河島ティヤナさん
東京五輪陸上男子110メートル障害で金メダルを獲得したハンスル・パーチメント(ジャマイカ)を助けた大会スタッフとして話題になったストイコビッチ河島ティヤナさんが20日、「THE ANSWER」の取材に書面で回答し、世界の称賛を呼んだ出来事の舞台裏を明かした。
パーチメントは4日の準決勝に出場するため国立競技場に向かう際、バスを乗り間違えた。到着先の海の森水上競技場にいた女性スタッフにタクシー代1万円を借りて移動し、レースに無事出場。金メダルを獲得した後、お礼のために女性スタッフを探し、タクシー代の返却とともにジャマイカ代表のシャツをプレゼントした。その様子を自身のインスタグラムに投稿した。
この投稿により、大きな話題となった女性が河島さんだった。
回答によると、河島さんは旅行会社「近畿日本ツーリスト」が業務委託した派遣スタッフとして、競技会場のバス乗降場で選手ら大会関係者を案内・誘導する業務を担っていた。バスを乗り間違えたパーチメントは本来、選手村に戻ってバスに乗り換えるべきだったが、「それではレースに間に合わない」との本人の答えがあり、現場責任者の判断で専用タクシーを呼んだという。
タクシー代を渡してまでフォローしようと思った理由について、河島さんはこう回答した。
「知らない土地で試合のことで頭がいっぱいだろうし、そんな時に迷って間違ってしまうのは仕方ないだろうと思いました。国を背負って人生をかけて来てるんだろうなと思うと、今回このご時世の中、五輪に出られたのは奇跡かもしれない。もう最後になるかもしれない。一生後悔させてしまうことは私にはできないと思い、助けたい気持ち一心でした」
河島さんが日常生活から心がける人助けの意識「自分が相手の立場だったら」
その際は「必ず戻ってくる」と言われたが「忙しいだろうから、そんなことはしなくていい」と返したという。「ところが、ちゃんとまた会いに来てくれて、しかも金メダルというサプライズと、記念のプレゼント(ジャマイカのチームのシャツ)までいただいて、うれしさと驚きが止まりませんでした」と当時を振り返った。
自らの助けもあって金メダルを獲得したことについては「パーチメント選手が喜んでくれて本当にうれしかったです」。今回の出来事は日本のみならず、世界各国で報じられ、称賛を受けた。「相手の立場に立って考えて行動しただけで、その反響がこんなに大きくなり、多くの称賛をいただき、正直まだ驚きっぱなしで、こちらの方が感謝の思いでいっぱいです」と心境を明かした。
19日は都内のジャマイカ大使館で河島さんへの感謝の式典が開かれ、同国観光相がジャマイカに招待する意向を明かしたばかり。大会ボランティアなど、日本らしいおもてなしの心が称賛を浴びることになった今大会。その象徴的存在となった河島さん、最後に「日常生活で人助けにおいて心がけていることはありますか」と送った質問には、こんな答えをくれた。
「私はいつも自分が相手の立場だったら、を考えて動いています。自分が嫌な思いになってしまうことは、きっと相手も同じだからと考えています」(THE ANSWER編集部)